どんなクルマなのか、とりあえずいつもの通りテストコースで攻めてみましょう! Dレンジをセレクトしてアクセルを踏み込むと、まぁソコソコのパワーフィール。最高出力こそ145馬力しかないけど、トルクは排気量にふさわしい23、2sm出てるのだ。最も軽い標準グレードであれば車重1820sなので、理屈じゃ910sのクルマに1300tエンジンを積んだのと同じになる。ま、カローラ1300を想像してもらえばよろしいかな?
 グランビアの幅を狭くしただけというので、割と元気良くコーナーに突入! グランビアはカウンターさえ当てられるほどハンドリングがいいのだ。するとどうだ!うぉーとっとっと、ざます。激しいアンダー出現により、膨らみそうになってまった。仕切なおしてコーナリングしてみると、こらミニバンというより、1BOXカーの挙動だぁね。アンダーを出して限界を抑えているのだ。そんなの聞いたことないって?



 説明したろう。1BOXカーは重心が高いため、コーナーで無理するとコケる。それじゃ困るので、アクセルを開けた時は早めにアンダーステアを出して警告すると同時に、後輪が離陸するようにセッティングしてやるのだ。つまりアクセルを開けても、駆動力は伝わらないようにするワケ。レジアスくらい背が高くて幅狭だと、イマドキのミニバンのような乗用車的ハンドリングにするのは物理的に不可能なんだろう。
 とはいえワタシも意地! カウンターを当てられないとなると、余計に頑張りたくなるってもんだ。「デンキジドウシャもハイブリッドカーも、ワタシが一番乗りするんじゃい!」ってな理由から一発勝負でキメてみました。こら職人芸に近いので、絶対マネしないように。シロウトがやったら100%コケると思う。キホンテキにレジアスは運転そのものを楽しむクルマじゃなく、みんなでノンビリ遊びに行くためのミニバスだと理解して欲しい。

 ところが乗せて貰う立場になってみると、こんなに楽チンな乗り物はないぞ。グランビアよりインテリアは豪華だし(価格もグランビアより高いのだ)、シートの座り心地も上々。一回り小さいノアと比べると、コロナとクラウンくらいの違いはある。広さだって新幹線のグリーン車といい勝負。リアシートに座ってスキーに行くなら、トヨタ車の中でイチバン快適かもしれない。いや、間違いなくイチバンだ。
 例によってガソリンとディーゼルが選べるんだけれど、最高速はガソリン169q。ディーゼル160qで、ホンの少しガソリンが速いそうな。燃費は10%くらいガソリンの負けとなるも、新車価格は19万3千円も安い。燃料代を計算すると、意外にも走行5万qまではガソリンの方がおトクなのだった。リセールバリューだって、ガソリン有利。といったことを総合して考えると、買うならガソリンでしょう 


 もしも「レジアスのコンセプト10文字以内で記せ」と問われたなら、答えは非常に簡単。「幅狭グランビアざます」となる。悲しいことに我が国の道路環境ときたら、依然として箱庭的。全幅170p以内の5ナンバーサイズなら一応どこに行っても何とかなるけれど、全幅180pだと途端にアカンくなってしまう! ワタシも車幅180pのディスカバリーを持っているが、ショッピングセンターの駐車場はもちろん、家の車庫だって10pの違いで余裕は消え失せる。「対向車がきたらどうしよう?」みたいな路地だって少なくない。
 わずか10pで全て変わってしまうのだから面白いよなぁ。エスティマなども車幅180pが致命的だと判断され、169pのエミーナ/ルシーダを作ったほどだもの。この2車を乗り比べてみると、信じられないほどの違いを感じるのだ。ここまで書けば、もう解って頂けたろう。元々グランビアはヨーロッパでVWバナゴンと同じ土俵で勝負するためのモデル。基本的に日本の市場を考えていない。だから180pという大柄なボディを持っているのである。エミーナ/ルシーダに対するエスティマだと思えばよかろう。
 ただエミーナ/ルシーダと違うのは、レジアスがトヨタのミニバンで最上級モデルとなるハイエースの後継車だという点。エミーナ/ルシーダは量販車なのでベースとなったエスティマより多少車格が下でも問題なかったけれど、ハイエースの後継車となるとそうもいかない。実際、最も高いレジアスは380万8千円。グランビアでイチバン高いグレードが356万8千円なので、むしろ高価なのだ。「グランビアより小さいのに高級」。ここをよ〜く理解して欲しい。


 車体パッケージは「グランビアの幅を狭くしただけ」である。真横からの写真を見れば、誰でも「何だ同じテッパン使ってるでないの!」と思うハズ。すでにトヨタはエスティマからルシーダ/エミーナを作っており、その時と同じ手法を取った。具体的には両側のパネルとドアなどを流用。中央部をバッサリと105o分だけ切り落とし、幅を詰めている。スペックをチェックすると、全てが105o狭いだけ。徹底してるのだ。
 全幅が1800o−105oの1695oなら、トレッド(タイヤとタイヤの幅)もマイナス105oとなる。全長はバンパー形状を変更し2p短い4695o。5ナンバー基準ギリギリに抑えてきた。ハイエースが全長4640o×全幅1690oなので、ホンの少し大きい。また弟分に当たるノアは全長4435o×全幅1695o。レジアスより26pも短いため、コロナとマークUくらいの差がある。明らかに違うクラスのクルマだ。


「グランビアより高級」がテーマになっているため、エクステリアもインテリアも、高い質感を持たせようと頑張った。象徴的なのはフロントマスク。グランビアの場合、ネズミ小僧(ゲゲゲの鬼太郎に出てくるヤツ)みたいに、先端を絞り込んでいる。これがグランビアのスタイルを貧弱に見せてしまった。ヨーロッパじゃ商用車として売られるので謙虚なデザインにしたのだろうけど、やはり日本のユーザーから支持されていない。そこでレジアスはド〜ンと立派に見えるフロントグリルを構築。ヘッドライトも端正な角形を採用している。インテリアもグランビアと異なり、思い切ったデザインのダッシュボードを採用。ウッド風パネルで味付けしてきた。


 レジアス最大のセールスポイントになるのが取り回しの良さだろう。スペック表で見る限り、最小回転半径などはグランビアと変わらない5、5mであまり期待できないように思えてしまう。しかし5、5mという最小回転半径は、案外と凄いのだ。完全にワンクラス下の車格となるノアより10p大きいだけだし(ノアは5、4m)、ステップワゴンの5、6mより優勢。
 1BOXカーであるハイエースの4、7mと比べると大回りな印象を受けるが、これまた遜色ない。ハイエースはフロントのオーバーハングが長いため、車体そのものの回転半径で比較すると、ほとんど同じようなもの。ハイエースからの乗り換えを考えているようなユーザーにもすすめられる。ただし4WDは6、3mと、やや大回りだ。


 老舗ミニバンの特徴となっているのがシートバリエーションの豊富さ。新顔のミニバンだとせいぜい2タイプくらいしか用意されないけれど(しかもセカンドシートの形状が異なる程度)、ハイエースの後継モデルともなれば、それじゃ済まない。長年の顧客からいろんなリクエストがあるためだ。レジアスにも、別の使い道を持つ4つのバリエーションが用意された。ただし価格帯によって選べるシートタイプは限定されてしまう。順に紹介しよう。
 上級グレードに設定されているのは、お約束通り@2列目がキャンプテンシートになっている7人乗り。そして標準バージョンはA2列目に2+1分割の3人着座となる8人乗り。さらにウインドツアラー用のオプションとしてBシートを全て脱着出来る『マルチデタチャブル』を用意。荷物を運ぶクルマとして使われることの多い最廉価バージョンの『E』のためC8人乗りスーパスライドシートが設定されている。以下、詳しく紹介しよう。


 8人乗りを買うときにイチバン迷うのが「大きな荷物を積むかどうか」である。なんせレジアスの3列目シートは畳むことが出来ない。荷物を運ぶことを考えた『E』グレードさえ、最大荷物室の前後長は1425oしか確保できないのだ。それに『E』グレードとなると、ディーゼルのみの廉価バージョン。乗用車として使おうとすると厳しいかも。となると残るはウインドツアラーにオプションで設定されたマルチデタッチャブルシートしかないな。これだと全てのシートを一つずつ脱着出来るため、様々なシートアレンジメントになる。外したシートをどこに保管しておくかで苦労すると思うけれど(ワタシもVWバナゴンのシート置き場に困った経験を持つ)、大物を運ぶヒトはこれを選ぶしかなさそう。


  
 最上級のGグレードを選ぶと、自然に7人乗りシートとなる。1列目以外のシートは前後にスライドするレールに乗っており、2列目は410o。3列目が945oも移動可能。パッキングのページを参考にして頂ければ解ると思うけれど、うまくセットアップすれば6人乗車+ゴルフバックとか旅行用の荷物なんかも積めてしまう。また乗降性という点からしてもベストなチョイス。2列目シートはもちろん、3列目シートへのアクセスだって楽だ。どうして7人乗りはGグレードにしか設定されないのだろう? ホンダだと価格に関わらず7人乗りを選べるが、依然としてトヨタは「7人乗り=お金持ちの専用」という凝り固まった考え方しか出来ないでいるのかもしれぬ。


 こりゃオモロイ装備だ。写真のように中央のレールにコンソール(お盆みたいな形状の小型テーブル)が装着されていて、運転席横のポジションから3列目シートのテーブルとして使える位置まで自由にセレクト出来る。運転席横に設定したまま動かさない、という企画倒れに終わりそうな装備のような気もするが、いろんなことを考えるのは悪いことじゃないと思う。


 基本的にアメリカ向け車種の特殊装備だったカップホルダーも、今や日本国内専用車でさえ絶対必要なモノになってしまったようだ。レジアスをチェックしてみたら、やっぱり全シーとカップホルダーを使えるようになっていた。ただ運転席の小物入れはやや不足気味かもしれない。ダッシュボード上面の形状からするとモノを置けるとは思えないし(安全性を考えると置かない方がいい)、ウォークスルーを採用した結果、センターコンソールも無い。カセットやCD、コインなどをどこにしまえばいいか迷いそう。用品で対応するしかなさそう。


 以前から書いてきたように、フルフラット時の快適性を高めようとすると、一般走行時の座り心地を落としてしまう。なぜか? シートとして使う場合、座面はソフト目でクッションを厚くしながら、カーブで左右のGが掛かったときのため左右を固めに。腰の当たる背もたれ部分は多少盛り上がり気味にし、背中を包み込むようにするのがベスト。
 こういったシートをいくら倒してフラット状態にしてみても、デコボコになってしまう。レジアスは高級感を持つミニバンを目指したため、シートに凝った。結果として、上級グレードほどフルフラットがニガ手のシートとなっている。キャプテンシートのGモデルなどは、フルフラットにしても隙間だらけ。廉価な『E』のみ、かろうじてベットとしても使えそう。


 驚いたのが運転席&助手席まで回転すること。これまでも輸入車や軽自動車にはあった機能だが、国産ミニバンの普通サイズとしては初のお目見えとなる。例えばオプションのマルチデタッチャブルシートを買ったとしよう。家族4人でオートキャンプに行くときは、最初から中央のシートを外しておく(軽くて嵩張る荷物はこの部分に積んでもよかろう)。で、キャンプ場について天気がイマイチなようなら、ここにテーブルをセットし、リビングルームにすればよろしい。食事の時だけでなく、TVを見たりゲームをして過ごすのもよかろう。
 そうそう。カタログを見たら2列目シートを90度回転させ、7人で座るコの字型シート配置も出ていたが「こんな使い方は絶対しないだろうな」と思った。エンジンを切った狭い室内に7人も居たら息苦しいもの。その他、従来と同じく2列目シートを回転させることも可能だが、レッグスペースは普通のミニバンと同じくミニマムになってしまう。廉価バージョの『E』は2列目も3列目も回転しない。いずれにしろ運転席+助手席の回転モードは、キャンピングカーを作るときなどに絶大な威力を発揮する。こいつを活かしたモデルも出てくるだろう。


 トヨタが「こんな使い方もありますよ」と提案してきた中に、『E』モデルの3列目シートをハネ上げ、セカンドシートのレッグスペースを109pに拡大したものと、マルチデタッチャブルシートを全て取り外した状態があった。109pのレッグスペースは、見た瞬間「だからどうしたの?」でサヨナラ。ブレーキ掛けたらツンのめるだけじゃん。
 シートを外した状態は、ややインパクトがあった。予想外に広いのだ。すぐに「キャンピングカーになるな!」と思うほど。シートを装着する”穴”に、シートと同じ金具を付けたギャレーなどを固定すればよろしい。バイクに代表される大物を運ぶ時や、シートを一つだけ取り付けて3人+大物の運搬といった芸当も出来る。

 ハイエースの後継車なので、居住性に関してはモンク無い! 高く評価できるのは「とにかくユッタリしてる」というところ。横幅はノアや子エスティマと同じなので期待していなかったが、横方向もイケてる。車体の断面が上に行くほど絞られる卵形でなく、箱形だからだろう。考えてみればハイエースもレジアスと同じ車幅。車体の断面形状からすると、ハイエースに近いのだ。ボンネットが付いたことで心配された前後長も、2915o確保してあり、3155oのハイエースと遜色ないレベル。ノアが2605oなので、レジアスの長さが解ると思う。しかもデザインに狭さを感じさせない配慮をしたためか、ハイエースより居心地がいいくらいだ。乗降性もミニバンじゃトップクラス。