インプレッサWRXというクルマ、御存知の通りWRCで戦うラリー車のベースモデルである。すでに史上最強のラリー車と言われ始めており、3年連続でチャンピオンを獲得。4年目の今年は、戦闘力で明らかに劣るタイヤ(ライバルは世界最大級のタイヤメーカーであるミシュラン。インプレッサだけピレリを使う)に苦労しつつも、依然チャンピン争いを続けているほど。ミシュランであれば、今年だって間違いない。ま、WRCというイベントとして考えると、強いスバルがピレリで戦うあたりも、面白さになってるんだけど。
今回試乗したのは、そいつのワゴンバージョン。したがってWRCとの関連性な〜んにもない。言い方を変えりゃスバルの悪ノリだぁね。悪ノリにしちゃ気合いが入ってる。いや、入りすぎてる。エンジンはカンペキにスペシャルだ。ノーマルWRXワゴンのバアイ、240馬力。一応、スバルも冷静さ保ち、AT用の低中速トルク重視型を搭載。そりゃそうでしょう。ワゴンって、ニモツ運ぶためにあるんだから。ワゴンの本格的スポーツカーなんて、世界の自動車史にゃない。
おっとエンジンだった。STiバージョンに搭載されるのは、セダンSTiバージョンと全く同じスペックの280馬力。これまたノーマルセダン用の280馬力と異なり、STiバージョンは手作り。熟練工の手により、鍛造ピストンなどの準レーシングパーツを使い1基ずつ組まれる。さらに強化トランスミッションと強化クラッチ、シュアトラックなる新型のLSDが標準だ。いわば「良いと言われるモノは何でも付けてみた」の世界。おそらく買った後から装着すると100万円は超える。
前置きをこのあたりにして、試乗といきましょう。インプレッサWRXのSTiバージョンは、誰が何と言っても世界最速の2リッター量産車である。どの点を取っても素晴らしい完成度を持つからだ。その証拠に、フツ〜のヒトだとイキナリぶっ飛ぶのがスタート。こないだも、知り合いがSTiバージョン買ったというので味合わせて上げた。降りたらジブンのクルマなのに、激しく感激してたぞ。「オレ、こんなすげ〜の買ったのか」って。以下、モジで表現したい。
インプレッサに限らず、4WDターボ車で0〜400mスタートする場合、ブースト圧が最大になっている状態がベスト。そこでブリッピング状態からアクセル全開にし、回転リミッターに当たる寸前でクラッチをドカンと離す。後はアクセルを戻さないままクラッチをケ飛ばし、チカラ任せでシフトアップしていく。一般的な市販車でこのテクを使うと、必ずどこかが滑るか壊れる。シフトミスしてもオーバーレブでアウトだな。競技用じゃないから仕方ないか。
でもインプレッサなら出来る(何度もやれば、そのうち壊れるけどね)。やっぱり限りなくラリー車に近いからだと思う。特にシフトタッチは確実&極上。ボディ剛性の高さや、エンジンの回り方なども競技車両に近いガッシリ感を持っており、ポルシェ911と比べたって見劣りしない完成度である(峠道で勝負したら911より絶対速い)。ちなみに先代のバージョンWからの進化ポイントは、エンジンパワーとミッション。
なぜか? そいつぁライバルのランサーエボリューションが、大幅にパフォーマンスアップしてきたからだ。となると収まりつかんのはスバルのファンである。だってそうでしょ? ランサーに負けたらアカンもの。ちなみにランエボXは動力性能とハンドリングでWより大幅に真価。0〜400mもSTiバージョンWを凌いでいる。となればヤルことは解る。そう。動力性能の向上だぁね。技術屋サンは負けず嫌いなのだ。
ハンドリングはどうだろう。イチバン効果を発揮してるのが、倒立式ダンパー。レガシィGT−Bで採用された方式で、サスペンションの横剛性を3倍くらいに高められるというメリット持つ。30%でなく3倍。300%だ。このくらい違うと、乗った感じ別モン。ハンドル切ってもガッシリとフロントが路面にカジり付いてるの解るし、アンダー出たときの滑り味がしっかり伝わる。それでいて乗り心地を悪化させないときた。さすがにワゴンとして考えると硬いと思うけど、長距離ドライブだって余裕。
さて、このトボけたワゴンをどう評価したらいいだろう? 使われているパーツの価値や(カーボン製ストラットタワーバーまで標準)、凝ったメカニズムを考えると、291万9千円はムチャクチャ安いと思う。ピュアスポーツと言っても、オートエアコンやCDプレーヤー一体型120Wのオーディオまで標準装備するのだ。もしホントに走りを追求したいなら、セダンをプッシュする。でも「バンでスポーツカーをいてコマしたいんや!」と思うのであれば、けっこう強烈なアイテムであります。
<ワゴニスト>