あらら!「カタログの写真で見るより全然カッコいでないの!」と、実車を見た瞬間思った。カタログっていろんな制約あるため、上手にデザインを表現できないこともあるんだろう。どうです? 走りのカット、とってもカッコいいでしょ? これまでのマーク2を見ると、マーク2はボディサイズの割にキャビンが小さい。お父さん達がアメリカ車みたいなデザインを好んだから。小さいアメ車だったワケ。
だから同じようなボディサイズ持つヨーロッパ車と比べ、圧倒的に室内狭かったワケ。新型マークUはその悪循環を裁ち切り、ボディ形状もハードトップからセダンとした。乗ると明らかに今までのマークUより室内は広くなり、やっと世界水準に近づきましたね。ということで最初に乗ったのは、新開発となる直噴D4の2,5リッター直6を搭載するグランデG。まぁマーク2の代表と言ってよろしかろう。
Dレンジをセレクトして走り出すと、予想外にスムース。同じD4でもクラウンに搭載されている3リッターはパワーの出方が唐突で、スタートで飛び出すようになってしまう。ワタシなどスノーモードの2速発進でないと辛抱できないほど敏感。その反省あってか、マーク2は素直に走り出す。絶対的パワーも満足出来るレベル。良くできた2,5リッターエンジンだと思う。オートクルーズセットして100km巡航すれば、リッター13kmくらい走りそう。
足回りは「普通のドライバーなら100%満足できるでしょう」といった仕上がり。ボディ剛性が非常に高く、荒れた路面を走ってもサスペンションだけで”イナして”しまう。感心したのはダンパーの動き。細かい路面の凹凸に対してキチンと追随しており、フランス車のようにしなやか。騒音や振動も少なく、普通の国産車から乗り換えたなら「やっぱりマーク2は凄くエエなぁ!」と感心するに違いない。実際イイんだけど。
ただBMWやベンツから乗り換えれば、いろんな点で物足りないかも。少し早めのコーナリング中、路面の目地など通過すると驚くくらい大きなキックバック(ハンドルへの衝撃)喰うし、高速域になればダンパーの抑えがイマイチ物足りなくなる。ユックリ走り、ユックリ曲がるような乗り方向き、と言い換えてもよかろう。ま、国産車としちゃ100点ながら、輸入車から乗り換えて満足出来るレベルには達していません。
限界特性はVSCのため写真の姿勢までしか崩れない。楽しくない代わり、非常に安全だと思う。興味深かったのはナビと連動し、自動的にギアを落とす機構。ナビの地図からコーナー読みとって、曲がり具合によって3速まで落とす。まだ積極的に制御してないため効果は薄いが、近い将来は曲がれる速度より明らかに速くコーナーに進入したら警報を鳴らしたり、自動的にブレーキ掛けられるようにもなるそうな。改良すれば事故を未然に防げる。凄いです。
お次はいよいよ280馬力のターボエンジンを搭載する『iR−V』。今回からツアラーというグレード名じゃなくなったのだ。凄く気合いが入っているかというと、そうでもなさそう。というのは従来型とエンジン同じだから。トヨタによれば「ブラッシュアップした」(磨きを掛ける、くらいの意味)というけれど、馬力&トルクの発生回転数まで同じ。車重は同等なので、乗る前から動力性能も期待してなかった。
走り出すと「う〜ん!」といった感じ。例えばミッション。5速マニュアルなのだが、10年以上前からほとんど進化していない。しかもエンジンの回転落ちもユックリだから、素早いシフトを受け付けてくれないのだ。ぐお〜っと引っ張りクラッチ踏む。その状態で一呼吸置かないと、回転数ピッタリ合わないワケ。そして一度回転が落ちると、今度はターボラグあるためワンテンポ遅れて加速が始まる、といった感じ。
むしろATとのマッチングの方がいい。考えてみるとマーク2のマニュアルミッション車の販売台数なぞ非常に少なかろう。十分にお金を掛けられないワケ。クルマ好きとしちゃマニュアルを残してくれただけで感謝しなければならないか? とは言えアクセル全開にした時の速さは十分満足出来るレベル。やっぱりマニュアルのスポーツセダンにゃ魅力を感じる。また、ボディ剛性は従来型から劇的に向上しており、乗った瞬間に「こら良い!」と感じた。
お約束のハンドリングチェックといきましょう! テストコースに持ち込み、思い切り攻めてみる。さすがにボディ剛性上がった成果はキッチリ出ており、テール流れた時のコントロール性はなかなか高い。残念ながらトヨタ製FR車に共通する弱点である「流れ出しがマイルドでない」という弱点はそのまま持っており、パワーでテール流そうとすると神経を使う。写真は3速130kmくらいでタックインさせ、そのままパワーでスライドさせた状態です。
ここまで攻めると多少神経質になる。普通に飛ばすくらいなら、適度に引き締まって好ましく思えるサスペンションも、限界まで攻めるとダンピング不足。BMWなどのスポーツグレードに対抗するのであれば、も少し利きの良いダンパーが必要だ。これまた輸入車や本格的なスポーツドライビングを知っているドライバーだと満足でけん。ちなみにタイトコーナーでパワースライド楽しもうとすると、2速ギアは高すぎ。
感心したのが乗り心地。乗り心地いいな、と思いつつ降りてサイズを見ると、前輪215/44R17の後輪225/44R17という太いサイズのタイヤ履いている。ボディ剛性高くてキチンと動くダンパーのおかげだと思うが、知らなければ普通サイズのタイヤみたい。マニュアルミッション車だけでいいから多少乗り心地悪くなっても性能に見合うスポーティな足回りにすればなぁ、と感じました。
<試乗前のレポート>
スペックからは新型マーク2のポテンシャルがイメージ出来ない、といってよかろう。例えばエンジン。新型に搭載される280馬力のツインカムターボ『2JZ−GTE』の数値は、従来型と全く同じ。すなわち最大トルク38,5smを2400回転で発生し、最高出力も6200回転で出す。資料によれば数々のブラッシュアップ(ブラシで磨いたような改善。大きな手こそ加えていないけれど、ホコリや小さな弱点を落とすくらいの効果はある、という意味)をしたとある。
ま、最もエンジンを作り直すのはエラく大変。スバルのように全シリーズの半分がターボというくらい売れていれば、2年に一度のマイナーチェンジでもタービン変えちゃうようなことも出来るけれど、残念ながらツアラーVの販売台数さほど多くなかったこともあり、大きな改良をするほどの予算が取れなかったんだろう。しかしブラッシュアップでもやれる点は多い。残念なことに新型は車重が増えてしまったが、ブラッシュアップにより車重増をチャラにするくらいの実用トルクアップはしてると思う。
ミッションも先代の5速をそのまま使ってきた。もちろんブラッシュアップしてるだろうが、スープラなどに採用されている大容量のゲトラグ6速あたりを組み合わせるかな、と思ったら、これまた違う。かといってアルテッツァRS200の6速も付かない。何らかの理由によってマークUへの採用が出来なかったのだろうけど、少しガッカリしたファンも多いんじゃなかろうか。いずれにしろエンジンとミッションは、従来型そのままの基本スペックだと考えて欲しい。
車体はどうか? こらもう一新している。これまでのマーク2って、今や珍しいハードトップだった(ピラーレスでないので、本当の意味でのハードトップじゃないが……)。しかし時代はスペース効率。狭い4ドア車を肯定する流れでない。世界的に見ると、マーク2くらいのサイズあるセダンなら後席に大人がユッタリ座れるのが常識。全幅1760mmはプジョー406などと同等だ。なのに従来型マーク2の室内は、けっして広くなかった。2リッタークラスのセダンに負けるほど。
そこで新型は長年続いたハードトップを止め、完全なセダンとしている。プレス向きのリリースにも「セダンの喜びを再認識して欲しい」と書いてあった。じゃ「セダンとはナニよ?」と聞かれたら、世界水準を横目に考えると「サイズに応じた室内スペース持つこと」であろう。今までのように「ボディがエラそうに見えれば、多少狭くていいよ!」でなく「アッパーミドルセダンなら、少なくともミドルクラスのセダンより快適な室内を」だ。かくしてキャビンスペースは一回り大きくなった。
数値で比べれば、全高で60mm。ホイールベース50mmである。いずれの数値も、スポーティな走りと逆行する流れ。まぁ最近はホイールベース2800mmあったってキビキビ走るBMW5シリーズのようなクルマもあるので、気にしないでいいのかもしれない。ただ車重が30kgほど増えているため、エンジンの改良を行っても飛躍的な動力性能の向上は期待しない方がよかろう。0〜400m加速で同等か? 十分速いからこれで良い、という判断も出来る。
納得出来ないのは車重の増加。トヨタの新型車の多くが、軽量化したボディを持つ。MR−Sのボディなんか、同じクラスのマツダロードスターと比べ**s軽いし、ファンカーゴもライバルのキャパより100kg軽い。カローラもシビック・フェリオより**s軽いのだ。また、同じ車重のクルマについては、排気量アップで対応している。セルシオのバアイ、車重同じだが排気量上げた。マークUだけ車重もパワーも変わらない。こいつをどう評価したらいいだろう。100kg軽かったらね、と思う。
一方、楽しみなのが最高速。新型のCD値は0,29。従来型より大幅に低くなっており、速度リミッターをカットしたとすれば楽々250kmに届くスペックだ。同じエンジン積む従来型より10kmくらい良くなってるハズ。そこまで出さないにしても、高速燃費は確実に向上するから嬉しい。さて、ここまで読むと「なんだか気合い抜けるね!」と感じるかも。ワタシも資料をチェックしていて、ドンドン期待値下がってくる。せっかくに新型車なのになぁ。
ここで様々なルートを辿り、新型マーク2が「タイしたクルマでない」のか取材してみた。するとどうだ! 乗るとイメージ変わるそうな。具体的に説明する。新型マークUのボディ、めちゃくちゃ剛性あるという。こら予想可能。トヨタのボディ設計は急速に進化しており、従来型マーク2の頃とレベルが違う。ヤワいボディなど作らないのだ。セルシオのボディに乗れば、進化具合が解る。新型マーク2のボディが、その設計陣が新設計したもの。当然ボディ剛性凄かろう!
また、設計時点で「17インチの高性能タイヤ履いても耐えるボディ」としている。従来型は16インチでもタイヤの性能にボディが負けた(コーナー攻めるとヨジれる感じ)。だからこそ乗り心地やハンドリング悪くなってしまったのだ。ベンツのAMGやBMWのMシリーズなど乗ると、18インチタイヤ履いてても乗り心地が決して悪くない。ボディ剛性高く、サスペンションしっかり動くためである。新型マーク2のボディも、17インチを受け止める能力を持つ。
ちなみにターボエンジン積むスポーティグレード『iR−V』は、フロント215/45ZR17にリア225/45ZR17を履く。従来型の205/50R16と225/R16という組み合わせからすると、フロントが2ランク。リア1ランク程度グリップレベル高い。逆に考えると、そいつをキチンと履きこなすだけのボディ剛性を持たせようとすれば、進化したボディ設計技術投入しても軽量化出来なかったということだ。新型マーク2は、乗った瞬間に「ボディがガッシリしたね!」と解るほど凄いとか。
総合して考えると、どうやらBMWの5シリーズのようなボディに仕上がっているようだ。アッパーミドルクラスのセダンとして恥ずかしくない室内空間で、17インチの高性能タイヤのグリップ能力にも耐える。この情報が事実だとすれば、従来型と同じパワーユニットであっても、素晴らしいクルマに仕上がっていることだろう。なんせ280馬力の38,5smという絶対的なパワー&トルクは、4リッターV8級のNAエンジンに匹敵するのだから。
それ以上に楽しみなのがハンドリング。前述の通り従来型マーク2はボディ剛性が足るず、結果的に限界領域でのコントロール難しいクルマになってしまっていた。公道を模したようなテストコースだと、パワースライドを楽しむことも出来ないほど。「狙ったラインから50cm以内に付けるのが難しい」と表現しておく。特にコーナー立ち上がりでパワー掛けた時の挙動はシビア。突如流れてしまい、流れたら止まりにくい。いわゆる「トリッキー」なハンドリングなのだ。
リアサスの横剛性などが十分でなかったのだろう。これも剛性あるボディであれば、簡単に対応可能。元気あるトヨタのイメージそのままの走りを期待しておく。嬉しいことにターボのiR−Vのみマニュアル5速が設定されており、トルセンLSDまで標準装備される(他のグレードはオプション)。走ってくれ、とせがまれているような装備といってよかろう。そうそう。iR−Vはスピン防止装置VSCの設定もない。これまたハンドリングに自信ある証明か?
こうなると試乗が楽しみ。現在日本車の280馬力FRマニュアルミッションは、スカイラインとマーク2のみになってしまった。スカイラインのハンドリングは素晴らしいけれど、肝心のクルマの商品力に問題を抱えている。もし新型マーク2のハンドリングがスカイラインに届くか凌げば、意外に大きなマーケットなんじゃないかと思う。決して安くないクルマなれど、BMWなら318iを買う御予算。内容さえ伴っていればお買得だ