おそらくアリストが好きなヒトでないと、今回の変更点は解らないと思う。外観ではフロントグロル回りくらいだし、インテリアだってハンドルとインパネの小変更程度。トヨタによれば「乗り心地を改善させるなど、全体的に質感を高めました」。それにしてもアリストというモデル、依然として評価が分かれる。国産車にしてはダントツに個性あるデザインのボディは「良い」と言うヒトと「カッコ悪い」というヒトに分かれるし、280馬力の高性能エンジンを搭載する点も、評価が二分。ハイパワーを楽しむためアクセル踏むと、すぐにVSCが「アブナイからアクセル戻すよ!」と制御してしまう。
もちろんコーナーでアクセルなんか開けない、というユーザーにゃ関係ないハナシ。そんなら280馬力もいらないと思うのだが。一方で280馬力のエンジン積み、一方でアブナイからとパワー落とす制御をガンガン使う。これ、日本語だと「マッチポンプ」といいます。試しにコーナーが続く登りのテストコースを走ると、全てのコーナーでVSC作動し、エンジンパワー絞ってしまう。アクセル踏んでもパワー出ない状態になるワケ。おそらく280馬力のうち、200馬力くらいしか使っていないと思う。アリストの280馬力は直線専用なのだ。

 ちなみにベンツやBMWのハイパワーグレードであるBMW540iやE430は、普通のユーザーが使わない限界領域までキチンと使えようになっている。いや、280馬力エンジン積む(2,5リッターターボ。車重ほぼ同じ)クラウンエステートと比べてみても、アリストの方が全然遅いのだ。メーカーに聞くと「危険なので」。逆に言うと、サスペンションのセッティングがイマイチだということ。コーナー攻めるたびにストレス貯まる。
 と、ここまではマイナー前のアリストのハナシ。今回足回りを変更したというし、VSCのセッティングも見直してあるそうな。こいつぁもしかすると! と意気込んで試乗したら、へなへなへな。乗り心地は高級になったものの、VSCの作動は相変わらず早い。そればかりか、ターボより素直で好ましかったノンターボモデルまで驚くほどダンナ仕様の味付けになってしまった。ノンターボでコーナーを攻めると予想外に強いアンダーステア出る。加えて前輪のスキール音激しい。仕方なく荷重移動させると、今度はドッとテール流れてしまいVSC作動。当然パワー絞る。

 じゃアリストは良くないか? これまたそうとも言えない。インテリアや塗装のクオリティなどからすれば、セルシオに匹敵するほど。例えば塗装の膜圧、厚い部分は170ミクロンもあるのだ(いわゆる高級車でも120ミクロン前後)。それに相当上手なドライバーでも「アリストの弱点」である、タイヤが滑る領域まで使わないだろう。したがってスタイルさえ好きなら、アリストは良い部分ばっかりのクルマだと思う。さらに今回のマイナーチェンジで乗り心地もしっとりした。本当に良いクルマである、とも評価出来る。
 実際、VSC作動する前なら普通の4ドアより全然楽しい。クルマの限界まで攻めることなんかないよ」という意見だってあるだろう。使わない性能なんかいらない、という考え方は合理的だ。不満ある足回りも万一バランス崩してしまったらVSCが立ち直らせてくれる。そう考えると、これほど面白い4ドアはなかろう。アクセル踏むと強烈に加速! 4リッターオーバーのエンジン積むベンツやBMWと比べて遜色ない動力性能持つのだから。となれば当然のごとくおすすめはパワーあるターボモデルです。

 アリストというクルマ、評価が難しい。乗っているヒトは「凄く良い」と思っているので、厳しく書くと怒る。でも正直なトコロ、クルマにキッチリと乗れるヒトにとってみると「残念ながら……」なのだ。良い部分と不満な部分を並べてみよう。まず不満な部分。アリストというクルマ、4ドアの高性能車だと思っている。だからこそ280馬力の3リッターターボを搭載し、17インチタイヤなど履く。なのにコーナー攻めると、すぐVSC(スピン防止装置)が作動しパワーを落としてしまうのだ。マイナーチェンジしてもあまり変わらない。
 いつも使うコーナーが続く登りのテストコースを走ると、全てのコーナーでVSC作動し、その都度エンジンパワー絞ってしまう。280馬力のうち、200馬力くらいしか使っていない。同じ280馬力エンジン積む(2,5リッター。車重ほぼ同じ)クラウンエステートのタイムと比べてみると、アリストの方が全然遅いのだ。つまり直線しか速くないクルマだということ。だから直線番長と言われる。メーカーに聞くと「危険なので」。逆に言うと、サスペンションのセッティングがイマイチだということ。コーナー攻めるたびにストレス貯まる。

 NAの方はターボより若干良かったけれど、今回のマイナーチェンジでサスペンションを柔らかくしてしまったそうな。乗ると従来型より確実に乗り心地はよくなり大幅に高級感でた。その反面、コーナー攻めると強めのアンダーステアになってしまい、前輪がドンドン外に出ていく。何とかタックインなど使って前輪に荷重してアンダー止めると、今度はオーバー出てしまい、突如VSC制御に入ってパワー絞る。これまた「あ〜あ」。しばらく悪戦苦闘したが、結局何やってもムダだと判明。やがてユックリ走るようになってしまいました。
 良い部分は「VSC作動する前なら普通の4ドアより全然楽しい!」だ。考えてみればクルマの限界まで攻めることなんかない。であればこれほど面白い4ドアはなかろう。アクセル踏むと強烈に加速! マフラーとコンピューター変えて少しエンジンを元気にしてやれば、ベンツのAMGと勝負させることだって可能。足回りだって「ちょっと速い」くらいのペースで走っている限り、スポーティさを味わえる。マイナーチェンジで乗り心地とインテリアに高級感が出たから、一段と満足度は上がった。おすすめはパワーあるターボモデルです。