フォレスターがアメリカで売れまくっている。聞けば「作れば作るだけ売れてしまんですよ」状態だとか。安いから人気なのかと思って調べてみたら、日本より高い価格設定。宣伝の量だって決して多くない。アメリカに行った時、スバルのディーラーを取材したところ、どうやら「総合性能が高いから」というあたりが理由のようだ。現在アメリカじゃSUV(スポーツ・ユーティリティ・ヴィークル。SWやミニバン、クロカン4WDまで含む)人気。しかし大型のSUVだと燃費が悪い。かといって小型SUVは質感や動力性能で不満。「全てのバランスを考えるとフォレスターが急浮上する」そうな。
 一方、日本では逆にライバルがいない、ということで話題に上がらなくなってしまっている。雑誌見てもフォレスターの記事って少ない。インプレッサと同じくらい売れているのに……。SWの仲間なのか、RAV4やCR−Vの仲間なのか解りにくいので、どちらの比較記事を特集してもコボれてしまうのだな。このあたり、ユニークさをキチンと認めて貰えるアメリカと、そうでない日本の国民性の差かも。とは言えスバルにとっちゃ大いにモンダイである。売れてても取り上げてくれないんだから。そこで「たまには乗って欲しい」ということなんだろう。オンロードとオフロードのサーキットで乗りませんか、と誘われた。

 最初の舞台は十勝サーキット。もちろんカンペキなロードコースである。フツウのクロカンだと、走ったって面白くもなんともない。リッター4qくらいしか走らないような大排気量ガソリンエンジン搭載してるモデル以外、直線でアクセルベタ踏みにしても160qにも届かないし、コーナーだってヨレヨレだ。第一、加速でイラつく。少なくとも「攻めて楽しい!」という感覚でないだろう。こう書くとクロカンファンからは「サーキット走るように出来てないんだから」と怒られると思うが、実際その通り。クロカン4WDの多くは、高速道路やワインディングロードを攻めて楽しいというクルマでない。
 より正確に表現すると、フツウのSWでも楽しくないのである。2リッタークラスのノンターボエンジンなら最高速180q程度。0〜400m加速18秒前後だ。このくらいの動力性能だとサーキット走ってもアカン。アクセル常時全開。特に十勝サーキットのような雄大なコースだと、加速中に景色なんか見るくらい余裕のよっちゃん。コーナーでハンドル切り込むとベッタリとロールし、タイヤはショルダーと呼ばれる”カド”だけでなく、サイドウォールまで路面を擦ってしまう。サーキットを楽しく走ろうとすれば、最低でも「スポーティモデル」にジャンル分けされるモデルでないとダメ。

 フォレスターはどうか? コーナー攻めている写真見て貰った方が、説明するより早い。アクセル全開すれば下手なスポーツモデルより速く(0〜400m加速15秒台前半)、直線の長いサーキットでも十分楽しめる。筑波サーキットのようなコーナーが多いコースなら、タイムアタックしたくなりそう。当然のことながら直線では180qに設定されている速度リミッターにたやすく届く(しかもストレートの中間地点くらいで)。コーナリング姿勢やバランス、コントロール性に関しては文句無い。こらもう以前から書いてきた通り。今回も「インを少しカットしてカッコよく走ってね」というリクエストに軽く応えた。
 次の舞台はオフロードのサーキット。コースとなったコースはバギーの全日本選手権も開催される本格的なもの(陸別という場所にある。日本で一番寒い町という。何でも日本一はエラい)。けっこうな高低差があり、しかも前夜の雨でぬたぬたのぐちゃぐちゃ。下見に行ったクロカン4WDさえスタックしてしまうコンディションだ。フォレスターはフルタイム4WDというだけでなく、リアにビスカスLSDが標準装備される。最悪の状況下で最低3輪の駆動力を確保出来るワケ(リアLSD無しだと4WDでも片側スリップし、2輪の駆動力しか確保出来ない)。ワタシはスタックしないだろうな、と思った。

 走ってみるとスタックするとかしないとかのモンダイじゃない。全然平気なのだ。むしろ攻めの走りで楽しみたくなっちゃう。フォレスターの最低地上高は(路面と車体とのスキ間)200oある。本格的なクロカン4WDで200〜210o。意外に感じるかもしれないが、荒れた路面でもほとんど底付きしないで済む。今回のダートサーキット、写真のように荒れている。このコースでガンガン走って接地しないのだから大したもん。大きなフロントエアダム付きの『typeA』もイケた。こんな走りをするヒトは少ないと思うが、オートキャンプや釣りなどで極悪路走るときなど有り難い能力。
 個人的に「やっぱフォレスターっていいなぁ」と感じたのは、移動の区間。極限のコンディションで楽しいなら、フツウのコンディションだとさらに楽しいということ。ヒンパンに遅いクルマをパスしなければならない北海道の道路状況だと、アクセル踏むだけで軽々と追い越せる余裕のパワーが嬉しいし、ワインディング駆け抜けるのはもっと面白い。突如出現した工事中のダート区間など「待ってました!」といった具合。補修が間に合わず荒れた道も、長いサスペンションストロークを活かして快適に走る。どんな路面コンディションになっても平気、といったあたりが厳しい自然環境のアメリカで支持されてるんだろう。

 さて、オンロードもオフロードも高い能力を有するフォレスターだけれど「市販車で一番優れている」というトコロまでは届かない。当然かもしれないが。でも雪道での走破性能&快適性なら市販車ナンバー1だと思う。前述のようにリアにLSDが標準装備されるため、どんな滑りやすい路面でもスタッドレスタイヤさえ履いていればスリップせず走れる。先シーズン何度かフォレスターでスキーに行ったけど、雪道までの高速道路で快適に走れ、圧雪もアイスバーンも、どのクルマより高い走破性。最低地上高が高いため、除雪してない駐車場から道路まで出ることも容易。これ雪国じゃ大切な性能だ。
 今回は2千台の限定販売となった『tyteA』の試乗がメインとなったけど、他にも魅力的なグレードある。2、5リッターのノンターボを搭載する『T/25』は、低回転から素直で太いトルク出すジェントルなエンジン特性がイイ。オートクルーズが標準装備されるため、省燃費の時代になったら90qで高速道路の走行車線を走るというECO走りにも対応可能(オートクルーズ無しだと90q巡航などイライラして出来ない)。こういった走り方をすると、リッター当たり13〜14qまで伸びる。価格はフル装備で239万円。長距離ドライブ好きなら、こういったグレードをプッシュしときましょう。