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ランクス&アレックス
ランクス&アレックスの売れ行きが好調だという。このハナシを聞いてワタシは「あれ?」と思った。というのもランクス&アレックスって「売れない」と言われる5ドアHBだからである。こう書くと「シビックだって5ドアHBだろ」と思う読者もいるかもしれない。確かにシビックも5ドアHBだ。そんならOPAとかデミオも5ドアHBだろか? う〜ん、なかなか難しいぞ。この際5ドアHBの状況についてジックリ考えてみようでないの。
まず5ドアHBの定義だが、これまでは「3ドアHBに後部ドアを加えたもの」である。シビックやファミリアなどがそう。ヨーロッパではVWゴルフのヒット以降、続々と5ドアHBモデルが増えた。日本でも販売されたけれど、いずれも売れずじまい。若いユーザー層はスポーティな雰囲気持つ3ドアを選び、お父さん達が4ドアセダンを選んだからだ。結果、シビックは、「売れないから」と5ドアHBを止めたほど。ま、売れないボディの代名詞です。
そんな状況を変えたのがミニバン人気。1990年代中盤から始まったミニバン人気は、当初3列シートのモデルばかりだったけれど、少しづつ小型化が進む。考えてみれば普通のファミリーなら6人乗りなど不要。ムダな空間を運ぶのはもったいない、ということなだろう。やがてデミオやキューブといった2列シートのミニバンが出てきた。これ、ボディ形状からすればミニバン風ながら、機能的には5ドアHBと同じだと思ってよろしい。
こういったモデルが増え出すと、今度は「タワーパーキングに入る」というのもセールスポイントになってくる。また、車高低ければハンドリングも追求可能。かくしてOPAなる「車高低い2列シートのミニバン」がデビュー。こうなってくると「5ドアHBとの違いは何?」状態。ま、OPAはまだいい。専用ボディだから。リアシートのレッグスペースも同じクラスのセダンより広いので、使い勝手からすれば2列シートのミニバンと言える。
次がややこしいです。シビックのバアイ、人気低迷中の3ドアを廃止。その代わり2列シートのミニバンとした。5ドアHBではないか?という意見も多かったものの、OPAと同じくセダンとボディ構造からして違う。レッグスペースなどもフェリオと違う専用設計なのだ。ただボディタイプからすれば、どう考えても5ドアHBである。こうなってくると、買う側が決めればいいのかもしれない。5ドアHBだと思えばそうだし、違うと感じてもいいワな。
さてランクス&アレックスだ。こらもう火を見るより明らかな5ドアHBである。ボディ前半はカローラ。そいつにハッチドアを付けたもの。ステーションワゴンのラゲッジスペース部分をカットした、と表現してもよかろう。強いて違いを挙げれば普通なら5ドアHBとセットで作られる3ドアHBがない点。やがてヨーロッパで販売されるかもしれないが……。ここで気になるのは「どうして今更5ドアHBなのか?」。トヨタは売れると思ったのか?
ランクス&アレックスの試乗会に行った時、真っ先に聞いてみた。「どんなユーザー層を狙ったんでしょうか?」と。答えはどうだったと思いますか? 驚いたことに「ヤング層です」という。けっこうワラタ。トヨタじゃまだ「ヤング」というコトバを使っていたのね。「グーなフィーリングを持つヤング」狙いらしい。ヤング層ならファンカーゴとかbB買うとワタシは思ったので、さらに「で、実際にヤング層に売れているんですか?」と聞く。
すると「買っていただいているのは割と高い年代層です」。「それだと狙いと違いますね」(ワタシ)。「いや、ヤングファミリー層にも買っていただいてます」。う〜ん! 理解しきれずさらにハナシを聞いてみたら、なんのことはない。特定の年齢層でなく、幅広い年齢層から支持されているのだとか。こういった売れ方をしているクルマは、一般的に嗜好性が薄い。つまりクルマに凄く感心あるようなユーザーじゃないということだ。
もちろん試乗してみた。最初に試乗した1800ccの2ZZ190馬力エンジンを搭載したマニュアルミッション車は、なかなかスポーティ。ヨーロッパ仕様に近い足回りのセッティングを持つということでキビキビ走る。向こうではVWゴルフやオペル・アストラより少し小さく、プジョー306くらいのサイズ。ここにきて少しづつ注目度挙がっているジャンルとあって、ヴィッツRSのようなイメージか。しかし189万4千円は高いと思う。
1800ccのATはトヨタ内製。高級車と同等のスムースなシフトフィールを持たせようと開発されたらしい。さすがに文句ない仕上がり。残念ながらテストコースで試乗していないため、限界特性はチェック出来ず。フィールダーの190馬力と同じだとすれば、ちょっとスタビリティ不足だろう。やはり195万8千円と高価だから、日本で売るのは難しいと思う。他に良いクルマが一杯あるもんなぁ。トヨタからも今年イプサムやスパシオが出るし。
それなら、と1500ccに乗ってみた。「全面的にカローラでありませんか」。サスペンションセティングも1800ccよりマイルドになっており、ヨーロッパの味は感じない。ATやエンジンの感覚もセダンと同じ(重量的にはセダンとフィールダーの中間)。少なくともクルマを趣味とするヒトが魅力を感じるようなクルマでないと思う。ランクス&アレックスなら、シビックの方がクルマとしての魅力大。やっぱり平凡な5ドアHBである。
なんで売れるのか? おそらく「トヨタだから」です。世の中の流れは「トヨタ買っておけば間違いない」的になっているような気がしてならない。実際トヨタ買っておけば間違いないから正解だと思う。優れた衝突安全性と十分な排気ガスのクリーン度(☆1つ)を持ち、それでいて実用燃費素晴らしい。信頼性もある。迷った時はトヨタでしょう。アンタなら買うか、と聞かれたら「いいえ」。やっぱりカローラの5ドアHBにゃ魅力を感じませぬ。
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