<最終型 af誌より>

 では試乗といきましょう。Dレンジをセレクトし「よっしゃ。いくぞ!」とばかりに走り出す。すると期待してたほどのパワーを感じない。「太いトルクにモノを言わせてグイグイ走るんだろうなぁ」と思っていたのに、そうでもないのだ。ま、考えてみたら当たり前か。これまでのエスティマときたら、2トン近いボディを持つのにエンジンは135馬力。とってもとっても遅いクルマだったのである。
 そう割り切ってしまえば悪くない。スポーティに走るワケじゃないが、必要にして十分なパワーは持つ。スタートはアクセルを軽く踏むだけで「グイッ!」と行くし、登り坂に差し掛かった時に踏み込むアクセル量だって格段に小さくなった。騒音と4気筒ならではの粗い振動はちょいとばかり気になるものの、3リッターエンジンを搭載するミニバンくらいの実力だ。
 ボクは久しぶりにエスティマに乗ったんだけど、エンジンさえパワフルになれば小さい方のエスティマよりずっといい。バランスが取れたデザインや、ゆったりと6人がくつろげる室内スペースはもちろん、「素晴らしいね!」と思ったのはハンドリングだ。小エスティマは限界に近づくと転倒を防ぐためか、イン側のタイヤが浮き気味になって1BOXカーみたいな挙動を見せる。もちろん限界だって低い。
 元祖エスティマはワイドなトレッドを持つから(車幅を100とすれば車高は99。こいつはKカーと同じくらいの比率となる)、安定した姿勢のままビシッとコーナーをクリア。その気になればカウンターを当てた走りまで出来てしまう。ウデ次第ではスポーティカーさえ追っかけられそう。こりゃ面白いぞ! 
10年くらい前、フォード・エコノライン(エスティマみたいなバン)に500馬力のフォードコスワースをミッドシップしたバケモノが存在した。フォードはこいつをF−1レースの時にエキジビジョンで走らせたんだけど、カッコよさにシビれたもんだ。エスティマもこの手の「お遊び」をやったらいかがだろうか? GTカーレースに出たら応援するぞ!


   <ベストカー誌>

 発表以来、世界的なヒットとなったエスティマだが、デビュー以来指摘されていた(正確に言えば89年の東京モーターショーに参考出品車として展示された時)弱点を持っている。そいつはパワー、である。エスティマはアメリカだとアストロやキャラバンと同じミニバンのカテゴリーに属す。しかしライバルは最低でもV6の3リッター。アストロなどは200馬力を発生する4、3リッターを搭載しているほど。2トン近いボディに2、4リッターじゃ最初からダメだったのだ。
 東京モーターショーの会場では一度もハンドルを握っていなかったボクでさえ、エスティマの横の説明員に「パワーが足りないんじゃないですか?」聞いたほど。しかし説明員は答えたね。「十分パワフルです!」と。デビュー後、テストトライブをすると、やっぱりトロい。そりゃ当時のハイエースだのマスターエースだのと比較すれば速かったけど、アストロやMPVから乗り換えれば多いに不満を感じたもんであった。



 おそらくトヨタも発売後、考え方を変えたんだろう。もしやするとユーザーから「遅くて辛抱ならん!」といった多数のクレームを貰ったのかもしれない。しかし4気筒の寝かし置きといったエンジンレイアウトでは排気量のアップが不可能。ターボやSCを付けて対応するしか手はなかった。結局トヨタはリアルなレスポンスを実現できるSCを選んだワケ。RVはスポーツカーじゃないから、低速トルクが大切なのだな。
 で、新しいエスティマSCだ。大きく変わった部分はない。エスティマのオタクがあるとすれば、フロントのエアダム形状が変わったことに気づく程度。外観は一切手を付けていないし、独特のインテリアも不変だ。評価できるのは価格のアップも最小限に押さえたこと。SC装着で加わった25馬力は++万*千円で済んでいる。お買い得だと思う。

 試乗といこう。Dレンジをセレクトし、ワクワクしつつ走り出す。すると期待してたほどのパワーを感じない。「グイグイ走るんだろうなぁ」と思っていたのに、そうでもないのだ。考えてみたら当たり前か。だってここ2年くらいエスティマに乗った記憶がないのだ。覚えているのは100s軽い小エスティマの走り。きっとSC無しエスティマは相当に遅かったに違いない。
 と、考えてみれば悪かぁない。すっごく速いかと聞かれれば「違う」と答えるが「乗りやすいか?」と言う質問なら「そうざんすね!」だ。スタートはアクセルを軽く踏むだけでOKだし、登り坂に差し掛かった時のアクセル量だって小さくなった。バカボンのパパじゃないけど「これでいいのだ」というレベル。エスティマを買うならSCエンジンしかないと思う。ノーマルエンジンはレガシィに1600を積んだみたいなもの。

 という具合で久しぶりにエスティマに乗ったが、やっぱし小エスティマよりずっといい。室内スペースの広さはもちろん、個人的に気に入ったのはハンドリングだ。小エスティマは限界に近づくと転倒を防ぐためか、イン側のタイヤが浮き気味になって1BOXカーみたいな挙動を見せる。一方エスティマはワイドなトレッドを持つから、SWに近い安定した姿勢のままビシッとコーナーをクリア。その気になればカウンターを当てたイケイケの走りが出来てしまう。こりゃ面白いぞ! もっとパワフルなヤツも出したらいかがか?
 4WDも試乗してみた。こっちは100s重いせいか、けっこう鈍重。特に登り坂ではFRのようなシャープさがない。それでもSC無しと比べればずいぶん速くはなったんだろう。雪道を走る人は4WDだろうけど(FRは雪道だと非常にスリップしやすい)、そうじゃないなら4WDなど不要。雪道を除けばFRでも十分にスタイビリティは確保出来ている。トヨタの人に聞くと、4WDは燃費も10%近く悪くなるらしい。

 

  <4WDの雪道試乗>

 ハンドリングもキッチリ限
界まで攻めてチェックしてみ
た(限界を超えた時に初めて
クルマの個性が出る)。雪道
で徐々にペースアップしていく
と、最初は弱いアンダーステア
となり、曲がりにくくなってく
る。この時点でスピードを抑えれば大丈夫。唐突に後輪が流れてスピン状態になることはなかった。トレッドが広いため、ワダチに入った時の安定性も高い。
 ブレーキは10点を献上してもよろしい! 一番重い
ボディを持つのに、
60qからの急制
動では最も短い距
離で停止した。タ
イヤは平均レベル
なので、ABS性
能がいいというこ
とである(エ
スティマSC
が停止した時
点で、オデッ
セイは15q
前後の速度を
残している)。
この差は緊急
時だと非常に
大きい。
 もちろんABSを使わないよ
うなブレーキコントロールを行
えば停止距離はまだ短くなるけ
れど、オデッセイほどの差はな
かった。
 4WDシステムはオーソドッ
クスなセンターデフ+ビスカス
LSD。この方式だと常時前後
に駆動力が掛かっているため、
スタート時のスリップもほとん
どない。コーナーでも妙な挙動
は出ず、安心して走れた。


 エスティマSCの視界は乗った瞬間に「いいなぁ!」と思うくらい良好。着座位置が高いため、見切りも良かった。運転しているとオデッセイよりずっと大きいクルマに感
じてしまうけれど、室
内スペースが広いため
だと思う。ワイパーは両サイドか
ら払拭するタイプ。中央部に残る
拭き残し面積も小さく、まったく
気にならなかった。デフロストは
強力で、フロントと左右窓ガラス
の視界を完全に確保してくれる。
文句は無い。

 他車のデータと見比べれば
解るけれど、絶対的な能力は
強力。10分で前席と2列目
は10度を超え、寒さを感じ
ることはなくなった。渋滞中
はアイドリングでヒーターを
作動させなければならないが、
そういった悪条件でも高い室
温を作り出せる。弱点は3列
目シートの温度。立ち上がり
は悪くないのに、一定以上に
は上がらない。おそらくヒー
ターの能力が外部から進入す
る寒気に負けているのだろう。
3列目の乗るときは1枚多め
に着込むこと。


  <エスティマ>

 スーパーチャージャー付きと聞けば、当然「グイグイ走るんだろうなぁ」と思うだろう。しかし速いかと聞かれれば「そんなこともない」と答えるに違いない。つまり従来のエスティマがトロ過ぎたのだ。ノーマルエンジンはマークUに1600tを積んだみたいなもの。スーパーチャージャー付きならスタートもアクセルを軽く踏むだけでOKだし、登り坂に差し掛かった時のアクセル量だって小さい。エンジンの負担が小さくなったためか、騒音も減った。
 個人的に気に入ったのはハンドリングだ。小さい方のエスティマは限界に近づくと転倒を防ぐため、イン側のタイヤが浮き気味になって1BOXカーみたいな不安定感のある挙動を見せる。エスティマはワイドなトレッドを持つから、乗用車に近い安定した姿勢のままビシッとコーナーをクリア。その気になればカウンターを当てたイケイケの走りだって出来るのだ。こりゃ面白いぞ!


 文句無しにミニバン最大のキャパシティを持つ。タップリ取った全長を活かし、3列目シート後方に大型4ドアセダンのトランクより大きな荷物スペースを確保。余程の大物でない限り、3列目シートは畳む必要性を感じない。1〜2泊の小旅行なら、6名乗車時の荷物だってここに置けるだろう(小さい方のエスティマも全長は同じだから、広いラゲッジスペースを持つ)。
 3列目シートを畳めば、ほとんど1BOXカーに匹敵する容量が出現。なんせエスティマの車幅は1、8mもあるのだ。天地方向でやや負けるものの、車幅1、7mの1BOXよりむしろ広く感じるほど。ラゲッジスペースに関して言うと、シャリオ>オデッセイ>エスティマは均等の差になる。
 装備はとても充実している。CD付きオーディオやABS、アルミホイールまで全て標準装備。加えたいオプションなど無いに近い。価格設定は高め。アメリカでは同じクラスのクルマとして売られる2車なのに、日本では50万円前後の価格差が付いてしまった。広さ重視のエスティマ。快適性と安全性を大切にしているのがオデッセイということになろう。
 そんなワケだから、居住空間はエスティマがリードして当たり前。ウォークスルーだって、エスティマになれば楽に車内を移動できるようになる。ただ1列目・2列目の乗降性に限って言えばオデッセイ優勢。エスティマはやっぱり「ヨイショ」と上がる感覚になってしまう。
 もちろん対面シートや3列目シートの折り畳みといったミニバンの得意分野をしっかり持っている。オデッセイを大きく凌ぐのは3列目シートの快適性で、シートサイズ、レッグスペース、座り心地の全てでリード。エスティマなら6名が平等な環境で快適に移動できるだろう。逆に考えれば、ユーティリティに関しては4名乗車だとエスティマのメリットを感じない。
 オデッセイに負けるのは騒音。100q以下では案外と静かなんだが、高速巡航に入ると急にニギやかになってしまう。なかでもスーパチャージャーの作動音は無視できないレベル。運転席と3列目シートとの会話は難しいくらいのレベルだ。4WD車はさらに騒音レベルが高くなる。
 
 
 乗り心地も悪くない。4WD仕様はややレベルが落ちるものの、路面からのゴツゴツしたツキ上げや、フワフワ感がないのはよろしい。これまた高級感が味わえる。
 気になる室内スペースは驚くほどタップリしている。1BOXカーと比較するとやや屋根は低い程度。でも車内で立つワケじゃないから、これで充分だろう。
 車幅が1、8mもあるのが効いてるのか、大人7人と、荷物を置いても余裕満点。しかもバスのように中央に通路があり、走行中も車内を歩いて移動出来るのだ。内装のセンズもよく、けっこう贅沢。
 シートは大きめ。2列目は回転させるられ、3列目は畳むことが出来る。畳めばレーシングカートやスクーター程度はすっぽり収まるし、二人くらいなら寝れそうだ。
 価格もリーズナブル。アベニール同様安いのだ。30万円相当のツインエアコンや、25万円はするCD付きオーディオ(こいつはあんまり音がよくない。クラッシックや演歌ならいいだろうけど低音はすぐに割れてしまう傾向)、ABS(13万円)、アルミホイール(6万円)等が標準装備で296万5千円。
 こういったRV車は一般的にリセールバリュー(数年後の下取り)がいいので、なかなかのお買得だと思う。Afの読者諸兄が自分で買うようなクルマじゃないけど、オヤジにでも買わせれば遊びに使えそうだ。