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レビン

 思ったより受注が伸びないカローラ&スプリンターに対し、レビン&トレノは絶好調といった状況。なかでも"売り"になっているスーパーストラットサス仕様をオーダーするユーザーが多いという。
 レビン&トレノ人気の理由はというと、スポーツイメージが復活したからだといわれる。一回り大きくなって高級感を増したボディもさることながら、ポイントは性能の向上。
 シビックに押され気味だったエンジンは、可変バルタイを装備した5バルブエンジンを投入し、シビックに負けない160馬力をカタログに載せている。
 サスペンションもスーパーストラットと呼ばれる新形式を開発。驚異的な前輪のコーナリングフォースを持つという評価が定まりつつあるのも、人気の要因だと思う。
 さて、このレビン&トレノだが、ライバルと比較して本当に買い得であろうか?


 実際の走りはどうか。まずスーパーチャージャー(以下SC)エンジンを搭載する170馬力のGT−Zだが、走りだして最初に感じるのはサスペンションの硬さ。とにかくこいつは凄い。まるでN1レース用の車両みたいで、路面の凸凹を全部拾う感じ。
 旧型より5馬力アップしたSCエンジンはとても良くなり、実馬力、フィール共に大幅に向上している。これまでのSCエンジンは高回転まで使うとパワーダウンしてしまったが、新型は吸排気系をリファイン。その成果はハッキリ現れていて、レッドゾーン手前の1000回転はこれまでの重苦しさがなくなっており、けっこうスポーティ。
 160馬力の5バルブエンジンは高回転まで回るものの、車体が重いこともあってパワー感はイマイチ。実際の動力性能もシビック以下である。
 注目のハンドリングは基本的に凄く素直。公道では前輪のグリップが強力なため、ハンドルを切った方向にグイグイ曲がっていく。


 走りで競合する他車との比較をするとどうか。レビン&トレノ最大のライバルは、シルビアとインテグラだと思う。
 シルビアはマイナーチェンジでエンジンも2リッターとなり、実力はググッと向上。さすがにK,sの205馬力パワーは強力で、コーナーでアクセルを開けるとたやすくパワードリフトに移行。ターボラグも旧型より減少しているため、非常に乗り易くなっている。
 ハンドリングもスーパーハイキャス投入で見違えるような走りとなっている。なかでもコーナーの進入姿勢はいい。入口でハンドル切るとノーズはクイックに向きを変えるのだ。乗る楽しさでいえば、FFのレビン&トレノなんてもんじゃない。ただ絶対的限界はGT−Zの方が高い(こいつはサーキット走行でも確認済み)。



 インテグラのVTEC160馬力も強力なライバル。ただこっちはノーマルサスのGTといい勝負なのだ(価格も近い)。車重も近いとあって、動力性能でも実力伯仲のライバルになっている。
 インテグラのハンドリングはノーマルサスと、スーパーストラットの中間くらい。インテグラのWウィシュボーンも、理論的にはスーパーストラットに近いので路面が良ければけっこう限界が高い。

 まず最初はR&Tを深く分析したい。このクルマを買う時、たいていの人は5バルブ160馬力のGTアペックスにするか、SC170馬力エンジンのGT−Zにするか迷うと思う。
 でもここでの決め手は非常に簡単だったりする。ようするにタイムを出すのか、楽しむのか、だ。つまりサーキットや峠道を走った時、速いのが好きか、楽しいのが好きかというのが分かれ道になる。
 SCエンジンはとにかく速い。最高出力こそ10馬力しか違わないものの、実際にクルマを加速させるためのトルクバンドははるかに大きい。
 2速でレッドゾーンまで引っ張るとしよう。両方のエンジン共にカタログ通りの馬力は出る。ところが3速にシフトすると大きく差が出るのだ。5バルブはトルクバンドが狭いため、回転数が落ちると一旦加速が鈍ってしまう。



 対してSCエンジンはシフトアップで回転が落ちても、充分なトルクが出てる。3千回転も回っていればグイグイ加速しちゃうのであった。となれば勝負は決まったよーなもの。実際のコースで走ればSCエンジンの方がぜんぜん速い。
 ところが楽しさとなると話は別。SCエンジンは高回転のフィールが改良されたといっても5バルブより悪い。カッキーンと回るNAを高回転でキープさせたほうがずっと攻め甲斐があるってもんだ。
 さて、もしもGTアペックスを買うと決心したら、これまた二つのチョイスをする必要が出て来る。よーするに、スーパーストラットサスにするかノーマルでいいか、という問題だ。

 スーパーストラットは、驚異的な前輪のコーナリングフォースを持たせることに成功しているとあって、ぜひとも乗ってみたいというお兄さんは多いとか。
 実際問題としてこのサスペンションの味はどうだろう? 乗ってみると基本的には凄く素直。公道では前輪のグリップが強力なため、ハンドルを切った方向にグイグイ曲がっていく。
 これまでは体験できなかったくらいの速さのコーナリングが、気軽にトライ出来ちゃうのだ。サーキットのラップも安定していて速い。
 でもギンギンに攻めると案外底の浅さも見える。それは限界を超えた時のコントロールを受け付けないこと。公道では相当ウデのいいドライバーでない限り問題ないだろうけど、サーキットを攻めれば、スーパーストラットでもクルマの限界を超えアンダーが出ちゃう。

 こんなとき、普通のサスペンションならアンダーステアが出てもアクセル・オフのタックインを使えばテールが流れ、さらに速いコーナリングをすることが可能。
 スーパーストラットは、アンダーステアが出た時点がクルマの限界になっちゃうから、そこから攻めても速くはならないのであった。こういったハンドリングは「少し遅くてもいいからクルマを積極的にコントロールさせて走るのが好き」というようなドライバーには物足りないと思う。
 反対に「そこまで攻めない」というお兄さんはスーパーストラットの限界の高さと、安定性に驚くのではなかろうか。前輪がガッチリ路面を食いついたみたいなフィールは凄いし、普通のドライバーなら、サーキットを走らない限りアンダーステアが出るところまでも攻められないと思う。