新型クラウン発表!
<大転換後のクラウンが進んだ道は?>
スタイリングから見ていこう。新型クラウンを見てまず感じたのは、「先代クラウンのスタイルを基本に一層若返りを図った」ということ。人によっては「若返り過ぎて、クラウンならではの風格が薄れた」と評価する方もいるかもしれない(個人的にもそんな印象はある)。しかし、発表会から帰る際にホテルの駐車場にたまたま停まっていた先代クラウン・アスリートを見て、「ちょっと古く見えるかも」と思ったのも事実。そう考えると、しばらく時間が経てば多くの支持を集めそうなスタイルといえるのではないだろうか。なお、サイズは全長4870mm(先代+30mm)×全幅1795(+15mm)×全高1470mm(±0)と、日本国内での取り回しを考慮してか全幅を1800mm以下に抑えている点が目を引く。
右/ハイブリッド、左/ロイヤル、ちょっと昔のマーク2のような雰囲気もあるか?
30代、40代から支持を集めそうなアスリート
バリエーションはクラウンの基本となる『ロイヤル』。今やクラウンシリーズの大きな柱となっている『アスリート』。今回から追加された『ハイブリッド』(5月6日からの発売)の3種類。大まかな特徴、方向性は……。
・ロイヤル/クラウンらしい落ち着きを強調(タイヤは17インチ)
・アスリート/先代と同じく開口部の広いバンパー、ハニカムグリル、丸いテールランプによりスポーティな印象(タイヤは18インチ)
・ハイブリッド/クリアテールランプ、専用デザインの18インチホイール、グリル(ロイヤルのものに近く見えるが若干違う、バンパーはアスリートと共通)を使い差別化
といったところだ。

写真はアスリートとハイブリッドのリアビュー
インテリアも先代の延長線上にあるといっていいだろう。

左/ロイヤル、右/アスリート、木目の質感は先代の方が良かったか?
面白いのがハイブリッドに採用されたファイングラフィックメーターである。パソコンなどと同じTFT液晶パネルを使ったもので、メーター内にはスピードメーター、パワーメーター、エネルギーフロー(ハイブリッドシステムの状況)などが表示される。実際の視認性などにも注目したい。なお、後席は「広々とはしていないが、適度な包まれ感があり居心地は良さそう」という印象だった。
ハイブリッドのメーター、スポーツモードにすると赤いイルミネーションとなる
<入念な煮詰めを図った機能面>
続いて、新型クラウンのメカニズム面を紹介していこう。まず、ガソリン車は先代と同じV6の2.5リッター、3リッター(それぞれ直噴)、3.5リッター(直噴+通常のポート噴射のD4−S)の3種類。ロイヤルサルーン/2.5リッターと3リッター、アスリート/2.5リッターと3リッターという設定だ。エンジン自体は基本的に先代と同じと考えていいだろう。
さらにカバーが豪華になったエンジンルーム
トランスミッションはガソリンエンジン全車定評ある6速ATで、スポーツモード(新型クラウンではシフトスケジュールだけでなく、ショックアブソーバーの減衰力、電動パワステのアシスト量もスポーツ走行用となる)とスノーモードに加えて燃費重視の「エコモード」(エアコンの制御も燃費方向へ振る)も選べるようになった。
シフトレバー後ろに置かれるAT関係のモード切り替えスイッチ
ハイブリッドは基本的にレクサスGS450hと同じ3.5リッターV6(D4−S)+モーターで、システム出力は345馬力。最も大きな違い(というか改良点)として挙げられるのが燃費で、10・15モード燃費ではGS450hの14.2km/lから15.8km/lに向上。燃費が良くなった要因をハイブリッド担当のエンジニアの方に尋ねると、「一番大きいのはファイナルのハイギヤード化(GS450hの3.769に対して3.266。キャラクターの違いも考慮してGSほどの加速力を求めなかった部分もあるようだ)です。それ以外にもブレーキの引きずり抵抗の低減、車重がGS450hより50kg軽いことなども寄与してます」。実燃費の向上にも期待したい。
燃費指向を再び強めてきたのはいい傾向
プラットホームは先代のものをキャリーオーバーしている。大きな改良点はクルマにたくさんあるコンピューター(エンジン、ATを代表にブレーキ、電動パワステ、カーナビなど)の通信系を一新しスムースでレスポンスの良い走りを実現しているところだ。
エンジン、スロットル、ATの連携も「あ・うんの呼吸」といえるほどスムースとのこと
その一例として挙げられるのが純正HDDナビの地図情報(コーナーの角度など)を利用して、ショックアブソーバーの減衰力を最適化する「NAVI・AI−AVS」である。一度通った道の路面状況をカーナビに記憶させ、次に同じところを通るときには前回の情報を踏まえ適切な減衰力を選ぶ機能も備えられる。
NAVI・AI−AVSは究極の可変ダンパーとなるか?
<ハイブリッドと並ぶ目玉となりそうな安全性>
クラウンが高い支持を受けてきた理由の1つである安全性も大きく進歩した。衝突安全性については今やどのクルマもある程度横並びなので触れないが(クラウンはJ−NCAPの最高ランクとなる6つ星相当とのこと)、アクティブセーフティでは今までミリ波レーダーによる前方からの情報とメーター前のドライバーモニターカメラの映した顔の向き(≒脇見運転)を判断材料としたプリクラッシュセーフティ(後方からの追突にもハザードランプの点滅による警告、ヘッドレスト位置移動で対応)が、目の開閉状態(≒居眠り運転)も検知できるものとなった。
その他、急ブレーキ時にブレーキランプを点滅させて後続車に注意に促す「緊急ブレーキシグナル」、ハイブリッドには夜間の運転中に障害物、歩行者(2人まで)などをメーター内に映し出せるナイトビューもオプション設定される。
無灯火の自転車の認知にも有効か?
また、安全装備ではないがカーナビを利用した運転支援システムにも一時停止情報提供(一時停止標識が近づいて減速をしないと注意を促す)、高速道路での合流、退出時、料金所手前でシフトアップの抑制やシフトダウンを行う機能(「インターチェンジ上」という判断基準にはバックカメラによる太破線を跨いだか?の確認も使われる」)も追加された。
<価格はちょっと強気?>
最後に新型クラウンのグレード体系、価格設定を見ていこう。グレード体系は今まで廉価版のような意味合いで設定されていたロイヤルエクストラが廃止され、基本的なラインナップはロイヤル系/ロイヤルサルーン(2.5リッターと3リッター)、ロイヤルサルーンG(3リッター)、アスリート/2.5リッターと3リッター、ハイブリッドとなる。
価格自体は代表的なところで2.5アスリート/374万円、3.0ロイヤルサルーン/458万円となっており、大まかに言うと2.5リッターが先代より数万円高、2.5リッター以外だと20万円高といったイメージだ。個人的に驚いたのはナビが標準で付かない2.5リッター車に純正HDDナビを付けた場合の価格。なんと、58万円もの高くなるのだ。純正ナビが元々高いことや純正なナビを使ったショックアブソーバーの制御や運転支援機能も付くのは分かるけど、「ちょっと……」と思われる方も少なくないだろう。
もちろん、クラウンという高級車なので価格面をあまりこだわるのもどうかとは感じるが、もしクラウンをリーズナブルに乗りたいというのなら、新型クラウンならではの装備をいくつか諦めることになるけど、2.5リッターに社外のナビを付けるという作戦が買い得かもしれない(インパネの形状の問題でオンダッシュのナビしか付かない、クラウンほどの格のクルマになると純正ナビじゃないとリセールバリューで不利になるという懸念はあるが)。
ナビ無しクラウンのインテリア、純正ナビがないと少し寂しいのも事実
ハイブリッドは標準車/619万円、スタンダードパッケージ(法人ユース等に対応してか本革シート、リアスポイラーが省かれる)/595万円の2種類。GS450hと比べると100万円近く安いと考えていいだろう。
ハイブリッドのトランクもだいぶ広くなりました(376リッター)
見方によっては「日本で使うには最高のクルマ」ともいえる新型クラウンの月間販売目標台数は5500台(そのうちハイブリッドは800台)。クラウンのモデルチェンジでレクサスや輸入車まで含めた高級車市場の勢力分布に影響が出るかにも注目が集まりそうだ。
レポート/永田恵一
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