4気筒を搭載するRS200も素晴らしい面白いクルマである。しかしそれ以上に「いいなぁ!」と思ったのが6気筒だ。4気筒の狙いは、実質的な「速さ」であろう。2リッタークラスのレーシングエンジンを見ると、速いのは4気筒。現在6気筒のレーシングエンジンって、BTCC(世界イチの面白さと言われるイギリスのツーリングカーレース)に出てるフォード・モンデオくらいだから、やっぱり4気筒より速くない。重いし大きいのが弱点。
市販車でも同じこと。2リッターくらいまでだと、4気筒の方が軽くパワーを稼げる。そんなことからアルテッツァは4気筒をスポーティエンジンとし、6気筒はジェントルなユニットに位置づけたワケ。となると、ほとんどのクルマ好きは「走りを考えるなら4気筒。ジジイが6気筒を選ぶ」と思いがち。いや、ショウジキなトコロ、ワタシも試乗するまで6気筒にコレッぽっちの期待をもしてなかった。もちろん初めてアルテッツァ乗った時は、4気筒のハンドルをブン取りましたね。
4気筒、確かにスポーティである。レッドゾーン直前のノビがイマイチなのと、2速のギアレシオやや高く、タイトなコーナーじゃパワーオンでのテールコントロール出来ず、ややフラストレーション溜まるも、面白いクルマであること間違いなし。ドンドン買うことをすすめとく。しかし「オマエならドッチ選ぶ?」と聞かれたなら、迷うことなく「6気筒です!」だ。以下、なぜに6気筒を選ぶのか、ツラツラとい解説していきたい。
イチバン大きなポイントとなるのが「速さ」に対する考え方だと思う。レーシングカーのバアイ、必要なのは絶対的な速さ。ライバルに勝たねばならないから。でも普通のクルマにゃ秒を競うような能力なんか求めない。そんなことしたって意味ないもの。とは言え「速さ」は必要だ。遅いクルマじゃツマらないでしょ?ようするに「こら十分速い!」と感じれば、普通のクルマとして100点だってこと。興味深いことに、体感できる速さと、実際の速さは全然違っていたりする。
6気筒に乗って驚きましたた。ちっとも遅くないのだ。いや、むしろ「こりゃ速いでないの!」と思えるレベル。考えてみれば1310キロのボディに、大人しいといっても160馬力エンジンを搭載する。BMW318iの1360キロ/118馬力などと比べれば、圧倒的にスポーティといってよろしい。0〜400m加速は計っていないので不明ながら、おそらくスポーティかどうかの分かれ道となる16秒台に入ってくるだろう。
パワーの出方も気に入る。低回転域でキッチリとトルクを出しているだけでなく、4千回転を過ぎたあたりからトルクの盛り上がりを感じるのだ。あんまりキモチいいモンでそのまんまレッドゾーンまでイッキに突入させ、レブリミッター喰らうほど。高回転の伸び、非常にスムースである。後でカタログ見たら、このエンジンはVVT−i付き。そこらのベーシックなパワーユニットでない。6気筒だってライバルよりパワフルなのだな。
ここで思い出した。6気筒エンジンはヨーロッパ仕様のために開発されたもの。ライバルとして想定されているクルマ、ドイツ車の2リッタークラスとなる。例えばBMW320iなんか速いぞ! 最高速優に200キロを超え、219キロ。そいつらを超えるべく頑張った。アウトバーンで戦うためのユニットと言い換えてもよかろう。未だにヨーロッパ仕様の最高速は発表されていないが、きっと210キロ前後まで届くんじゃなかろうか。
高く評価できるの、パワーだけじゃない。それ以上に好ましいのがエンジンフィールだ。イマサラ言うまでもなく、直列6気筒の回転バランスはカンペキ。4気筒と違い、不快な振動を物理的に出さない。だからこそムカシから直列6気筒は高級車に好んで使われてきたのである。でも一昔前までの2リッターユニットは、ピストンやコンロッドといった回転するパーツの精度が悪かったため、スゴク良いというレベルに達してなかったと思う。
100歩譲って、まぁ日本で使うならバランス悪い従来型ユニットでモンダイ無かったに違いない。ところが6気筒はヨーロッパ仕様。御存知の通りアウトバーンだと、連続して2時間くらいアクセル全開で使われることなんぞ日常茶飯事だ。精度の悪さは振動を招き、快適性を大いに損なう。こら致命的である。そんなことからベースになった1Gを徹底的にリファインした結果、もはや日本製エンジンと思えないくらいスムース。レッドゾーンまで引っ張っても「振動を出さない」と表現しても大ゲサじゃない。
ATのフィールも素晴らしく気に入った! 4気筒と違って、ステアリングスイッチを持たないノーマルタイプながら、驚くほど操作しやすいとくる。具体的に説明しよう。Dから3速にシフトダウンするには、ゲート式になっているセレクトレバーを横方向に操作すればOK。絶対にシフトミスはないし、確実だ。正面を見ながらの操作だって問題ナシ。シフトフィールは硬くもナシ、軽くもナシ、安っぽくもナシという見事な設定。BMWやベンツと比べたって遜色ないぞ。
3速から2速へのダウンは、セレクトレバーを手前に引っ張るだけ。これまた間違って1速まで落ちないようになっている。手前に引くと必ず2速なのだ。ここも操作フィールをキッチリと仕上げており、キモチ良ささえ感じるほど。どう表現したらいいか難しいけれど「コクッ」と入ってしまう。変速に掛かる時間自体クイックでスポーティフィールを損なうこともない。やっぱりヨーロッパで勝負するためにゃ、このくらいの質感が必要でしょう。
ここまで読んで気が付いたヒト多いだろうけど、ようするに6気筒はヨーロッパ車とガチンコ勝負しなきゃならん運命の下に生まれた。エンジンやミッション、操作フィールなど全てBMWやベンツに匹敵するまで仕上げられているのだ。そいつをキッチリ味わえるというのだから嬉しいでないの。唯一欠けてるのはマニュアルミッション車くらいか? もしマニュアルミッション車あったら、もうクルマ好きにとっちゃ涙モノの相棒になったろう。
エンジン、ミッションと来れば足回り。試乗した日は生憎の雨。最初は「抑えて走るんべ」とユックリ走り出したが、予想外にイケてる。タイヤの絶対的な性能を追求してないため、ウェットでも滑り出しマイルドで怖くない。雨の日にイヤなヤツは、頑張った後、突如グリップを失うタイプです。そんな足じゃヨーロッパで通用するワケなく、よって日本車としちゃ例外的にコントローラブルなのだ。やがてイケイケ走りに突入してもうたがね。
テストコースだから制限速度ナシのバトルロイヤルと化す。ほとんど公道と同じエスケープゾーンのない1車線の道で、全開に次ぐ全開。やがて短いストレートエンドでメーター読み170qに届く始末だ。スポーツカーとイーブンの速さだと思ってよかろう。おいおいアブナイぞ!ここからバキンとブレーキングしても、標準タイプのブレーキ&タイヤで十分利く。ちなみに6気筒は17インチ履いててもブレーキローターは標準タイプである。
残念というか当たり前というか難しいところだが、パワーを使ってのスライドは不可能。210馬力のRS200だって、純粋なパワースライドが出来ないのだから仕方ない。だからといってFRの楽しさが無いかとなれば、そんなことない。素直なステアリングフィールや、限界時に少しテールアウト気味となるコーナリング姿勢など、FRの”オイシイ”味が随所に出る。お金がないから6気筒を買う、でなく積極的に選んで欲しい、です。
ここは「エンジン出力かオトナの味か」ということになると思う。絶対的パワー崇拝者だったなら、迷うことなく4気筒をプッシュする。6気筒より間違いなく速く、今後盛んに行われるであろうジドウシャ雑誌のテスト記事でも納得できる結果になるだろうし。マニュアルミッション車がイイ、というヒトも4気筒だ。開発担当者に聞いてみたところ、当面、6気筒車にマニュアルが組み合わされる計画を持っていない。ま、あっても台数は出ないと思うので、仕方ない選択か? どうしても6気筒のマニュアルを、ということならイギリス仕様の『レクサスIS200』を個人輸入するしかない。
ここまで書いて思った。レクサスIS200、とっても良い。10月20日から開催されたイギリスのバーミンガムショーで実車を見たんだけれど、6速ミッションだけでなくインテリアなど凄く気に入った。アルテッツァと異なり、けっこう高級な雰囲気。革素材をふんだんに使った仕様もあったりして、さすがベンツやBMWと張り合うレクサス系列(日本でイメージするよりはるかにイメージ高い)で売られるクルマだな、と思った。リクエストが多ければ、イギリス仕様の6速+インテリアをそのまんま特別仕様車かなんかで用意したらいいのに。
おっと。無いモノねだりをしてもうた。ようするにワタシのおすすめはヨーロッパ車と対向すべく開発された6気筒である。AT仕様を買ってもタップリ良さを堪能できる、と保証しとく。6気筒だと17インチを選んでもブレーキは同じ。したがって最もベーシカルな207万円のアルテッツァにして、好みのアルミホイール(乗り心地とカッコ良さのバランスを取りやすい16インチでもイイと思う)などセットするのもよかろう。フロントグリルがレクサス仕様を好むなら、ワンタッチで交換可能。マフラーなど変えれば、けっこうヤンチャな6気筒になって楽しいかもしれない。