アルテッツァとレガシィB4、そしてアコードのユーロR。ワタシみたいな自動車の専門家ですら、もはや理屈抜きで「どれが一番なんだろう?」と思ってしまう。この3車の気合い入った対決記事が出ていれば、その本を買いたくなるぞ! 逆にいい加減な内容だったら腹立ちますけど……。だったら自らキッチリと比較したろうじゃないの! ということで、今回の企画となった。それにしても興味深い! アルテッツァはFR。B4が4WD。そしてユーロR、FFときた。でもジャンルとしちゃ『ミドルスポーツセダン』に属す。加えて250〜270万円という価格帯。
 さらに、だ! 3モデル揃ってヨーロッパに縁が深い。アルテッツァは開発コンセプトそのものからして、ライバルをBMWの3シリーズ&ベンツCクラスに置いたヨーロッパ戦略車種。ユーロRもホンダのヨーロッパ開発ディビジョンで企画され、現地で仕上げた。ネーミングからして解るだろう。レガシィB4だってポルシェと関係を持っているし、スバルというメーカーそのものがヨーロッパ的である。つまり世界に通用する本格的なスポーツセダンだということ。日本のミドルクラスセダンも、やっとヨーロッパ車と比べられるようになった。
 となれば3車だけで勝負を付けたらアカンでしょう! もはや国際基準ですから。そこでアルテッツァのライバルであるBMW3シリーズと、ユーロRと似たハンドリングの方向性を持つアルファ156も連れていくことにした。ヨーロッパ車と比べてナンボのもんや、でございます! メニューはフルコース。もてぎのオーバルコースを使った高速テストや定番0〜400m加速。そしてワインディングロード風のテストコースをギンギンに攻め込む。果たして評価はいかに!


  <レガシィB4>

 アルテッツアで大いに盛り上がったスポーツセダン人気の中、ひっそりとデビュー。しかしその実力たるや非凡だった! アルテッツァもハイパワーエンジンを搭載するけれど、やっぱり2リッターのNA。パワーで強引にテールを滑らすほどのポテンシャルがない。レガシィB4に乗り換えると驚く! 280馬力のターボパワーにモノ言わせ、アルテッツァなど寄せ付けない走りを見せるのだ。アルテッツァと比較した雑誌記事は、いずれもレガシィB4に軍配を上げたほど。初期型で若干強いアンダーステア傾向だったハンドリングだが、先日行われたマイナーチェンジでボンネットをアルミ化。劇的に効果あったらしく、スバルの一員としてふさわしい軽快なハンドリングとなっている。価格はアルミボンネット化で少し値上げ。それでもビルシュタイン製ダンパーや、MOMOのステアリング、CD&MD付く高級オーディオ、17インチが標準で264万3千円。


 グレードは2リッターノンターボ155馬力の『RS』と、こいつのビルシュタインダンパー仕様『RSタイプB』、そしてターボ付き『RSK』の3つ。ノンターボを買うなら、乗り心地良くない国産ダンパー使うRSより絶対RS−Bにすること。装備もよくて10万7千円差は絶対お買い得だと思う。もしターボ嫌いでなければ、RSKをプッシュしておく。17インチタイヤや、MD/CD付きの上級オーディオ、アルミボンネットなどフルに装備して264万3千円。しかもユーロRやアルテッツァと違い値引きも頑張ってくれる。見積もりを取れば、ライバルより安くなるハズ。走りや装備が良くて安い! レガシィB4人気は当然かもしれぬ。そうそう。ATだと260馬力。マニュアルなら280馬力。けっこう迷うかもしれないが、運転そのものを楽しみたいならマニュアル。スポーツセダンたるもの、4速のATじゃ物足りない。


  <アルテッツァAS200>

 ミドルスポーツセダン人気はアルテッツァから始まった。2年前の雑誌記事を見ると、アルテッツァ一色! 試乗記見ても、ごく一部のレポーターを除き(それはワタシです)絶賛状態。ただ最近になって「パワーが物足りない」とか「4気筒のエンジンフィール悪い」などという記事も見られるようになってきた。売れ行きも伸び悩んでおり、レガシィB4に負ける月が珍しくない。今回御指名したのは、先日追加された6気筒のマニュアル6速仕様。ヨーロッパじゃイチバン売れているアルテッツァだ。もちろん絶対的パワー無いから、動力性能からすれば負けて当然。でも6気筒こそが、ライバルをヨーロッパ車に見据えたエンジンなのである。BMWなら320i。ベンツC200あたりと勝負させれば互角か? アルテッツァの名誉のため書いて置くが、AS200の動力性能と筑波サーキットのラップは参考程度にしていただければよろしい。IS300を早く日本でも!


 エンジンは4気筒の210馬力(AT選べば200馬力)と、6気筒160馬力の2タイプ。どちらかというと4気筒が若いユーザー向き。6気筒はアダルト向きとトヨタ自ら言っている。ワタシの好みからすると、圧倒的に6気筒。確かにパワーじゃ4気筒に負けるが、エンジンの回り方などはスムースでキモチいい。それぞれ17インチタイヤを履く『Zエディション』も選べるけれど、2リッターのトルクではオーバースペック。むしろ走りを楽しむなら標準タイヤの方が楽しいと思う。それにZエディションって高い! 只でさえワンプライス値引き無しで買わなければならないアルテッツァなのだ。ベーシックグレード買うべきでしょう。ベストバランスのアルテッツァはAS200のベーシックモデル。6速MTならリアのLSDを標準装備して206万円! この価格なら十分納得出来る。現代版AE86みたいな乗り味で非常に楽しいです。

  <アコード ユーロR>

 このクルマは元々ヨーロッパ専用。日本で売る予定など無かった。しかし日本においてホンダのスポーツイメージが低迷するにいたり「日本でも売ろう!」という決断をしたらしい。ただホンダによれば「これはタイプRじゃありません!」。インテグラやシビックのように過激なスペックじゃないと言いたいのだろう。でも最後は手で仕上げるエンジンや、剛性から違うボディ、レカロのシートなど、ドコを取っても意気込みを感じる。注目度はスポーツ系ホンダ車の中じゃかつてないくらい高く、ユーロRがデビューしてから数日間というもの、ワタシのHPでもダントツの話題だったほど。ヨーロッパ仕様の最高速は、カタログ上で228q。0〜100q加速7,2秒と強力! 今回一緒にテストしたBMW323iや、アルファ156はヨーロッパでのライバル車関係。唯一の弱点が、装備満載のレガシィB4とあまり変わらない252万3千円という価格か?


 エンジンもグレードもミッションも選べない。考えようによっちゃ迷わないで済む。装備はフルに付く。エアコンやカセット付きオーディオに始まり、アルミホイール、16インチだが高い性能を持つタイヤ、大型ディスクローター、レカロのバケットシートといった走り関係のパーツは全部標準。強いて物足りない点を挙げるとオーディオか? B4ならMD/CD付きのハイパワータイプ。ユーロRも、せめてBOSEくらい標準化して欲しかった。というのもユーロRの価格、B4より11万円しか安くないのだ。オーディオだけで5万円分。さらにビルシュタインのダンパーや、17インチタイヤ分を考えると同等。もちろんB4のターボ2個と4WDシステム、アルミボンネットはタダの計算ですよ。トドメが値引き。ユーロRの値引き、当分極めて厳しいだろう。コストパフォーマンスでB4に負けているのがユーロR唯一のネックかも。

  <BMW323i>

 ヨーロッパ代表というより、世界的規模で高く評価されているミドルクラスのスポーツセダン。トヨタだけでなく日産やホンダも強く意識しており、お手本的存在だ。BMWより良いクルマ作ろうと必死です。全長4471o×全幅1739oのコンパクトなボディに、323iは2495t170馬力のエンジンを搭載。マニュアル5速仕様の最高速231q。0〜100q加速8秒というデータ(5速AT=228q/9秒)。ユーロRより300tエンジンが大きい分、最高速で有利となる。アルテツァAS200のライバル、320iは150馬力1991tエンジンを搭載。最高速219qと速い。ヨーロッパ車のエンジン出力って、品質悪い現地のガソリン使って計る。同じ基準で日本車のエンジン計れば、10%以上低くなるだろう。表示馬力が低くてもナメたらアカンのがヨーロッパ車。2794tエンジン積んだモデルもあり、240qと速い!


 3シリーズは1,9リッター4気筒の『318i』と2リッター6気筒『320i』、2,5リッター6気筒『323i』、2,8リッター『328i』というラインナップ。このうち、320iがアルテッツァ。323iはユーロRで、328iだとB4と似たような動力性能を持つ。それぞれの排気量で、スポーツエンジンでもないターボ無しモデルとしちゃ世界最速なのが凄い! 参考までに書いておくとインテRの最高速は233q。ちょっと嬉しかったりして。ヨーロッパだとユーロRあたりと価格的に競合するのだが、日本じゃメチャクチャ高い! 320iで418万円とライバルAS200の倍。使ってる部品の精度など考えれば100万円程度の差なら納得するが……。BMWのマーク100万円払うようなもんだ。大いに笑うのは、マニュアルミッション車の設定が318iにしかないこと。売る方も買う方もBMWを解ってないのか?

  <アルファ156>

 FFスポーツセダン代表と言えば、アルファロメオかアウディだろう。しかしアウディの得意分野ってFFというより4WD。そこで近年FF一筋のアルファロメオから156を選んだ。全長4430o×全幅1745oのボディサイズは、BMW3シリーズやアルテッツァとほとんど同じ。アルファ156も典型的なミドルクラスのスポーツセダンである。今回のテスト車、V型6気筒2492t190馬力エンジンを搭載、最高速230q(ATだと227q)、0〜100q加速8,5秒という性能を引き出す。アルテッツァAS200の対抗馬になる2リッターモデルもラインナップし、これまた最高速216qと強力! V6用ATは日本のアイシンAW製で「Qシステム」なるシステム。Dレンジの他、Hパターンのゲートを持ち、マニュアル4速車のようなシフトチェンジも出来る(ただし変速機そのものは従来通りのトルコン4速。スポーツシフトだと思えばよい)。


 これまで書いてきた通り、アルファロメオは個性がイノチ。ユーザー層もそのあたりをキッチリ解ってる! スポーツカー以外の輸入車としちゃ例外と思えるくらいマニュアルミッション車の販売比率高い。当然のごとく2リッター4気筒も2,5リッターV6にもマニュアル車の設定があります。さらに2リッターのATは『セレスピード』なるフェラーリF−1みたいな方式の油圧クラッチ+5速ミッションという凝ったシステム。アルファロメオ乗ってるヒトは、気合い入ったクルマ好きだと思ってよろしい。しかし最近アルファロメオも一般化しており、壊れるとモンク言うユーザーが多いとのこと。ワタシはアルファのファン(過去2台乗った)ですけど、1年のウチ、3ヶ月工場に入ってても平気でしたよ。聞けば最近のアルファ、壊れにくくなってきたらしい。2リッターと2,5リッターは50万円差。バランスいいのは2リッターの方だと思う。

●動力性能 最もパワフルなのは、言うまでもなくレガシィB4である。残念ながら今回データが取れなかったけれど(バンクを走るためコンピューター変えたら、安全回路が作動したらしい)、確実に0〜400m加速14秒台前半をマーク。最高速も250q近辺まで届く。やっぱりターボの効果絶大といったところ。しかも絶対的な動力性能だけでなく、トルクが太い。コーナーからの立ち上がりなど、車重を感じさせないほど。
 2番目がユーロR。やっぱりエンジン命のホンダだけに、排気量で負けるヨーロッパ勢よりパワフルだった。エンジンフィール&サウンド共に抜群! ついつい意味のないシフトを繰り返してしまいます。意外だったのは高回転域のパワーより、常用回転域でトルクを感じる点。3千回転くらいからアクセル踏んでもキッチリと加速する。逆に6千回転以上は単に回るだけ。そこがタイプRと違う個性だ。

 3番目は323i。ヨーロッパの粗悪なガソリン使っても170馬力出し、最大トルクでユーロRを凌ぐ。日本仕様はATのためデータからするとユーロRに大きく負けているが、マニュアル車なら肉薄すると思う。非常に高い工作精度の部品で組まれているエンジンだけに(回転部分の重量誤差もほぼ無いと思う)、振動の類は全域で感じない。トルクが太いからコーナーからの立ち上がりもキモチよかった。
 そして156。これまたマニュアル5速であれば、ユーロRや323iといい勝負をする。しかもエンジンフィールが抜群にイイ!さすが往年の名レーシングカーメーカーだけに、高回転まで引っ張ると音も素晴らしい。管楽器のような「クオッーッ!」的な音質。加えて高回転型のエンジンときた。こらもう、高回転域使いっぱなし状態。低回転域は、2,5リッターもあるエンジンとしちゃ物足りないトルク感だ。

 160馬力のアルテッツァじゃ正直言って勝負にならん! 登りのワインディグロードだと、3速にシフトアップした途端、失速してしまう。いや、210馬力のRS200を持ってきてもダメ。アルテッツァのボディを軽々と走らせようとすれば、やっぱり2,5リッターくらい必要(3リッターなら文句無し!)。BMWだって320iだと物足りない。エンジンフィールは6気筒がトルク無いけどスムース。4気筒だと高回転域で詰まる感じ。

●コーナリング クルマのハンドリング特性は、大きく二つに分けられる。テール流すことを容認するか、容認しないか、だ。一般的にサーキットを走る場合、容認しない。というのもテール流れたら確実に遅くなるから。対してWRCのように一般道を使う競技だと容認する。例えばコーナーが予想よりキツいとしよう。テール流れた姿勢で入っていけば、より一段と深いドリフトアングル取ることでスピードダウンが可能。
 反対にコーナー緩ければアクセル全開で加速すればよろしい。も少し簡単に説明すると、サーキットのようにコースが解っている状態で速く走るなら「流さない派」。ワインディングロードのように安全マージンを取りながら走ろうとすれば「流す派」となる。今回の5車。この基準で分類すると、流す派がB4/323i/AS200。ユーロRと156は流さない派に属す。一定レベルのテクニックを持っているヒトだと、どちらがいいかは好みの問題。

 また、ユーロRのバアイ、ハードの関係から流せないんだと思う。一般的にテール流れたら、クルマが勝手にカウンターは当ててくれるのだ。テール流れた瞬間ハンドルから手を離すと、キッチリと流れた分だけハンドルが切れるってこと。そしてカウンター当てている最中も、路面感覚がある。ユーロRは電動パワステ使っているせいか、テール流れると路面感覚無くなってしまう。こうなるとコントロールしにくい。
 そいつを嫌ってテール流れない方向にしたんだろう。ちなみにインテRとシビックRは流れる派。156も理由あって流れないようにしてるかも。なんせリアタイヤ見ると、ハッキリ解るほどネガキャンとトーインが付いている。以上、まとめるとワインディングロードで自由に振り回せるのは圧倒的にB4。323iとAS200は引き分け(高速コーナーは323i。低速コーナーAS200)。ユーロRは、流れない派の優等性的存在。
5位/156 ボディの剛性感が低く、その割にグリップ指向のタイヤを履くせいだろう。荒れた路面を通過すると、いろんな場所からギシギシ音が出る。コーナー思い切り攻めたら足回りから「バキッ!」と音がしてタマげた。海のように広いココロと、アルファロメオに対する愛情を持ってないと厳しい。
4位/AS200 エンジン関係のスムースさについちゃ問題ない。問題は乗り心地。ビルシュタインを使うB4や、最近評判良いショーワのダンパー使うユーロRと比べれば、カンペキにワンランク下の乗り心地。やっぱりダンパーの質だと思う。日本の自動車メーカーは部品コストに厳しいので、どうしても精度が低くなる。
3位/323i こんなにドタバタしたっけ? と思った(タイヤ太すぎるのか?)。今回試乗したクルマだけ評価すると、AS200並。でも走行距離多いワケでないからボディがヤレたんでもないだろうし。とはいえ長距離を連続して走るような使い方だと、ストレス貯まらないエンジンフィールや疲れないシートが快適だ。
2位/B4 ユーロRとさんざん迷った。ユーロRって普通に走っている時のステアリングフィールやエンジンフィールがシャープでスポーティなのだ。今回はスポーツ性を重視しましょう。GTカー選びという基準なら、B4に軍配を上げますけど……。次期型インプレッサがデビューしたらどうなるか楽しみ。
1位/ユーロR レカロのシートはやっぱりその気にさせる! ストローク感ありながら、腰のある足回りの味付けも大人っぽい。街中で足として使うような時の乗り易さ(クラッチミートやドライバビリティ)なども、素直なトルク特性を持つユーロRがいい。なんせAT無くてもいいな、という気にさせるほど操作しやすいのだ。
 BMWとアルファロメオ以外のミドルスポーツセダンと言えば、ベンツCクラスとアウディA4でしょう。しかし間もなく新型に切り替わるCクラスは、車重が100s近く重くなってしまいスポーツ度からすれば低くなってしまう。なんせ2,6リッターエンジン積む『C240』の0〜100q加速は9,2秒。アルファ156の2リッターモデルが8,5秒だから多いに物足りない。A4どうか? 1,8リッターのターボモデルだと最高速221qの0〜100q加速8、4秒。2,4リッターV6は226q/8,4秒で、なかなかの実力。次期型インプレッサにA4と同じようなスペックのモデルがあると言われているので(ウワサによれば240〜250馬力の4WD)、デビューしたら勝負させてみたい。いずれにしろミドルスポーツセダンの本場はヨーロッパ。魅力的かつ高性能のモデルがタップリある。機会あったら勝負させてみたい。