SX4試乗レポート
永:スズキの国際戦略車の第3弾となるSX4です。
国:WRCへの参戦も計画されているから、ベース車がどうか非常に楽しみ。
新:SX4のSXはSports X(クロス)―over(4は4WDや四季を現す)の意味だそうです。
国:広い意味で見たらラッシュ・ビーゴあたりが競合するけど、パッと「ライバルは○○だ」とは思い浮かばない。
永:スズキは過去にクロカン4WDの分野ではジムニーや初代エスクード、47万円のアルト、カプチーノ、ワゴンRなど時折エポックメイキングなクルマを出してきました。SX4が乗用の登録車のジャンルでの再び「スズキのエポックメイキング」となるか興味あります。
国:ヨーロッパでは3月から発売されているけど、もう納車まで10ヶ月待ちくらいの大人気になっているそうだからね。
<試乗レポート1 1.5XG>
永:1台目の試乗車はメーカー側で売れ筋になると予想している1500XGです。ご覧の通りアウトドア指向です。
新:インテリアの質感、高いですねえ。
永:漠然とした表現だけど、マツダや三菱よりもいいレベルではないでしょうか。
国:スズキはスイフト以来、ヨーロッパでドンドン売ろうと頑張っているからクルマの作りも凄く良くなってる。
質感でもクラスをリード!
永:今後席に座っていますが、走り出してまず感じたのは乗り心地がいいことですね。適当な硬さで、揺れの収まりはいいという個人的にすごく好きなタイプです。
新:ダンパーはKYBだそうなんですが、ここまで出来るんですね。
国:ボディ剛性がすごく強いのもかなり貢献してると思うけど、ダンパーの使い方もかなり上手なんだろうなあ。それにしてもハンドリングいいねえ。追い込んでチェックしてみると……。
永:リアシートからでもテールの流れ方はゆっくりなのが分かりますね。
国:スイフトのレベルを上げて、マイルドにしたような感じかな。加えて、車高が高い分ストローク豊かでコントローラブルなところはフォレスターとかアウトバックに近い。
走りは「しなやか」の一言
新:エンジンはどうでしょうか?
国:エンジン自体はごく普通。車重が1500ccのFF車で1200kg近いから「どうかな」とも思ったけど、フル乗車する機会が多いとか山道を頻繁に走るのでないなら1500で十分。
新:スイフトの1500よりも7%くらいローギヤーに振られているのも利いているでしょうね。
国:運転交代。
永:エンジンは極々普通ですけど、3人乗りの山岳路でも力不足なく十分だと思います。
新:永田さんが一人でつぶやいてるのを聞いてると、すごく気に入っているみたいですね。
エンジンは平均点
永:このハンドリングというかロール感が好きです。それなりにロールするんですけど、ロールに腰があって不安感をまったく感じさせないんです。「しなやか」という言葉がピッタリだと思います。それと電動パワステもスイフトよりも自然なフィーリングになっていますねえ。
国:本当にスズキのクルマは良くなった。これなら使われ方の厳しいヨーロッパでも十分戦えるよ。
<試乗レポート2 2.0S(4WD)>
けっこうイメージ違います
永:二台目は標準ボディの2.0Sの4WD仕様です。
国:こちらのエンジンも性格としては1500と似ていてごく普通。でもさすが500cc分の余裕は感じる。予算が許せばこちらを勧めたいかな。高回転のパンチなんかはないけど。
新:先ほどの1.5XGと比べた場合、エンジン以外の違いとしてはタイヤが17インチになる点、車高、1500には設定のないESPが装備されることなどがありますけどハンドリングはいかがでしょう?
国:傾向としてはさっきのクルマに近い。もちろん、タイヤや車高が変わっている影響でロール量、タイヤのヨレが減ってスポーティな方向に振られている(もちろんコーナリングスピードも速い)。アウトドア志向のXG共々、どちらもよく出来ているから好みで選んで間違えはないね。じゃあ、新美乗ってみて。
こちらの走りは「剛」。どちらを選びますか?
新:はい。やっぱり余裕ありますね。でも、エンジンの味付けは実用性よりも気持ちよさに振って欲しい気がします。
国:どういうこと?
新:扱いやすさ、実用性では1500でも十分以上だと思うんです。だったら2000は現状だと似た性格の延長線上なのでガンガン回して楽しいとか、いい音がするといったお楽しみなんかがあってもいいと思うんですよね。
永:私個人としては今のATと組み合わせだったらこういう性格でいいと思う。確かにもう少し高回転をスムースにしてもらえればいいなとは感じるけど。
新:高回転で元気なエンジンは後々MT車用に用意してもらえればいいですかね。2リッターを選ぶ理由に「ゆとりが欲しい」という以外にも“2リッターとしての個性”もあった方が買う場合の決め手になるんじゃないかと思うんです。ユーザーからすると感覚的には「大事なお金をエンジンに投資する」わけですからね。
2リッターには付加価値が欲しいかも
国:5速ATになれば劇的に良くなると思うんだけど。
新:ではSX4好きの永田さん、交代して下さい。
永:エンジンの印象は2人と同じです。ハンドリングはこちらの方が引き締まった感じでスポーティーカーといえるくらいのレベルだと思います。ただ、乗り心地はちょっと硬い感じになりますね。個人的には1.5XGのしなやかな感じが好きです。
国:俺は2.0Sがいいな。
新:僕も2.0Sです。
永:もし「1.5XGのしなやかな足と2リッターエンジンが欲しい」という欲張り方がいらっしゃったら、カタログも出ているように2リッターエンジンで車高が高い“2.0XS”というグレードも出るようなので、そちらを待たれてもいいと思います。
お買い得感もセールスポイント!
新:SX4ってこんなにいい車なのに安くないですか?
永:ものすごく安いと思います。
国:いくらなの?
永:FF車で話を進めますが(4WDは21万円高)ベースとなる1.5Eで149万1千円です。1.5EでもCD/MD付きオーディオまで付くフル装備状態です。さらに約16万円高の標準ボディの1.5G、1.5XGになるとカーテンエアバッグ、サイドエアバッグ、ディスチャージヘッドライトまで付きます。
国:メーカー側では「特にライバルとして考えているクルマはない」って話だけど、見た目で近いカローラランクス、ティーダなんかと比べるとエイヤで15万円くらい安い感じだね。
新:スズキは後発だから値段でも頑張らなくてはならないのは分かりますけど、それにしても安いです。
永:2.0Sもオーディオこそ付いていませんがESP付きで182万7千円ですからねえ。
新:SX4はステーションワゴン的にも使えますから、同じようにステーションワゴン的にも使えるウィッシュ、ストリームあたりと「どちらにしようかな」という選び方も出来ると思います。2.0Sの価格は1.8リッターのウィッシュ、ストリーム(標準タイプ)とほぼ同じですしね。
国:スズキはスイフト以降、本当にいいクルマを作るようになった。あとはブランドイメージさえ確立できれば、登録車の分野でも十分戦っていけると思う。一度ディーラーで試乗してみて欲しいね。
4人分の荷物は十分飲み込みそう
スズキのイメージ向上はSX4次第?
スズキ期待のSX4の仕上がりは我々の予想を大きく上回るものだった。河原でのキャンプ程度のアウトドアなどをする方には1.5XGを。普通に5ドアハッチバックとして使われる方なら標準タイプを、自信を持って勧められる。
試乗会の合間に、ボディ設計、シャシー設計の方とお話することが出来たのだけど、スズキのクルマがここまで変わったのはやはり「“クルマの本場であるヨーロッパ市場に力を入れよう”という方針を決めたから」だそうだ。開発段階において、世代の古いスズキ車でペースの速いヨーロッパの道路を走ると飛ばすのが怖かったとのこと。その段階からここまでクルマを良くしてきたのは本当に立派なことだと思う。
そして、SX4の話となると外せないのがWRC参戦の話題だろう。試乗した感じでは非常に優れたコントロール性を持っており、ラリーカーとしての素質は高そう。開発もスズキ自体が参加して行われるため、開発スピードも早そうである。WRCに参戦した暁にはクルマ好きのツボにはまる4WD+ターボのラリー車のレプリカなども出して欲しいと思うところだ。
ここまで書いてきたように、我々のSX4に対する評価は非常に高い。SX4のWRカー、WRCでの活躍、市販車の本格スポーツモデルなど本当に期待でいっぱいである。もしかしたら、何年か先にスズキは大化けしているかもしれない。
レポート/永田恵一
|