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<ポルテ試乗レポート>
トヨタの新型コンパクト『ポルテ』。機能や装備に付いては既にこの場でも紹介したけれど、走りはどうか? 今回は師匠国沢とボク山崎に加え南圭記者も同行。試乗レポートします。
○動力性能
1.3リッター(87ps/12.3kgm、142万円)の130i“Cパッケージ”と1.5リッター(109ps/14.4kgm)の150r、150万円)を比べると・・・
師匠国沢(以下:師) 買うなら1.5リッターをプッシュしていきましょう。
山崎(以下:山) そうですか? 1.3リッターでも街乗りなら十分だと思いますけど。
南 1.3リッターだとゼロ発進が泣けるくらい遅い。大人4人で乗ったら遅すぎてお話になりません。
師 その“遅すぎる”ってのは一体ナニを基準に言ってるワケ?
南 いや、特に明確な基準があるわけじゃ無いんですけど、経験的に遅いなあと思っただけです。
師 素人のクルマ談義ならそれでも通用するけれど、何のデータも無しにそういうことを言っても信憑性ない。もう少し具体的に評価するように。
山 試乗コースにキツイ上り坂があるから1.5リッターの余裕が欲しくなるんじゃないですか。もともと街乗り中心で作られたクルマですから。
師 価格差8万円でしょ。だったら1.3リッターのメリット少ない。スペック的にも1.5リッターの方が断然余裕あるから、快適空間を謳うコンセプトに合った走りができるし。
南 きっと1.3リッターを設定する理由があったということなんですよ。
山 一般的なユーザーにとって1.5リッターだけの設定だとコンパクトモデルという意識を持ち難いんじゃないでしょうか。ボクは1.5リッターしかラインアップのない『ラウム』はコンパクトカーだと思えないですから。それに、もともとシャーシを一部共有するヴィッツにも設定があるわけですから、グレードを増やすことによるコストアップもほとんどなかったんじゃないかと。
師 1.3リッターのエンジンと1.5リッターのエンジンの違いはピストンのストローク量だけみたいなもんだから、コストなんてほとんど変わらない。一方、乗リ比べると200ccの差は明らか。だったら1.5リッター1本に絞って、さらにコストを下げれば145万円くらいの値段を付られるハズ。今の価格設定だと割高なイメージがある。自分が若いファミリーなら、ウィッシュにすると思う。ウィッシュって30万円近い値引きをしてくれるから、10万円高くらいで買えるもの。次に乗り換えるときのリセールバリューだって有利。
南 1.3リッターも1.5リッターも税金面では同じですから、実用燃費で8万円の差が埋まるかになるところですね。
山 1.3リッターモデルのミッションがヴィッツのCVTだったら結構イケると思いませんか?
師 キューブにはそれに近い組み合わせがあるね。まあコストの問題でCVTは見送られたんだと思うけどさ。
○ハンドリング
けっこう派手にロールします
国 ロールするけれど限界特性は問題無し。ただあまり気持ちイクない。
南 もともとロングドライブには大きなウェイトを置いていないとのことですし、スピードの出ない街中ならそれほど気にならないと思うんですけど…。
山 車重が重くなってしまった分サスペンションのバネを硬くし、それでいて乗り心地を損なわないレベルでロールを抑えているとこのとですが。
南 屋根が高いクルマにしては頑張ってる感じしますよ。走るの大好きって人に向けたクルマじゃないから多少ロールするくらいの方が自然な動きに感じると思います。
山 それでもやっぱりウワモノの重さを感じますか?
師 重い。コーナーを攻めた時だけなら仕方ないと思うけれど、普通に街中の交差点を曲がっていてもロールするから。
南 アシが負けてこらえきれないってことですか?
師 別に悪いアシだとは言ってないよ。決して不安定になるわけじゃないから。背の高いクルマのスタビリティ確保に関しちゃ最近のトヨタはとってもウマくなったと思う。しっかりしたハンドリングのミニバンを作ってる経験あるから。
山 ロールする割には限界域で唐突な感じもなく収まりますね。
師 ステアリング操作に対する反応が素直だから動きが自然。「危なくなりそうだな」ってところがわかり易い。タイヤがミャーミャーとコーナリングノイズを出すけど・・・。このタイヤ、ウェットでもけっこう音が気になると予想しておく。
南 ユニバーサルデザインのおかげなのか、いきなり運転を任されても違和感無くて運転し易いですよね。
師 それも最近のトヨタ車の良いところ。いろんなメーカーのクルマに立て続けに乗るような場合があるけど、このところのトヨタ車って走り始めから乗り慣れたクルマのように馴染む感じがある。ただし、ひとつ気になるのが、ちょっとばかりAピラーが横方向に太いところ。シートポジションの関係もあるんだろうけど、鋭角コーナーでやや視界を遮る感じがある。もう少しスマートな方が開放感も一段と上がってさらに気持ちよく運転できると思う。
南 でも、ドアミラーが左右で異なる位置についてるとこなんかを見ると、運転し易さを追及しようという意識は高いと思いますよ。
○乗り心地
ややAピラーが太く感じます
山 全体的にはしっとりとしたマイルドさを持ちつつ、ファンカーゴなんかよりかなり落ち着いた乗り心地ですよね。
師 そんな感じかな。確実に分かるのは、サスペンション取り付け部の剛性が上がってるってこと。土台がしっかりしてる分サスペンションがよく動く。それによってボディ全体の動きが安定してロールこそ大きいけれど安心感を持てる。ロール自体は背の高さの影響だから、決して悪い足まわりじゃない。
南 遮音性も頑張ったという話を聞きましたよ。
山 ポルテ専用に開発した高剛性フロアが遮音性の向上に繋がったということです。
師 これだけ左右で開口面積が違うから剛性についちゃ気になってたけど、左右に振り回したときの差もほとんど無い。画期的なドアを採用するためにマジメに剛性を考えなくちゃならなかったんだと思う。
南 道路の継ぎ目や荒れたところで軽い突き上げがあっても振動が響かないですね。
師 突き上げ感は国産のショックアブソーバー全てに言える傾向のせいでしょ。ややスピードが乗った状態で段差越えると、動き始めの滑らかさを出せてないからガンッ! という突き上げが出る。この特性って随分前から言ってるけどまだまだだね。
山 現状でもロールだけならスタビライザーなんかで調整できるでしょうけど、突き上げを無くすのは難しいでしょうね。これ以上初期入力に対してマイルドなダンパーを使うと、乗り心地と安定性を損ねる可能性が高くなっちゃうんじゃないですか。
師 ホンダ車に多いショーワのダンパーならワンランク上の乗り味が出せると思うよ。
○リアシートは広いけれど小柄な人御用達
正しい姿勢で座りましょう
師 このリアシートは乗ってるとオシリが滑ってくるね〜。
山 リビングのソファ感覚が開発目標だったそうですけど。
師 それはわかるんだけど、5分もすれば前にずれちゃう。座面がフラットだからかな。
南 5分おきにずれたら、その度に直せば問題ないと思います・・・。
山 座りやすい高さと角度になっているので、きちんとした姿勢で座れば問題無いと思いますが。
師 体型によるでしょう。小柄な人なら問題なさそう。
山 いやいや、そんなこと言ってないですよ〜。
師 でもさ、クルマは動くもんなんだからもう少し摩擦のあるシート表皮使ったほうが良いと思う。これじゃいくらフカフカしてても長時間姿勢を保つのに疲れるよ。
山 多少滑りやすいのはジャージ製素材の特徴でしょうけど、肌触りとかも吟味したそうですよ。
南 高齢者が座ることを第一に考えてシートを作ったと言ってました。
師 それにしちゃちょっとツメが甘い感じだなぁ。しかもこのシートベルトのキャッチャーなんだけど、オシリが前にずれてくるとわき腹あたりに当たるんだよ。
山 確かにシートアレンジの関係でキャッチャー側のベルトが長くなってますね。でも、きちんとした姿勢で座れば腰のところに落ち着くと思います。
南 座面の沈み込みが大きめなので余計にキャッチャーが上にくるのかもしれません。でも、やっぱり深く腰掛けることが大前提のシートなんですよ。
師 ワタシはリアシートでもシートベルト着用を唱える一人だけど、これだと腰ベルトが柔らかいお腹に当たっちゃう。今後、安全性に対する意識がもっと高くなるのは確実なんだから、装着義務がないとは言えリアのシートベルトも今以上の意識を持って作って欲しいな。ダミーのようにお行儀良く乗れば問題ないのだけれど。
○助手席にはアームレストが欲しい
師 助手席側にアームレスト無しってのは疲れるね〜。
南 そうですか? 車内。特に横幅に余裕があるような気がしますけど。
山 原因と言っていいのか理由と言っていいのか分かりませんけど、スライドドアを開けたときになるべくボディに沿わせたかったようです。ドアの内側にアームレストをつけるとその分余計にドアを外に出さないといけなくなりますから。
師 でも、イスに座ったときにアームレストある方がなんとなく自然な感じしない? それに腕でも身体を支えられるから、横Gかかったときなんかも楽だし。
南 狭い駐車場なら今までのスライドドア以上に使い勝手が良さそうじゃないですか。
師 アームレスト分くらいドアが外に出ても日常ユースに大きな問題にならないでしょ。助手席アームレストはゼッタイあったほうがイイ!
○その他
山 そのほか何か気になった点ありますか?
師 プラズマクラスター(シャープの登録商標)内蔵エアコンは凄く可能性あると思う。どうせだったら、もっと頑張ったらよかったのに。例えばCLEANモードとIONモードとあるけど、モード切替が手動で、しかもその切替スイッチがステアリングの奧の方にあって押しづらい。空気は目に見えないんだからケースに応じて自動で切り替えてくれないと。例えば10分ごとに切り替わるとか。手動じゃその効果を十分に生かせないと思うよ。
山 言われてみればそうですね。いくらクリーンモードがカビ菌を不活性化してイオンモードがマイナスイオンを発生すると言っても、空気の状態を計るメーターが付いてるワケじゃないですから、いつ切り換えていいか分からないですね。宝の持ち腐れは避けたいところだけど、横着な人だとどっちか一方に固定したままになる可能性大です。
○革新が新しい文化を生む
画期的なスライドドアと圧倒的な車内空間ばかり目立つポルテだが。現行ヴィッツ系の最終モデルということもあり、シャーシはbBやファンカーゴより確実に熟成が進んでいた。もし、単純にポルテのフロアを使ってヴィッツを作ることができるなら、それは理想的なコンパクトカーに仕上がるのではないだろうか? ホンキでそんなことを考えてしまった。
元々力強さや機敏さを目的に開発されたクルマではないから、最終的な判断はクルマに多彩な機能を求める人にとって「果たしてポルテが自分のライフスタイルに合うかどうか?」になるだろう。ただ、画期的な構造を採用しているということは、可能性の広がりに繋がると言えると思う。今後トヨタがどのように『ポルテ』を育てていくのかにも注目したい。(山崎雑感)
●番外
・助手席ロングスライドの使用上の注意です(重箱のスミをつつくようで失礼)
〜ブレーキング時にリアシートの乗員が誤って助手席スライドロックを解除すると…
南 「ぎょええええ〜!」(ガツンッ!! と鈍い音)
師 ナンちゃんどうした?
南 痛った〜!!!
師 すんごいことになるねぇ。
南 もう! 急にシートが前にスライドしてグローブボックスの下に思いっきりヒザをブツけたじゃないですか!
師 なんで助手席がそんなに急に動くワケ?
山 シートアレンジのひとつに助手席を畳んでグローブボックス下と一体化させる機能があるので、限界まで前にスライドさせることができるんです。
助手席はダッシュボードからリアシートまで動く
師 ブレーキング時なんかにシートを動かそうとすると確実にこの状況になるってこと?
南 そうですよ! ストッパーが無いので一気に前に行っちゃいます。だからこそ、使用上のマニュアルには走行中触るなと記載があるんです。
師 でもさ、このハンドル形状だとリアシートに座った人が助手席の裏に折り畳みテーブルがついてるもんだ思って触っちゃう可能性あるね。だってリアシートから見ると完全にテーブルの形してるし、ハンドル自体にも「シート動くぞ!」っていう手応え無いもん。
山 それはドライバーが注意して走行中はゼッタイに触らせないようにするしかないですよ。ハンドルの操作力については「もっと軽くした方が良いんじゃないか」という声もあったそうですけど、やっぱり子供のいたずら防止なんかを考えて現状でもある程度重くしたそうですから。
師 世の中にゃいたずら好きが多いからね〜。やんちゃな男の子なんか、他人をビックリさせることに目覚めちゃってるから、こんなオイシイ機能を知ったら試さずにはいられないんじゃないかな〜。
南 それは大人の責任です。こんなことされたら、助手席に落ち着いて座れません。今も足を突っ張って身構えてます。間違えなくトラウマになるでしょう。
師 で、この助手席って確かうしろも限界までスライドするんだよねぇ?
山 しますよ。ただ、うしろ方向についてはレールに入れるストッパーがあるので、それをつけておけば2ドアクーペくらい隙間が残ります。
南 スタートや加速時なら万が一助手席のロックが外れてもリアシートの乗員をサンドイッチすることないんですけど、ブレーキング時はどうにもなりません。
師 でもこのストッパー簡単に外れるよ。横着な人はこういうの一回外したらシートアレンジの度に付け直すの面倒臭がると思うな。そうなったら、ストッパーなんてあって無いようなモンかもしれない。
山 なんだかポルテは堅実なトヨタにしては珍しいくらい、これから熟成する余地を多く残しているような気がします。おそらく大冒険して開発した画期的な構造を持つクルマだから、マーケティングだけでは計り知れない部分も多々あるんじゃないでしょうか。
師 助手席がこれだけ下がれば、助手席エアバッグは完全に届かない。だったら是非ともホンダエディックスのように助手席にチャイルドシートを付けられるようにしたらいいのに。と、開発担当の方に聞いてみたら、検討したと言っていた。でも助手席のチャイルドシートって、やっぱりアレルギーがあるみたいね。せっかく意欲的なクルマを作ったのなら、ドンドン攻めたらいいと思いました。
平成16年8月4日
<ポルテ速報レポート>
●機能性追求から生まれた“何でもドア”
7月26日。トヨタの新型車ポルテが発表された。池袋のアムラックス東京で行われた発表会場には用意された椅子が足らなくなるほど報道関係者が詰めかけ熱気ムンムン。15分前に着いたボクも当然? 立ってプレゼンを聞いた次第。終始慌しい雰囲気だったけれど、いくつか気になるところを伺ってきたので報告します。
○現行ヴィッツベース最後の入魂モデル
山:ポルテの発表会に行ってきました。
師:あ〜、あのプジョーと共同開発したってヤツね。
山:それがですねぇ、全くもって独自開発だそうです。車名のPorte(ポルテ)こそフランス語で“扉”ですけど。
師:そうなの?
山:確かに一見すると先日フランスで発表された通称セサミと言われるプジョー『1007(ワン・ダブルオー・セブンと読むらしい)』と同じようなコンセプトなんですけど、開発チーフの杵築(きずき)氏に直撃したら「セサミ見たんですね。でもプジョーとはなんの関係もありません」とちょっと怪訝な顔されちゃいました。しかも1007ってポルテ(T3990×W1690×H1720)よりボディサイズが一回りくらい小さい(全長のみ3730mmと発表済み)みたいです。
師:そらワタシもトンチンカンな認識してましたな。でも、ベースシャーシは新型ヴィッツって噂だけど。
山:それもですねぇ、現行ヴィッツだそうです。
師:アララッ。
山:ただ、これで現行ヴィッツのプラットフォームを使ったモデルは最後だそうですよ。
師:おお! ってことは次期ヴィッツのデビューも近いかな。
山:そこまでは教えてくれませんでしたけど、このプラットフォームって99年1月(初期型ヴィッツ)デビューですからもう丸5年。その間、ファンカーゴ、bB、イスト、プラッツ、シエンタ、あとWillの『Vi』や『サイファ』なんてのも派生しましたから十分過ぎるほど元を取ったんじゃないですか。
○販売店はなんと…!
師:なるほどね〜。で、売れそうなクルマだった?
山:これまで使い勝手をセールスポイントにするコンパクトカーってたくさんありましたけど、こんな思い切ったドアを採用してまで利便性を追求してきたのはポルテが初めてですから注目度は高いと思います。ただ、下手をするとユーザーを限定しちゃう可能性もあるかと…。
師:あんまり売れないんじゃないかなぁ。
山:そう思いますか? ただ、ボクも少なからず疑問を持ってるとこがあるんです。
師:何が?
山:販売チャンネルのとこ見てください。
師:アレレ? このクルマ、トヨタ店とトヨペット店で売るの?
山:そーなんですよ。これまでの常識で言ったら、こういうコンパクトクラスのクルマってネッツ店の専売特許みたいだったじゃないですか。それを、200万円を超えるクルマが主体のトヨタ店とトヨペット店で売るんですよ。
師:それなら初めからいいペースで売れるかも。
130i“Cパッケージ”の車内(内装色は全車アイボリー)
山:でも、高級車ばかり売ってきた会社にいきなり「庶民的なモデルを大量にさばけ!」「月販目標4000台だぞ!」って言っても、売り方分からないんじゃないですかね。これまでどちらかと言ったらマークツーを初めとするシブ線のセダンなんかを中心に売ってきたディーラーマンも、赤ちゃんを連れた若い夫婦(ターゲットユーザーは20歳代から30歳代)が殺到したら客層の違いに戸惑うと思います。それに、店舗の雰囲気だって変えないとターゲットとなるお客さんが寄り付かないなんてこともあり得ます。まあ、そのあたは販売力ある両店ですからしっかり手を打ってくると思いますが…。
師:ただね、価格を見るとコンパクトカーとしちゃ高いんじゃないの? オーディオレスだし。やっぱり高級ってことなんかな。
山:おそらくその“車格感”ってのがファミリーカーのイメージが強いネッツじゃなかったんだと思います。社長もおっしゃってましたけど、コンセプトに「リビングのような快適な空間」を打ち出している以上、目指すところは“ゆとり”なんでしょう。となると、おのずと販売の現場でも商品価値を高めるための戦略を立てたい。その結果が高級志向のトヨタ店とトヨペット店ということになったんじゃないかと思います。ウイッシュの隣に並んでいるよりも、クラウンの隣にあった方が“箔”つくし、商品力でも引けをとらない自信があるんでしょうね。価格の違いを抜きに考えてもほかのコンパクトモデルとバッティングすることはないと考えているようですし。
師:bBみたいな感じもしないでもないけどねえ。
カスタマイズするとパッと見新型bBいやヴォクシーか!?
山:そうですね。ちょっとカスタマイズされた車両を見ると、新型bBか!? と思えるくらい外観の雰囲気似てますよ。広報の方がおっしゃるには「流行りですから」とのことですけど…。ただ、bBあたりを考えてるお客さんを取り込めればトヨタ店とトヨペット店にはメリット大きいんじゃないですか。クラウンを買いに来た熟年夫婦がポルテを見て「孫が生まれたから一台買ってやるか」なんてなれば最高でしょうね。例えが悪いですけど、子供を連れて高島屋に買い物に行ったら、たまたま駄菓子が売ってたから買ってあげた的なこともあり得るかと思います。高島屋に駄菓子が売ってるって知れ渡れば、今まで庶民には縁がないと素通りしていた新たな客層も取り込めるかもしれません。まあ、クルマに当てはまるかどうかは未知数ですが…。
○立体駐車場は敢えて無視!
師:日常生活での使いやすさとか快適性を目指してるってことはラウムなんかと近いんじゃない? センターメーターのせいもあるだろうけど、インテリアの雰囲気も何となく似てる。
山:それも聞いてみたんですけど、ラウムはあくまでクルマにおけるユニバーサルデザインを徹底追求したクルマとして、より幅広いユーザーがターゲットだそうです。もちろんポルテも随所にユニバーサルデザインを取り入れてますけど、背が高い分絶対的な車内スペースはラウムより断然広いです。
車内を実寸で比較すると、ラウムのT1990mm(4WDは2000mm)×W1400mm×H1220mmに対して、ポルテはT2145mm×W1370mm×H1390mm。全長で55mm大きいラウムより室内長で155mm(FF車比)も上回っているのは凄いですよ。セルシオだって室内長2080mmですから、実際リアシートに座ってみるとめちゃくちゃ余裕ありました。運転席側のリア窓なんか新幹線の窓みたいに大きいですから開放感もハンパじゃないです。前後席間はなんと1050mmですって(セルシオは1035mm)!
師:背の高いデザインが効いてるから室内高もカナリあるんじゃない?
山:これもアルファードと同じなんですよ! 全高1720mmと立体駐車場を敢えて考慮せず思い切り高く設計したことで、全高1935mmもあるアルファードと同じ車内高を実現してるんです。アルファードとの全高差215mmを考えるとポルテがいかに低床フロアか分かります。最低地上高は普通セダン並の150mm。道路から300mmのところにフロアがあるということは、だいたいA4サイズの紙を縦に置いた半分がロードクリアランスで、上端に床がある感じですね。ヴィッツでもフロア高345mmありますから、ポルテに乗り込んだときは一般的な家の玄関から室内に上がるような感覚でした。
○快適性と安全性を徹底追求
師:大いに気になるのが、快適空間とやら設置されたシートなんだけど。
山:ハッキリ言ってリアシートは好き嫌いが分かれると思います。
モノトーンシートを選択した150rの車内
師:どういう風に?
山:柔らかいんです。リビングをイメージしているのはわかるんですけど、カナリ柔らかめのソファって感じなんですよ。個人的には、渋滞してるときなんかはゆったりできそうですけど、カーブが続くようなところを長時間走ると体を支えるのに疲れるんじゃないかと思います。開発の方に聞いてみたんですけど「広さを活かした快適性を追求するあまりちょっと頑張りすぎたかなぁ」、「結構そういう意見もありますね」だそうです。ただ「長時間ドライブはあまり想定していない」ともおっしゃってましたので、なおさらベッドマットほど厚みのあるクッションを採用した理由が不明確なんですよ。まあ、子供はフカフカマット大好きですから受けるかもしれませんが・・・。
師:シートに関しちゃうるさいワタシが試乗時に徹底チェックするしかないですな。停車状態だけ快適っていうんじゃクルマのシートとしてはどうかと思う。フロントシートは? 助手席側なんてピラーレス設計のラウムのノウハウ入ってんじゃないの?
山:その通りです。750mmのロングスライドが自慢の助手席ですけど、骨格はラウムのものを流用してます。シートアレンジの関係で一部形状変更を受けてますけど、クッションもリアシートに比べれば各段に張りがありました。大人が座るのならゼッタイコッチですよ。
師:運転席もラウムなの?
山:運転席はシエンタのものがベースだそうです。と言っても、コストの関係から部品の一部はアルファードなんかと一緒ですけど。
師:さすがに助手席が750mmもスライドするとアレンジも多彩なんだね〜。
山:そうですね。助手席を一番うしろまで移動させれば、リアシート右側に座った人とちょうど三角形になるんです。運転席のうしろにチャイルドシートをつければ、助手席から赤ちゃんに接することもできます。ただし、リアの左側にチャイルドシートを設置することはあまり想定していないとのことです。一応ISOFIXタイプのアンカーはリア左右席にあるんですけど、あくまで助手席のスライドと大開放のドアをフル活用することが前提なんでしょう。 |

この状態で左リアにチャイルドシートはムリかも
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師:その大開放ドアなんだけど、操作性はどうだった?
山:外から乗りこむときはハンドルを引けば電動でスルスルと開きますし、リモコン操作もできます。車内からはハンドル部はもちろん、インパネ中央と助手席側のセンターピラー上部にも開閉スイッチがあります。
ドライバーが開閉する場合は空調操作パネル下の横長スイッチが便利
師:高さ1265mmのドアが1020mmもスライドする(ちなみにアルファードでも1245mmのドアが800mmしかスライドしない)となると開口部分の安全対策はどうなってるの?
山:開発当初からそのあたりをしっかり煮詰めてきているので安全性については十分に対策しているとのことです。具体的にはドアにサイドインパクトビームを入れ、内と外の両側にたわみを防ぐリインホースメントを配置。さらに、側面衝突の際にもドアフックがロックにガッチリかみ合う衝突対応型になっているので、万が一の際にも口開きしてしまうことはないそうです。
○実は走りが◎らしい
師:同じ1.3リッター同士で比べるとヴィッツより約100kg、ファンカーゴとでも50kgくらい重くなってるじゃない!
山:そうですね。ヴィッツはちょっと別格ですけど、重量差を補うために4速ATのファイナルギヤが変更になってます。ファンカーゴの4.132に対してポルテは4.361の減速比ですから、ややローギヤード化されてるんです。まあ、カタログ燃費ではファンカーゴ(X)16.8km/L、ポルテは16.4Km/Lとなってますけど、この程度なら運転条件の違いで埋まっちゃう範囲だと思います(1.5リッターもファイナル違いだが燃費は16.0km/Lで同じ)。
師:まだ乗ってないからなんとも言えないけど、ファンカーゴくらいシャッキリ走るんかねぇ。
山:開発の方によるとボディのねじれ剛性はファンカーゴやbBよりも約30%も上がっているそうです。設計段階からこれだけの開口部を持たせることが決まっていたから、曲がりの少ない骨格に高張力鋼鈑を積極採用し、十分な剛性を確保できたと自信あり気でしたよ。
師:期待してイイってことね。
山:剛性のない片側スライドドアのクルマって、そんなに飛ばさなくても右コーナーと左コーナーで違う動きするのあるじゃないですか。ポルテはこれだけ左右で開口面積違うからそのあたりはどうなのか聞いてみたんですけど「それも大きな課題だったんですけど、普通に乗ってる分にはまったく感じないレベルまで対策しました」。「正直全くないとは言えませんが、あまりにも常識外のスピードで走らない限り感じることはないと思います」。「むしろ剛性が高い分ファンカーゴなんかより正確なステアリングフィ−ルですよ」とのことでした。
師:そこまで言うならいっちょ試しちゃいますか。ワタシらは評価してナンボの仕事だからそのあたりも厳しく確認しなくちゃ。左右で限界特性違っちゃ危ないでしょ。
山:そう言えば、燃費の話しでひとつ思い出しました。エンジンなんですけど排ガス規制のトップ基準を満たしてないんですよ。1.3リッター、1.5リッター共に★★★(平成17年基準排出ガス50%低減レベル)+平成22年度燃費基準達成止まりなんです。少し頑張れば★★★★(同75%低減レベル)と(平成22年燃費基準)プラス5%達成もできたと思うんですけど、これまでのヴィッツ系ユニットをそのままキャリーオーバーしただけなんです。トヨタの新型コンパクトとしてはちょっと物足りないなあと思ったんですけど。
師:おそらくそこまでコストかけらんなかったんじゃないかな。ほかが相当お金かかってるようだから。
山:bBよりはバーゲンプライスだと思うんですけど、実質1.3リッターと1.5リッターの2グレードしかないところを見ても、コストカットを徹底してる感じですね。排ガスの件は聞きそびれたので試乗会のときに確認しておきます。
運転席側からリアシートへのアクセスは考えられていないという
以上目に付いたところを紹介してみたのだが、個人的にちょっと気になったことがある。それは助手席側からの乗り降りの際に感じたビミョウな照れくささ。単に慣れの問題だとは思うけれど、果たして“なんでもドア”と銘打たれた大きなスライドドアが街の景色にどう融け込むのか? 公道での感想と試乗レポートは後日アップ予定です。
平成16年7月28日
山崎 裕正
《ポルテ発表会速報》
自慢の大開口スライドドアと張富士夫社長
トヨタの新型車『ポルテ』が発表された。既に雑誌等で話題になっている通り、助手席側に大開口のスライドドアを装備。通常2枚にすべきドアを1つで賄い、かつこれまでにない使い勝手の良さを実現したというエポックメイキングさが最大のウリ。
早速実車を確認してみた第一印象は「結構大きいなぁ」。全長3990mm×全幅1690mm×全高1720mmは縦横で比べればbBと同じくらい(bBの全長は3945mm、全幅は同一)。しかし、高さが80mmも高いから存在感はワンクラス上のモビリオ(AorWのFF:全長4070mm×全幅1685mm×1740mm)くらいある。
開口幅1020mmを誇るご自慢のスライドドアは電動式で、ドアノブを引けばスルスルと力要らずでご開帳。フロア地上高も300mmに抑えられているから、イメージとしては階段一段分くらい足を上げて乗り込む感じ。ところが、いつもの感覚でかなり腰を屈めてシートに座ろうとして驚いた。コンパクトカーという響きから想像される室内高を遙かに凌ぐほど天井が高い。資料によると室内高1390mm! なんとアルファードと一緒なのだ! 広いなぁと思ったモビリオだって1360mm(ちなみにタントは1330mm)だから、もしかしたら車内移動のしやすさナンバーワン候補かもしれない。
エンジンは1.3リッターと1.5リッターの二本立てで、ミッションは電子制御の4速ATのみの組み合わせ。何を隠そうポルテはヴィッツのプラットフォームから派生したモデルだから、駆動系に関しては同じ流れを汲むファンカーゴなどからほぼキャリーオーバー(現時点で4WDモデルはなし)されている。ただし、車重が1090kg(130i)と重め。開発者によると「ボディ剛性が高いので思った以上に良い走りしますよ」。果たして、シリーズに共通する軽快な走りと低燃費を実現出来ているのか? 後日試乗でチェックしたい。
平成16年7月26日
山崎 裕正
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