上の写真をご覧になれば(テールスライドしてるカット。そのうち載せたい)、ワタシがナニを語ろうとしてるか解ってもらえると思う。もちろん「ビスタでドリフトすっとメッチャ楽しいぞ!」という意味でなく、これだけの走行安定性を有するということ。クルマの評価をする際、ワタシは必ずテストコースに持ち込み、ハンドリングチェックから行う。なぜか? クルマの奥行きって、普段使わないブブンをいかにキチンと仕上げているか、という点に尽きると思う。
その筆頭が衝突安全性。クルマの一生、いやニンゲンの一生であるかないかの大きな事故に対して、どれだけ耐えるかでこの分野の評価は決まるワケね。考えようによっちゃ、ズイブンとムダなような気がするでしょ?と思いつつも、シートベルトを使い慣れるとナシじゃ怖いように、一度高い衝突安全性を持ったクルマに乗ると、やっぱ大ケガしそうなモデルだと腰が引けちゃう。
ハンドリングも同じコト。普通に乗っている限りドリフト状態、というか「逆ハンドル操作を使うような緊急事態」にはならない。でも可能性ゼロかとなれば、そんなことない。やっぱしオーバースピードなどでテールが流れるようになった時、優れたハンドリングを有するモデルだと、立て直せる可能性がググッと増えるのだった。いつもワタシがテールを流してるのは、そういった時のコントロール性能をチェックしているためだ。
で、ビスタとアルデオである。ビスタに関しては、ほとんど満点を付けておく。コーナーで速度を上げていくと穏やかなアンダーステアとなっていくし、オーバースピードでコーナーに入った時は、アクセルを戻すかブレーキを掛けてやればキチンと御しやすいタックインを起こす。今回の撮影でも、カメラマンから出るテールを流す場所についてのリクエストに対し、1m単位で答えられたほど。WRCでトヨタを駆るカルロス・サインツになった気分!
アルデオはビスタに対しマイナス10点というところか。車重増は大半がボディ後部で、しかも重心を高めてしまう場所。ハッチドアなど一人で持てないくらい重いのだ。そいつをボディ最後部にブラ下げてるんだから無理もない。じゃアカンかとなれば、そんなこたぁない。ビスタと比べてのハナシであって、ライバルのステーションワゴンが相手なら十分に勝てるレベル。これまた走りの写真を見れば説明いらんでしょう。ガンガンいけます。
個人的にエラく気に入ったのがボディ剛性。ベンツやBMWと同じ類のガッシリ感を持っており、高価なプライスを付けるドイツ勢から乗り換えても全く遜色ない。いや、ビスタからドイツ車に乗り換えると「あれれ、こんなもんだっけ?」と思ってしまうのだ。信じられないようならディーラーにでも行って試乗させてもらうといい。ボディ剛性の高いクルマは、反応がシャープなファミコンと同じ。乗っていて楽しさや爽快感を得られるから不思議である。
感心するのが、ビスタもアルデオも「走り」でなく「環境」を優先したクルマであるということ。ハンドリングオタク系のモデルであれば、走ってナンボの世界。でもビスタ/アルデオって、ECOってナンボのクルマなのだ。2リッターに搭載される世界最高水準の燃費性能を持つ『D4』はもちろん、1、8リッターの新型ユニットも燃費自慢。残念ながら時間の都合でワタシ試せなかったけれど、素晴らしい燃費を出す。
取材時は流れに乗った走り方で(運転は編集部員)、ビスタD4が高速道路14、1q/L。一般道12、1q/Lの平均13、7q/L走った。D4に限らず直噴エンジンってアクセル大きく踏むと普通の燃費になる。もしカンペキ薄い状態で燃焼する90q巡航なら、軽く18q/リッターくらいまで伸びるだろう。同じエンジンを積むコロナ・プレミオの時は、東京から越後湯沢往復で18、7q/L出ました。
ちなみに高速道路で90q巡航するのと、流れに乗った100q平均の到着時間は、走行100qごとに6分差。150q間の移動なら9分差でしかない。時間にすれば10%延ながら、燃費を20%くらい稼げるのだった。D4の持ち味を活かそうとするするなら、ひたすら負荷を掛けないアクセルワークを心掛よう。地球にダメージを与えないで済むのだから。絶対警察に捕まる心配しなくてよろしい、というのも隠れたメリット。
単に大人しいだけでもない。ハンドリングは最初に書いた通り。絶対的な動力性能だってモンク無いレベル。0〜400m加速のタイムこそ18秒前半で”並”ながら、スゴイのはそこから先の加速。CD=0、30の空力ボディを活かし、1、8リッター/2リッター共に180qのリミッターまで軽く届く。D4搭載車のヨーロッパ仕様を作ったとすれば、最高速表示は間違いなく200qを超えるだろう。
全開でも燃費は良好。直噴というシステム、元来パワーを出すためのもの。アクセル全開の効率が良いため、普通のエンジンより10%くらい燃費を稼げる。テストしてないので確実なことは言えないけど、ビスタもアルデオも飛ばした時の燃費は悪くないと思う。手元に「流れよりもカンペキ速いスピードで走った時の燃費」(もちろん最高は法定速度の100qだと信ずる)というのがあり、そのデータは11、5q/L。
単なる省燃費のヘナヘナなクルマでないトコロがビスタ/アルデオのミソである。今はガソリン代安いし、あまり環境に対する意識も盛り上がっていない。しかし地球温暖化会議で決まった二酸化炭素の削減率6%を達成しようと思ったら、イヤでも省燃費方向に突っ走らないとダメだ。こんな御時世でオイシイのが、ビスタ/アルデオみたいなクルマだと思う。
今はD4の「ハイパワーで低燃費」というブブンを使って元気に走ればイイ。タイヤを高性能タイプに変えれば、ハンドリングも大幅に向上するだろう。長く見て数年後、いやもしかすると来年後半にも予想されるガソリン代の高騰が襲ってくれば、走行速度を落とすだけで次世代の低燃費エンジンになってしまう。リセールバリューだって期待できるワな。ビスタ/アルデオは国沢光宏の太鼓判である。
<続いてカートップ誌に掲載された記事>
ヒジョウに情けないコトながら、なぜかプリウスで横向けた経験を持たない。なぜだろうと熟考したところ、簡単に理由が判明した。自分のクルマでありながら、テストコース走ったことないからである。したがって「ビスタのサスペンションはプリウスと基本的に同じ形式です」という説明を聞いたって、いいんだか悪いんだかワカランです。例によって「ほんなら試してみたろかい」とばかり、少し条件が悪いもテストコースに持ち込んでみた。
とりあえず限界少し手前まで速度を上げ、挨拶がてら元気良くハンドル切ってみると、あらららららら……。けっこうイケそうな雰囲気。フロントの追随性悪くないし、リアの横剛性も高い。横を向ける時にイチバン大切なのは横剛性。グニャグニャしてると滑り始めでスパッと流れるだけでなく、収まりまで悪い。いわゆる限界を掴めず、コントロールしにくいダメ足になっちゃう。とにかくリアサスの横剛性、なのだ。
一発目から信頼関係を築けたので、フェイント掛けて振り込んでみた。そいつが上の写真ざます。イータビームと呼ばれるリアサスは、予想外にコントローラブルで好ましい。流れ始めがマイルドだから、失敗すると中央分離帯に当たるようなコーナーさえ攻めていける。このサスペンションなら、ウルサイCT読者でも満足出来ると思う。ってことはプリウスもカウンター当てられるのかしら? 機会あったらテストコース走ってみなきゃな。
乗り心地も拍手しときましょう!ボディ剛性があるため、サスペンションはキチンと動く。ダンパー自体の精度が高いようで、微少な動きにも追随するのだった。輸入車のセダンみたいな感じ。スタイルからして日本車っぽくないがの。そうそう。同じサス形式を使うプリウスで弱点となっている直進安定性の悪さは全く感じず、ビシッと走ってくれる。こんな味付けが出来るなら、ワタシのプリウスも改良したろかしら。
搭載されるエンジンは新開発の怪しい1、8リッター130馬力と2リッター145馬力の直噴D4。空気抵抗計数CD=0、30と極めて低い抵抗値のためか、1、8リッターでも最高速180qを軽くオーバーするとのこと。試しちゃみなかったが、そのくらいの実力はありそう。D4の方は動力性能だけでなく燃費も売りで、100q巡航ならリッター当たり20q近く走るそうな。高速巡航ならプリウスよりいいってこと。
新登場の1、8リッターは経験不足なのか、アクセルを開けるとやや元気な音を出す。リバースヘッドを持つので(いわゆる後方排気ってヤツね)、騒音的に不利だろうなぁ。でも普通に走っている限りはトルクフル。必要にして十分なパフォーマンスを持つ。街乗りで使うなら、このエンジンをプッシュしときましょう。ちなみにナニが怪しいのかと言えば、次のページでしっかり解説するので読んで欲しい。
新型ビスタを見た瞬間、ワタシはプログレと違う意味でマイッてしまった。スゴ〜く新しいのだ。特に「なんだこりゃ!」なのがトランクスペース。もう「ハイブリッド作れますよぅ!」と書いてあるようなモン。その瞬間「そうだったのか」と納得しちゃいましたね。ジツはプリウスが発売される前後から、普通のエンジンを積んだモデルもあるらしいという情報が流れ始める。信頼できるトヨタ筋に聞くと「絶対にそんなことしないです」と否定。
でも火のないトコロにケムリは立たずで、絶対にナニかあると思っていた。そいつがビスタだったのだな。フロアはプリウスと兄弟関係にあるし、サスペンションも同じ形式。センターメーターというインテリアまで共通とくる。コレ見たらプリウスの兄弟だと思うでしょう。現時点じゃ計画されてないようだが、ビスタは簡単にハイブリッド化出来るに違いない。バッテリー積むスペースまで確保されているんだから。
もっとタマげるのが怪しいエンジン。ボア×ストローク見ると79×91、5。イマドキこんなロングストロークエンジンあるか?もう「ハイブリッド用のアトキンソンサイクルにすぐ転用できますぜ」と宣伝してるみたい。といったことから推察出来るように、今度のビスタはトヨタの新世紀を担う基本構造を持っているのだ。ヨソがモタモタしてる間に、もうハイブリッド全面展開考えたクルマを出してくるなんて……。
新しいのは車体構造やエンジンだけに留まらない。聞けば聞くほど湯水のように新しいシステムを使っていることが解る。普通、このクラスのセダンと言えば、他の車種からの共用パーツばっかりだど! ザッと挙げてみると、新しいクラッチtoクラッチ方式のATに始まり、一体構造型低燃費パワステ、タッチを向上すべく開発された15インチブレーキシステム、このクルマからグレードアップされた衝突安全基準等々。
ちなみにビスタもGOAながら、オフセット衝突は『ユーロNキャップ』と呼ばれる世界一厳しい64qオフセットまで対応してるそうな。しかも最高の4つ星までイケる数値とか。ボディ構造を見ると、厚さの異なる鉄板を特殊な溶接で繋ぎ一枚のボディパネルを構成させており、こらもうタメ息出るほど凝りまくってる。新型レガシィと共に、世界イチの衝突安全性を確保してると思って間違いない。気合い入ってるぞ!
個人的に気に入ったのがスタイル。もしかしたら写真だと背が高く見えるかも知れないが、実車は大変に個性的。専門的に表現すると、ボディ側面のキャラクターラインを上手に使っており、これで背の高さをカバーしてる。何たって車高は1505oあって、ベンツSクラスやセンチュリーを凌ぐ。なのにセダンのスタイルとしてまとまっているのだ。日本車じゃナンバー1のデザイン力だと評価しておこう。ぜひとも実車を見て欲しい。
アルデオってヘンなネーミングだと思った。最初覚えられなかったが、トヨタの地元で使われる名古屋弁により「今度のビスタはワゴンもあるでよ」と言われ、記憶完了。エクステリアはセダンほど決まっていないと思う。リアドアまで4ドアと共用した結果、やや腰高になってしまったみたい。ステーションワゴンというより、ミニバンのプロポーションになっている。やっぱし1515oという全高は凄く高いのだ。嫌いじゃなければイケでしょうけど……。
セダンに共通するのだが、センターメーターは強烈に魅力的。90%くらいのヒトは「こいつぁいいなぁ」と思うだろう。視認性やナビの収まりだけじゃなく、空調の操作性まで拍手しておく。21世紀のクルマを歌うのにカセット付けて寒がらせてくれるプリウスと違い、キチンとCDまで付いてた。エクステリアもインテリアもハンドリングも含め、ビスタはクルマ好きのヒトが作ったような気がしてならない。
リアシートも頑張った。ハイブリッド用バッテリーを搭載するスペース?をフルに使い、フランス車のようにまったりとした厚さを持つクッションを採用。シート地は遊びまくってる(ナスカの地上絵みたいな柄)。さらに左右独立で前後スライド&リクライニングし、それぞれにセンターアームレストが付く。ステーションワゴンのリアシートとしちゃ世界一太鼓判。もちろんレッグスペースはミニバンに匹敵する広さ。
ラゲッジスペースは今回CTマグロがトラブルで病院に行ってしまったため詳しく比べられなかったけど、奥行きはありそう。前輪を外せばマウンテンバイクも2台スッポリと飲み込む。予想外に大きいと感じたのがラゲッジスペース下にある収納スペースで、釣り道具一式とかスキーメインテナス用具、工具、洗車用品など全て入る。また、買い物などのように落ち着きのないビニール袋を積む際は、ラゲッジの窓ガラスだけ開け、フックに掛ければ中身をブチ撒かないで済むな。
走りは基本的にセダンと同じ。車重が70s(割合にすると消費税と同じ5%ほど)重くなっているので、乗り比べると多少セダンより鈍いが、不満を感じることはない。これまた1、8リッターでもキチンと走ってくれる。D4は燃費自慢。高速巡航になると重さが燃費に与える影響小さくなるため、100q程度の速度で長距離クルージングすりゃ、リッター15q以上走ると思う。
唯一ライバルに負けたのが4WDのスペック。横綱レガシィのTXは、フル装備で199万8千円。10・15モード燃費12、6q/リッターだ。アルデオの215万3千円と12、2q/リッターをもってしても届かない。エンジンスペックでも負けている。さすがレガシィ強し! というワケでアルデオ買うなら2リッターD4に、オプションのナビを付けた仕様をプッシュしておく。環境にもやさしいよ。