<タイプRA>
 ここまで気合い入ってくると、もはやハンドル握りつつニタニタ笑うしかねぇな、です。だって真っ直ぐ走らないんだもの!路面のウネリで絶えずハンドルを取られるため、絶えず一定の保舵力キープしてないとアカンのだ。普通のクルマなら全然問題ない短時間の両手離し運転などトンデモナイこと。インプレッサWRXのSTiバージョンのタイプRAって、運転中の携帯電話は出来ない。むしろ安全かぁ?
 堅いブッシュのせいか、タイヤもゴロゴロと絶えずウルサイ。どうしてこんな性能を追求したタイヤ(BSのRE010)が市販車に純正装着されてるんだろ、とまで思う。さらにハンドルはパワステ付いてるのに重いし、シフトだって固いのなんのって。その代わりハンドル切ればクイックに反応。シフトもストローク短いから気持ちよく決まるんだけどね。いずれにしろ普通の道を普通にに走っているだけで「こいつぁタダモンでないな」と感じる。

 そんならアクセル踏んでみようか、てんで全開スタートなどカマすと、これが例えようがないくらいパワフル! 1速は一瞬にして吹けきる。クラッチをケ跳ばすと同時に2速へ叩き込めば、2速も同じようなイキオイでレッドゾーンに。3速さえ3秒くらいでオシマイか。いや、そんなこと考えてるヒマないくらい操作が忙しい。こいつに乗っていると、ノンビリ自動車ヒョウロンなどしてられんワな。ある意味、達人の道具なのだ。
 それでは、ということでWRCのターマックステージみたいなタイトでアップダウン多いテストコースに入り、ホンキってみた。ブレーキング残しつつコーナー進入し、タックインでテール流す。流れ始めたらすでにアクセル開け、ターボのブースト上げ、全開で立ち上がる。やや湿った路面でテール流れるけど、全神経をハンドルに集中すると、キッチリ流れる感覚が解るのだ。もちろんアンダー出る感覚も判断可能。

 こういった『極限の味』を追求したいがために、舗装路で真っ直ぐ走らくなってしまうワケ。路面からのインフォメーションを極限まで追求すると、遊びを無くさなければならないのだ。それにしても速い! その上で楽しいでないの! これぞスポーツカーだと思う。文字通り自分の手足のように走れる。タイトなコーナーが連続するようなセクションだと、インプレッサに勝てるクルマは世界に存在しないだろう。
 皆さんあまり知らないけど、STiのタイプRAとタイプRのドライバーズコントロール式センターデフは、サイドブレーキ引くと前後の駆動力を分断する機能が付く。加えてサイドブレーキの効きを強化してあるため、面白いようにサイドブレーキターン決まる。超タイトなヘアピンコーナーじゃ、ツールドコルスみたいな走りも出来ちゃう。ノーマル車のまんまで、だから凄いな。

 インプレッサくらいの走行性能になってくると、普通のヒトは事故らなくてもムチウチ症状出る。バケットシートでホールドされる身体こそモンダイないものの、クビがツラいのだ。フル制動から全開すると、ほぼ2G(遊園地のフリーフォールで落下する時の倍の加速)の加速度で前後に揺すられ、左右に滑る瞬間は横方向に2〜3Gのショック受けるそうな。サーキットと違い、一般道風テストコースはGの変化が激しい。
 最近クビを鍛えてないせいか、20分ほど攻めてたら少しずつムチウチっぽくなってきた。そこで「今日はこのくらいでカンベンしてやるか」と試乗会場に戻り、ややマイルドな味付けの2ドアに乗り換える。ここでマイルド、と表現することが正しいかどうかは難しい。というのもRAが飛び抜けて激しいのであり、2ドアも十分に凄いからだ。オートエアコンやパワーウィンドゥ標準装備されるも、2ドアボディは軽いため車重20sしか重くない。

<タイプR>
 ただ乗ってみたら、さすがにRAほどトンガッていなかった。直進安定性は長距離走行しても平気なだけ確保されているし、タイヤノイズも納得出来る範囲。毎日の足として使える能力を有す。空冷時代のポルシェ911みたいな存在だと思えばよかろう(新しい911は味薄い)。横剛性を確保出来る倒立式ストラットのため、堅い足回りの割に乗り心地イイ。動きがスムース。このあたりは外国製のスポーツカーみたいだ。
 試しにテストコースを走ってみた。すると基本的にはRAと同じくらい速いでないの! エンジン全く同じ。駆動系も同じ。ボディはWRカーに使われているのと同じ軽量&高剛性の2ドアとくる。ステアリングギアBOXが多少マイルドなくらいしか違わない(もしかしたら足回りも若干マイルドになっているか?)。速くて当然か? 今後は10分くらいでクビがヤバくなってきてしまう。

 RAとRの差は「普通なら解らないような極限のハンドリングと引き替えに通常走行時の快適性を得た」と評価しておく。いずれにしろインプレッサのSTiバージョンはすでに6回も進化を繰り返し、ある意味で究極の仕上がり持つに至った。弱点がない、と言い換えてもよかろう。新型のデビューは来年だと言われているけれど、現行インプレッサのボディが好みなら迷わず買いだ。
 ポルシェにも言えるコトながら、旧型車になってしまっても気合いの入ったクルマは味がある。そうそう。今回試乗した2モデルの他、4ドアのSTiバージョンというチョイスもある。ウォータースプレイやドライバーズコントロール式センターデフなど落ちるけれど(競技には使えない、という意味)、エンジン同じ。スポーツタイプのABSが付くので、むしろ乗りやすいと思う。奥さんもハンドル握る、というならこのグレードをプッシュしておく。