トヨタ マークX

トヨタ自動車

マークX

平成16年11月9日

《マークX発表速報》

グリルに大きな“X”マークが輝いてます。

 いきなりだが、なぜ“マークツー”ではなく“マークエックス”なのか? ということから触れていこう。マーク2と言えば1968年の誕生以来、トヨタのミドルクラスセダンの中核を成すクルマだった。実に480万台(国内累計)を超える登録台数は、トヨタ車全体でもカローラ、コロナに次ぐベストセラーカーなのだ。そんな伝統と実績のある車名を“マークX”としてきた根拠を伺ってみると、「ユーザーの持つマーク2という車名への先入観を変えたかった」という。「マーク2と聞くだけで従来のイメージを思い浮かべられてしまったら、きっと従来のユーザーしか振り向いてくれないでしょう」、「そこでマークXとすることで、これまでとは違ったクルマだという印象を与えるとともに、新たなユーザーの獲得を目指しています」とのこと。
 『マークX』という名前が決定したのは今年始め。セダン人気衰退の中、従来のオーソドックスな高級車というイメージのマーク2の魅力も下降の一歩を辿っていた。一方、力強く若々しいデザインと洗練された走りを身に付けた新型クラウンは予想以上に好調なセールスを記録。特にアスリートはスポーツカー顔負けの運動性能を売りに、確実に新しいユーザーを獲得することに成功した。
 ならばと、トヨタは既に開発に着手していた次期型マーク2をミドルクラスセダンにおける絶対的な価値を持ったクルマにすべく、クラウンで開発したプラットフォームをベースに徹底的に磨き上げたのだ。ちなみに今回マークXのチーフエンジニアを務めた商品開発本部の山本氏はクラウンの開発にも携わっており、氏の言葉をそのままお伝えすると「この内容でクラウンより100万円も安いんですよ!」「間違いなく(バリュー・フォー・マネーで)クラウンに勝っている!」とのことだ。

ワイド&ローのシャープなフォルムが特徴。3連ヘッドランプが斬新です。

 それでは、マークXの特徴に触れていきたいと思う。まずはスタイルとキャビンスペースについて。全長4730mm×全幅1775×全高1435というスリーサイズは、マーク2(110系:絶版)と比べ、全長は5mmマイナス、全幅は15mmプラス、そして全高は25mmのマイナスと、居住スペースに余裕を持たせるためにずんぐりむっくりしたカタチになりがちだった近年のセダンとは一線を画す低重心フォルムとなっている。居住スペースを見ると、室内長はマーク2より110mm増の2070mmを確保し、前後席間距離も40mmのプラス。全高を25mm低くしたことにより絶対的な室内高は20mm少なくなってしまっているのだが、着座位置を下げることにより、ヘッドクリアランスはマーク2と同じ60mmを維持している。
 前席のシート座ると、このクラスのセダンとしてはシートバックのサイドサポートがしっかりしており、クルマとの一体感を重要視した形状だということがわかる。また、座面クッションの先端が約60mmの幅で電動可変(8ウェイパワーシート:Fパッケージ以外に標準装備!)し、膝下のフィット感を好みに合わせて調節できる点も見逃せないポイント。リアシートの居住性は、クラウンがベースになっていることを考えれば当然というところ。リクライニング機構も装備しているので、ゆったりと身を委ねれば十分にもてなしの心を感じることができるだろう。

LEDが室内を優しく照らす大型天井イルミネーション。

 インテリアデザインをまとめるにあたって意識したのは“間”だという。LEDを採用したトヨタ初の天井大型イルミネーションは、初めて見ると少々違和感を覚えるけれど、そのやわらかい光に照らされた室内は車格を超えた雰囲気に彩られ、彫りの深いセンターコンソール付近に現れる陰影は、なるほど“間”という言葉がピッタリ。シフトパネルにも照明を設置するなど、光を巧みに操ることにより全体的にルーミーな空間を演出するワザが随所に見られる。また、メーターパネルの光源にはすべてLEDを採用。イグニッションONで各指針がパッと明るくなった後、文字盤が浮き上がるように(動画でお見せできないのが残念)点灯する様子もドライバーの気分を高めてくれるハズだ。

最上級グレードの300Gプレミアムの運転席回り。質感高し!

 先にも記した通り、マークXはクラウンのプラットフォームをベースに開発されている。ただ、まるっきり同じかと言うと、一部ではきちんと一年分の進化を遂げている。大きく違うのは、フロントのオーバーハング部分と、トランクスルー方式(6:4)にしたことによるリア剛性確保の手法。マークXの短いフロントオーバーハングに対応するため、ラジエターはクラウンより40mmも後ろに移動。それにともない、エンジン関係ではインテークマニホールドとサージタンクの形状が変更されている。リアの剛性に関しては、フロアに補強用のクロスメンバーを追加することで、結果的にはクラウンを超える剛性を確保できたとのことだった。

エンジンスペックは2.5、3リッターともクラウンと同じ。

 クラウン登場時より評価の高い直噴エンジンのスペックに変更はない。「ってことは組み合わされるミッションも同じ6速ATか」と考えてしまうと、これが大間違い。3リッター、2.5リッターとも、なんと“新開発”の6速AT(アイシンAW製)なのだ。お気付きの方も多いと思うが、どうしてクラウンに採用した6速ATじゃダメなの? と考える人は多いと思う。ボクも大いに気になったので伺ってみたところ、「クラウンの6速ATは本来V8エンジン用のものなんです」。「つまりセルシオやマジェスタ用ってことですね」。ということは、クラウンの出力に対してはキャパシティに余裕がありすぎたので、コストを下げられる目安がついたので今回新開発したということですか? 「そういうことです」とのこと。実際クラウンが搭載しているものよりコンパクトなサイズになり、約6.5kgもの軽量化に成功しているのだ。

軽量・コンパクト化を実現した新開発の6速AT。今後のトヨタFRに順次搭載か?

 参考までに書いておくと、この新しい6速ATはクラウンにも採用される見込み。時期的にはマイナーチェンジと同時が最も適切だと思われるが、年次改良でチェンジしてくる可能性も十分考えられる。

 気になる走りについて、クラウンベースとなると走りは相当期待していいですね? と伺ったところ、「ハンドリング、静粛性、乗り心地など、すべてに高いレベルを達成できていると思います」という回答を頂いた。ただ、上にアスリートという体育会系モデルを持つトヨタとしては、下手をするとマークXのポジショニングが中途半端になりかねない。しかし、それを補うのが“Sパッケージ”の存在。18インチタイヤ(225/45R18)と大径ブレーキに加え、AVS(Adaptive Variable Suspension System)と呼ばれる減衰力をコンピューター制御する大容量のモノチューブダンパーで足元を引き締めることにより、マークXにアスリートを凌ぐ運動性能を与えているという。「ハッキリ言ってパーソナルセダンですね」という言葉からも、Sパッケージ装着車の突き抜け具合は相当なようだ。もちろん、素性の良さを活かし、16インチタイヤ(215/60R16)を履く標準的なモデルも十分に軽いフットワークを見せると考えられる。

ディフューザー効果を狙いマフラーエンドをバンパーと一体化。

 ハンドリングについても、「初期型クラウンにお乗りの方には申し訳ないんですけど、デビュー後も電動パワステのフィーリングを徹底的に煮詰めていますので、機構は同じでも現在のものとの差はかなり大きいです」。具体的には、マークXの電動パワステのフィーリングは非常にマイルドだという。加えて、ドライビングの楽しさを削いでしまうことのないよう、リニアな感覚を大切にチューニングしてあるということなので、是非とも試乗して確認したい。

コチラはエクセレントバージョン。TRDのサスキット装着でメチャクチャ低い!

 月販目標台数は5000台。冒頭にも触れたが、価格的にはおおよそクラウンより100万円安いという捉え方でいいだろう。ただ、ナビは全車オプション。最も安い250G“Fパッケージ”の245.7万円でも純正ナビを装着することを考えれば、プラス35万円以上の追加金を考えなくてはならない。果たして、クラウンの成功に続くことができるのか? セダンの復権はミドルクラスの盛り上がりにかかっていると思う。

Report:山崎 裕正