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ヴォクシーオフィシャルサイト

《ノア/ヴォクシー》

●月販1万5000台オーバーで、今やトヨタの屋台骨を支えるクルマに!

○乗用専用設計がミニバンとしての要素を高次元でバランスしている

 旧型ノアは、カンペキに競争力を失っていたように思う。車体構造も旧来の1BOXカーと同じで、後輪駆動の商用車系シャシだったのだ。エンジンだって古く、乗用車設計のステップワゴンと比べると大いに見劣りした。ただ衝突安全性などの基本スペックを満たしていたせいだろう。販売的には大健闘しており、登録台数を調べてみたらセレナとイーブンに持ち込んでいる。とは言え商用車系シャシ使っている限り、乗用車系のミニバンと比べれば明らかに負け。世の中の流れからすれば完全に取り残されてしまっていた。
 興味深いことに本来なら2002年発表の予定で開発を進めていたというが、ステップワゴンの猛烈な攻勢によって前倒しになったそうな。かくして2001年10月26日から開催された東京モーターショーでデビューしたのである。評判はどうだったか。「とても良かったです」(モーターショーに行った開発担当者の一人)。ワタシも「魅力あるな」と思う。後で紹介するけれど、意外なことに若いユーザー向を意識して作ったヴォクシーは40歳代後半以上の方の人気を集めたんだとか。
 さて、新型ノアの特徴は「完全なる乗用車設計」にある。従来型の場合、商用車バージョンも共通設計としたため様々な制約を受けたに違いない。重い荷物積まないとならないためだ。新型は商用車バージョンを設定しない。しかも販売台数が期待できることもあり、多くの部分を専用設計出来た。最もお金掛かるシャシまでノア専用という贅沢さ。専用設計出来れば、それだけ妥協しないクルマ作りが可能だ。結果、高い次元でバランス取れたミニバンになったと思う。例えば燃費もミニバンで最高の14.2km/L(10・15モード)を達成。こらもう専用設計化によって効率を追求したからに他ならない。

 これまでノアは「タウンエース」と「ライトエース」ブランドで販売していたが、価格を含め実質的に同じクルマだった。販売チャネルのみ違うだけ。そして、フロントAピラー(一番前のピラー。フロントドアとスライドドアの間にあるピラーをBピラーと呼ぶ)から前を専用設計している。気合い入っているのだ。なぜ作り変えたか。ユーザー層が広がったからに他ならない。今まで3列シートのミニバンといえば、子供の居る30歳代〜40歳代のユーザーが多かった。ファミリーカーとして使われるワケです。
 しかし最近になって20歳代や50歳代のユーザーも増加中。そりゃそうだ。ミニバンの販売シェアは今や全販売台数の4分の1にもなっている。ここまで増えると子供が居るファミリーばかりでなく、幅広い年代層に支持されていると言うこと。だったら「ノアと違うキャラクターの商品を作りましょう」になったのだとか。ワタシからすればヴォクシーのスタイルってGMのシボレー系(2段ヘッドライトがアストロやシルバラード、シボレーバン風)みたいで恥ずかしいのだけれど、若いユーザー層はシボレーなんて知らないから気にならないらしい。
 クルマの完成度は以下タップリと説明するが、最新のミニバンに要求されるスペックをキッチリと満たしている。なかでも凄いと思うのが安全性。VSCと呼ばれるスピン防止装置や、サイドからの衝突時に素晴らしい効力を発揮するカーテン式エアバックまで設定しているのだ。特にVSCは3列シートのミドルクラスミニバンじゃ初。雪道や濡れた路面での事故防止に絶大なる威力を発揮。フル装備のノア買えば、まず致命的なダメージを受けることはないと思う。それでいて価格をステップワゴンと同等に抑えた。ステップワゴンとセレナにとっちゃ強敵です!
 
○四角いボディデザインにこだわりあり!

 デザインは「アドバンスド・キュービック・スタイル」というテーマで構成されている。日本語にすれば「新しい感覚によって考えられた四角い箱のカタチ」だ。限られたサイズで室内容積を最大限確保するには、やっぱり四角いボディ断面がベスト。ただ追求し過ぎてしまうと、ヨウカン(注・食べ物です)みたく味気ないスタイルになってしまう。また、燃費を稼ぐため空気抵抗は低くしなければならないけれど、これまた四角いボディじゃ厳しい(新幹線の先頭形状を見れば解ると思う)。自動車の場合、室内容積を確保しようとすればカッコと燃費が悪くなるということ。新型ノアはそいつを何とか両立させるべく頑張ったんだろう。
 スタイルについて言えば、室内の容積と関係ないフロント部分の絞り込みを工夫している。興味深いのはファンカーゴやグランビアのような「四角いボディに丸いボンネットを組み合わせた」アプローチじゃない点。あくまでフロント部分もキュービックなイメージを追求し、全体的なバランス取ろうと努力した。ノアの方は少しイプサムに似てしまったけれど、正統派のデザインで好ましいと思う。おそらく多くのユーザーから支持されるに違いない。ヴォクシーの方は思い切ってフロントのボディパネルまで全部専用設計し、少し「やんちゃ」な雰囲気でまとめられた。これまた個性を出すことに成功したんじゃなかろうか。

 ボディサイズは旧型より全長で85mm長い4560mmとなった。旧型の全長ってステップワゴンの4670mmやセレナの4520mmより短かく、ボリューム不足を感じさせたように思う。普通、同じ価格なら大きい方を買うから、ノア不利。新型はホイールベースも110mm延ばしたこともあり、完全に一回り大きくなクルマになった感じ。ボディサイズ長くなれば、当然室内寸法だって広く取れる。有り難いのが5.5mという最小回転半径。ステップワゴンの5.6mより小回り効き、ボディ短いセレナと同じデータ。ガレージの長さが足りないというケースを除けば、ボディの延長による「副作用」は最小限に抑えられた。
 全高のデータを見ると95mmも低くなっている。3列シート付きミニバンの魅力の一つは「高い天井」。それが低くなってしまったんじゃ寂しい。何で低くしたのだろう、とチェックしてみたら、FF化によって床も低くなっていた。逆に「床が低くなったから全高も低くできた」のだ。ルーフにスキーなど積むことを考えれば低い方がいいし、重心だって下がる。だからハンドリングも圧倒的に良くなったワケ。立派なのが空気抵抗計数を示すCD。何と乗用車などと同等の0,32だという。CDは高速巡航で大きく燃費に影響する数値。ノアのボディサイズだと80km/hくらいから急速に厳しくなるため、空気抵抗の低減は燃費向上に直結します。

○見やすいセンターメーターと機能性に富んだ装備で魅力アップ

 運転席に座って最初に「あら?」と思うのがセンターメーター。トヨタは積極的に採用を進めている。プリウスやファンカーゴあたりの段階では新しいイメージを打ち出すだけの役割しかなかったけれど、最近になって機能も感じさせるようになってきた。やっぱり同乗者全員でメーターを共有出来るのがいい。しかもドライバーの視線移動量が少なく(通常の位置だと前方とメーター確認時の焦点移動距離も大)、速度の確認などヒンパンに可能。理想的にはフロントガラスにデータを投影する「ヘッドアップディスプレイ」なのだろうが、センターメーターで十分である。これでナビの画面をドライバー正面に設定すればベストだと思う。
 有り難いのがブラインドコーナーモニター。ナビを付ければオプションで装着可能。塀などあって見通しの悪い交差点や、雪壁が出来てしまう降雪地域などは前方左右の安全確認に気を使う。ブラインドコーナーモニターさえあれば、ボディ先端を10cmくらい出すだけでOK。一度使うとクセになってしまいくらいの威力を発揮してくれるのだ。運転席回りの快適性向上アイテムとしちゃ、これ以上のモノがないと思えるほど。ナビを付けたら絶対に装着して欲しい。その他、ルームランプの配光や、小物入れの数&場所、大きくて四角いペットボトルも置けるフロアのドリンクホルダー(通常サイズは別個にある)など便利。

 フロントシートは、これまで着座位置が若干高過ぎたように思う。ワタシのように足の長さ1mを越える体型なら(相当誇張)問題ないものの、女性など「よいしょ」といった感じで乗り込む必要あった。高い着座位置はミニバンの魅力の一つであるが、高過ぎる必要もない。むろん従来型も高くしようと狙ったのでなく、床が高かったため仕方なく着座位置も高くなってしまったのである。新型はFF化によって床面が75mm低くなったため、着座高も適正化された。おかげで、コーナーを曲がる時の安心感も高い。従来型のノアだと旧来の1BOXカーに近かったが、新型は乗用車感覚で運転可能。
 シートの座り心地は「悪くないが、感動するほど良くもない」といった評価。ロングドライブしてみないと真の実力など解らないけれど、個性的なシートじゃないことは間違いない。このクラスのミニバンは幅広い年代層&体格のユーザーが運転するということから、運転席の上下ジャスター機能を全グレードに標準装備している。上下ジャスターあると、150〜180cmくらいまでのドライバーがベストなポジションで運転できるようになる(145〜150cmと180〜185cmもまぁまぁ快適)。『L』グレードと『Gパッケージ』仕様を選べば運転席と助手席のアームレストが付く。ロングドライブ好きのユーザーなら欲しい装備。

○用途に合わせて2種類のセカンドシートを用意 
 セカンドシートは「タンブル」と「マルチ回転」で形状が異なる。タンブルの方は2対1の分割タイプとなっており(左側が長い)、レバー引くと自動的に背もたれが前に倒れ、そのままシート全体も前に倒れていく。この間、人間はノータッチ。文字通りレバー引けば完了してしまう。初めてこのシートを見たチーフエンジニアが痛く感激。即座に採用を決めたそうな。
 使ってみるとホントに楽チンだ。座り心地は運転席&助手席と同じく「普通」。可もなく不可もなく、といった雰囲気。これ、とても重要。ステップワゴンのセカンドシートは、背もたれ低く座面もフラット過ぎる。居住性を重視したシート形状でない。ノアはセレナとイーブンです。
 マルチ回転は3分割になっており、左右席の座り心地を評価するとキャプテンシート風。タンブルが1名+2名のシートだとすると、マルチ回転は1名+予備+1名といったイメージ。中央席のシート部分、普段はヒジ掛けやセンターテーブル、ウォークスルーの通路などとして使うことを前提としているため、若干堅い。常時3人座ることを前提として買うなら、マルチ回転よりタンブルをプッシュしておきたい。両タイプ共に細かいピッチの前後スライド機能が付いており、微妙な位置でのセットも可能。ライバル車の中には4段階しか選べないタイプもあることを考えると親切だ。小物の収納場所やカップホルダーなども充実している。

 サードシートの形状は「タンブル」も「マルチ回転」も同じ。身長183cmのワタシだと多少奥行きが浅い感じもするけれど、イプサムに代表される乗用車タイプの3列シートミニバンよりハッキリと広い。大柄な乗員が3列シートに座ってレッグスペースに不満がない、といえば解ってもらえるだろうか。いや、正確に表現すると「不満ない」じゃなくて「楽に座れる」。サードシートは前後に155mmもスライドするようになっており(前に出せばその分ラゲッジスペース増やせる)、乗員スペース最大にセットして使えば余裕で6人のロングドライブ用として使える。8人乗りで快適かどうかは、乗員の横方向のボリュームと密接に関係します。
 サードシートへのアクセスはシートのタイプによって異なる。タンブルだとセカンドシートを前にハネ上げて行うが、その場合セカンドシート上に”荷物”を置いておくと(けっこう多い)、やや面倒臭い。旧型ノアより楽だな、と思ったのは左右にドアあるからだ。チャイルドシートをセットしたようなケースだと、片側のアクセスが難しくなる。両側にドアあれば、チャイルドシートあってもタンブルで問題なし。マルチ回転はセンターウォークスルーになっているため、たやすくサードシートまでアクセス出来た。といった具合でサードシートの使い勝手は、左右にドアを設けたおかげでずいぶん楽になったと思う。やっぱり4ドアのメリット大きい。

 
 マルチ回転シートのアクションだが、左側のセパレートシートを回転させるにはレバーで背もたれを前に倒し、そのまま回せば終了。アイデア満載なのが長い方のアクションで、背もたれを前倒しするレバー引くと、ロックしていた中央席は左側に傾く。すると右席もたやすく回転するという寸法。
 これまで多くの回転対座アクションを見てきたけれど、3人座れるセカンドシートの中じゃ圧倒的に使い勝手いい。今回ノアは2タイプのシートパターンを持ち、その点からすれば1タイプで済ませたステップワゴンに負けている感もあるが、実用性という点から評価すれば2タイプのメリットをキッチリ活かしていると思う。
 回転は左右別個に固定が可能。どちらかの席だけ回転させておくような使い方も出来る。例えばISO−FIXタイプ(固定用のバーは全グレードセカンドシートに標準装備)のチャイルドシートをセカンドシートに固定し、回転させてやればお祖父ちゃんやお祖母ちゃんと対面しながらドライブも出来てしまう。首がしっかりしていない年齢の乳幼児なら、やっぱり後ろ向きに座らせておくべき。といったことなど考えると、マルチ回転シートが便利かもしれない。タンブルのシートアレンジメントは無し。単に前に倒せるだけ。こらもう乗員のためのアレンジでなく、荷物を積むときにしか使えないです。

 もちろんフルフラットモードも持っている。ステップワゴンのような3mのロングスペースこそ無理ながら、セカンド+サードシート分がフラットになるため、小さい子供なら親子で就寝するくらいのスペースになるだろう。このあたり、フルフラットスペースを最優先するか、シートとしての機能を重視するかで大きく狙いは違ってくると思う。
 セレナのシートを見ると完全に後者。シートとしてキチンと使えるよう、座面がデコボコだ。座ると実に具合いいのだけれど、フラットモード選ぶとうまくない。前後方向だけでなく、幅方向にもウネウネしており落ち着かないです。でもステップワゴンだって決して全面的に支持されているワケじゃない。
 セカンドシートに座れば解るが、背もたれの高さは物足りない感じ。少なくとも大柄な成人男性だとダメ。聞けば旧型ノアのセカンドシートの背もたれサイズに対する不満は多かったそうな。そこでフルフラットモードを最優先せず、乗車時の座り心地を重視した。フラット度として評価すればセレナとステップワゴンの中間くらいか? もし室内をベッドスペースにするなら、専用の敷きマットでも作ったらいかがだろうか。広さ的には満足出来るから、後はフラット度だけ。キチンとした敷きマットさえ用意すれば寝られます。むろん仮眠だけであれば現状でいい。ステップワゴンだってグッスリ寝ようとすれば敷きマット必要だと思う。

○『タンブル』か『マルチ回転』かの選択は積載性がカギ

 通常ならサードシート後方に置くスペアタイヤを助手席の床下に移動した。その結果、これまでのミニバンよりグッと自由度が増したと言う。便利なのがイプサムにも採用されているラゲッジスペース床下の収納。この部分のみイプサムと共通設計となっているため、同じ形状(少し浅い)の収納があるのだ。使ってみると予想外に広く、ゴルフバッグくらい飲み込む。もちろんカバー付きだから外から見えない。洗車用具や重要な荷物など保管しておくのに便利だと思う。冬場などはイザという時のための毛布やブースターケーブル、チェーンなど入れておくといい。
 ラゲッジスペースは『タンブル』と『マルチ回転』で異なるが、3列シートを全て使った状態だと155mmの前後スライドによって作れるスペースしか残らないので事実上同じ。セカンドシートまで使う時も、サードシートの左右ハネ上げ収納は両タイプ共通だから、これまた同じ。異なるのは最大ラゲッジ容量です。マルチ回転選ぶとセカンドシートが折り畳めない。オートキャンプなどで使うなら十分なスペースだと思うけれど、やっぱり”大物”を運びたいヒトだって多いだろう。となるとタンブルしかない。
 スキーやスノーボードといった”危険物”はルーフに積むといい。車高が95mmも下がって1850mmなったので、小さい脚立入れておくだけで実用に耐える。しかもスキーキャリア付けた状態で全高が2100mmを越えずに済む。車高は1550kgで一般的なタワーパーキングに入れなくなり、2100mmを越えると地下の駐車場などに制限が出てしまう。スキー積んだ状態で2100mmを下回るというのは有り難いこと。トランク形状のルーフバックなども、薄いタイプを選べば装着出来るだろう。ルーフにスキーを積めるかどうかがミニバンでウインタースポーツする時のポイントです。

○電子制御4WDとVSCで走行安定性はピカイチ

 エンジンはガイアやナディアに搭載され定評ある直噴D4の2リッター4気筒。最高出力152馬力と、ステップワゴンの160馬力より若干低めながら、最大トルクで勝る。車両重量もベーシックグレードを比べれば30kgノア軽い(スライドドア1枚分で30kgくらい重くなるも、ボディが若干短いのは有利)。といったことを考えると「ほぼ同じ」だと思えばよかろう。試乗してみた感じからすると甲乙付けがたい感じ。聞けば最高速170km/h近辺とか。これまたステップワゴンのデータとイーブン。
 ATはガイアやナディアと同じく、勾配のある区間の最適制御を行う(下り坂はエンジンブレーキ。登り坂だと不要なシフトアップを行わない)インテリジェント4速タイプ。宿命のライバルたるステップワゴンと一番違うのが4WDシステムだ。電子制御式を採用し、登り坂のスタート時は最初から後輪にも駆動力を伝えスリップ防止。下り坂も後輪にエンジンブレーキ掛ける(セレナの4WDも同じようなシステム)。走り出したらFFになってしまうステップワゴンより有利。オプションのスピン防止装置VSCを装着すれば怖いモノ無しです。

 シャシーは専用設計ながら、リアの一部をイプサムと共用しているそうな。全部イプサムと同じにすればいいと思うのだけれど、やっぱり5ナンバーサイズにしようとすると専用になってしまうのだとか。少し専門的な解説をすると、フロントがシンプルなストラット式。リアはコンパクトなトーションバー式のサスペンションを採用している。むろん4輪独立懸架。商用車と同じだった旧型より20年分くらい進化した。よくサスペンション形式についてのウンチクも聞くが、ミニバンの場合、乗って良ければ問題ないと思う。
 上級モデルには『TEMS』と呼ばれる切り替え式のダンパーが設定される。このダンパー、好みによって乗り心地の堅さを3段階選べるというもの。ソフトモードを選んでいても、緊急回避動作など急なハンドル操作をすれば瞬時にシャッキリした足回りへ切り替えるというシステム。一応「優れた操縦性と乗り心地を両立する」という効能のようだが、実際は下の方の試乗レポートを読んで下さい。いずれにしろ旧型ノアより全てのスペックに於いて圧倒的に優れている。1回のモデルチェンジでこれだけ進歩するというケースは非常に珍しいこと。

 環境性能には地球温暖化防止という観点の『燃費』と、大気汚染防止のための『排気ガスのクリーン度』の二つがある。新型ノアに採用された直噴エンジンは、どちらかというと燃費優先。車重1510kg以内のグレードなら10・15モード燃費14.2km/Lと素晴らしいデータをカタログでうたう。ただ1520kg以上になってしまうと13.2km/Lで、ステップワゴンと並ぶ。気になる実燃費だが、こらもう計測してみなければ解らない。ノアは80km/h程度の巡航を最も得意とし、理論上17km/Lくらいまで走るという。ぜひステップワゴンと比べてみたい。
 排気ガスのクリーン度は国土交通省の基準だと☆一つの『良・低排出ガス基準』。平成13年規制より25%良いという直噴エンジンとしちゃ立派なデータ。

○オプションフル装備で世界トップクラスの安全性

 安全性能には事故を未然に防ぐための「アクティブセーフティ」と、衝突してしまった時に重要な「パッシブセーフティ」がある。新型ノアはどちらも万全と言ってよかろう。アクティブセーフティは「どこまで回避出来るか」という点に尽きるのだけれど、基本となるのはシャシ性能の高さが大切。コントロールしやすいハンドリングを持つか、ということです。

 ABSの制御もポイント。今回キッチリと限界特性をチェックしてみたところ、新型ノアの足回りは太鼓判押せるポテンシャルを持つことが確認出来た。さらにスピン防止装置VSCをオプション装着しておけば万全! 特に事故が多い雨の日の安全性を飛躍的に改善出来るだろう。

←VSC作動イメージ

 パッシブセーフティもレベル高い。ボディ構造は、いわゆる「新GOA」で、64km/hオフセット衝突や55km/hの側面衝突という世界トップクラスのモードに対応。社内テストのデータを衝突安全アセスメントの評価に当てはめれば☆5つ〜6つの間くらいの実力らしい。さらなる安全性を追求したい、というユーザーならオプション設定されているサイドエアバッグ&カーテンシールドアエアバッグを装着すればカンペキ! 側面衝突に対する備えも万全となる。VSCと一緒に頼んでおけば、世界で最も優れた安全性能を持つミニバンになるだろう。チャイルドシート対応もしており、ISO−FIXタイプのアンカーを標準装備。

○多彩なグレード展開で幅広いユーザーに対応

 ターゲットユーザー層が若くなったこともあり、ノアは『S』。ヴォクシー『Z』といスポーティなグレードを設定している。普通の乗用車ならパワフルなエンジンなど搭載するトコロだろうけれど、そこはミニバン。同じエンジンで味を変えた。具体的には足回りとイ内外観。足回りは可変ショックアブソーバー機能『TEMS』を使う。3通り設定されている”ダンパーの効き”からハード側を選ぶと、けっこうな堅さの乗り味となってスポーティな気分。左右方向のロールを嫌うようなユーザーにすすめておく。ただタイヤサイズなどは標準グレードと同じなので、絶対的なコーナリング性能は変わらない。味の問題です。
 エクステリアでは前後バンパーが大きくなり、サイドマッドガードやマフラーカッター、リアスポイラー付く。アルミホイールとディスチャージドヘッドライトも専用。ヴォクシーなど標準でもアグレッシブなスタイルしてるから、けっこう元気な感じになる。インテリアは革巻き風ハンドルや、メタリック調塗装のインパネ、ジャージ地のシートなどがS&Z専用。これで標準グレードの36万円高。これらの装備、後から社外品を買って自分の好みに仕立てるという方法もあるが、その場合、下取りに出すときは一切評価されなくなってしまう。コストパフォーマンス重視なら前者。凄いクルマ好きなら後者を選ぶといいんじゃなかろうか。

 ほとんどのトヨタ車に設定されている『ウェルキャブシリーズ』も選べる。ノアのような室内キャパシティ大きなモデルこそウェルキャブの真価が発揮出来ると思う。助手席とセカンドシートに電動で乗り込める機能はもちろん、リアのラゲッジスペースに車椅子ごと乗り込める

○妥協しない作り込みでミニバンを感じさせない走りを実現

 Dレンジをセレクトしてアクセル踏むと、旧型ノアと全く別のクルマのようなスムース&軽快さで走り出す。高回転まで引っ張った時の騒音や振動も乗用車並である。そりゃそうだ。旧型ノアに搭載されていたエンジンは、基本設計が古過ぎた。対する新型ノアのエンジン、トヨタの中でも新しい世代に属す。パワーだって130馬力から152馬力にアップしており、車重はスライドドア1枚分の30kgしか増えていないから、速くなって当然だろう。街中だけでなく高速道路走ったってストレスを感じないで済むハズ。ちなみに最高速は170km/h前後まで出るそうな。
 ATもスムース。普通に加速していれば、ほぼ変速ショックを感じない。それじゃ、ということで全開加速も試してみたが、シフトアップ時のクラッチの滑りを電子制御しているせいか、これまた乗用車と比べ全く遜色ない仕上がり具合。おそらくエンジンのスムースさとも関連しているんだろう(ステップワゴンは5千回転以上でエンジンが急にウルサクなりスムース感が薄まる)。
 車外に聞こえる「ちちちちち」という音は直噴エンジン特有の高圧インジェクターから出ている。車内だと全く聞こえないのだけれど……。4WDはどうか? 心配される動力性能的な落ち込みも、ほぼ気にならないレベル。ま、重量増80kg。男性一人分だ。一人乗せて「重くなったな」と感じる敏感なヒトなら解るだろうが、重量にして5%少々。アクセル全開で走らない限り、それほど気にならないレベルに収まっていると感じた。むろん燃費は確実に落ちるから、雪道を走る機会が無いようなユーザーなら必要ないです。

 

 乗り心地は「最新のミニバンの標準」といったイメージ。セレナより圧倒的に良いけれど、ステップワゴンと比べれば引き分け。トヨタ車としては多少堅めに思う。ま、最近のRVの流れなのだけれど、フワフワな乗り心地よりシャッキリした運転感覚を追求するケース多い。クルマに対するユーザー層の認識が変わったということか? どちらかというとヨーロッパ車風になりつつある。ただトヨタもフワフワ好きなユーザーを無視出来なかったようで、ノアのSとヴォクシーのZに乗り心地を調整できるTEMS仕様を設定した。これの『ソフト』を選べば、ムカシながらの腰の無い乗り味です。
 絶対的なハンドリングは「素晴らしい!」と評価しておく。高い評価を得ているイプサムと同じチーフエンジニアが担当しただけに手抜き無し! 最近は同じトヨタでも担当者によってずいぶんバラつきある。ノアは「特上」だと思ってよかろう。重心高いのにコーナー攻めて内側輪浮かないのも立派! その気になって走ればリアを流すような走りまで可能。ワインディングロードを乗用車と同じペースで走って不案ない。しっかり限界特性まで煮詰めたクルマは、普通の走りでも良さが解るというもの。もちろん事故に結びつくような状況下での緊急回避操作にも、高い次元で対応出来ると言うことです。
 オプションのスピン防止装置VSCを試してみた。アンダーステアでて曲がり切れないような状況になっても、4輪それぞれ最適なブレーキ力を掛け、コース上から外れないよう制御してくれる。何度か意地悪してワザと強引にハンドル切ってみたが、全てコントロールされてしまう。雨や雪など滑りやすい路面状況で判断ミスしうっかりオーバースピードとなった時も、相当ムチャな速度域でない限りカバーしてくれるなど効果たるや絶大。全グレードに装備出来るから(一部標準装備される)、ぜひともどうぞ!