<ベストカーより>

 セルシオの人気が低迷中である。人気のバロメーターとなる中古車市場をチェックしてみたら、高値をキープした初代モデルと違って値落ち大。新車だと590万円した7年式のC仕様も、すでに400万円以下で買えてしまう。なぜか? 理由は簡単。初代を大きく凌ぐ魅力に欠けるからだ。トヨタもマズイと思ったのかもしれない。昨年のマイナーチェンジに引き続き、またしても大幅なテコ入れをしてきたのだった。
 で、どうか? 結論から言ってしまえば「やっと初代を超えたね!」となる。予想していたよりずっとよろしかったぞ。以下、サックリ説明してみよう。まず2代目セルシオを見た瞬間に「いやだなぁ」と感じたスタイルだが、ガラリと変わった。2代目モデルは車内から車体の四隅を見切れるようになった反面、フロント回りが醜くなってしまっている。ワタシは理屈抜きに嫌いだ。



 今回のマイナーでこの周辺のボディパネルは全面的に変更され、イッキにカッコ良くなった!初代ともイメージが異なり、新しい顔つきになったと思う。車内からの見切りは初代と同じく悪くなったけど(車幅感覚が掴みにくい)、そんなこたぁどうでもいい。ウデに自身がないヒトは、バンパーの左にヘタクソ棒を付けりゃいいでしょ。最初からこのスタイルだったら、もっと人気になったろうなぁ。
 走りも大幅に向上している。初代セルシオの弱点だったのが、動力性能。ベンツSクラスやBMW7シリーズと踏みっこになると、悔しナミダを流すこともあった(その点、インフィニティQ45はライバルに一歩もヒケを取らず速い)。現行モデルになって少しだけ速くなったものの、ライバルが一段とバージョンアップしたため、状況は悪化。もはや勝負を仕掛ける気さえ失せてしまうレベル。

 ところがどうだ! 新しいVVT−i付き280馬力ユニットときたら、めっちゃパワフル。最高出力もさることながら、トルクは37smから41smまで大幅向上。トルク1smは排気量を100tアップした効果があるため、4、5リッターエンジンに匹敵するパワーフィールとなった。アクセルを踏んだ瞬間からグイグイ加速。これならBMW740iやベンツS500と踏みっこになっても負けない。
 その上、ATは5速になり、サスペンションも走行安定性と静粛性/乗り心地をレベルアップ。さらにGOAだしVSCとブレーキアシストは全グレード付くしヘッドライトはディスチャージドタイプだしインテリアの木目は質感が良くなったし、で、考えられることは全て実現したように思える。セルシオって、このくらい気合いが入ってないとイケナイ。きっと人気を盛り返すと思うな。

  <オートファッション誌より>

 VIPカーのイチバン人気と言えば、やっぱしセルシオでしょう。お金さえありゃ、ドレスアップのベースとしてバ〜ンとニューカーをおろしたいもんだ。ところが、である。絶大なる人気を誇った初代と対照的に、2代目セルシオの売れ行きはイマイチとなってしまう。中古車人気も、トヨタの狙いを大幅に下回り低迷中。中古車相場をチェックしてみたら、高値をキープした初代モデルと違って値落が激しい。新車だと590万円した7年式のC仕様さえ、すでに400万円以下で買えてしまう。おまけに初期型との相場差は、同じ平成6年式なら無いも同然といった感じ。
 なぜ2代目の人気がないか? 理由は簡単。初代を超える魅力に欠けるからだ。モデルチェンジして、むしろ安っぽくなってしまった感さえある。ワタシも2代目セルシオを見て失望し、当時の紹介記事でけっこうな悪口を書いたほど。特にスタイルは初代の方が圧倒的によかったぞ! どうやらセルシオユーザーの多くは、ワタシと同じ意見だった模様。トヨタもマズイと思ったのかもしれない。何と昨年のマイナーチェンジに引き続き、またしても大幅なテコ入れをしてきたのだった。それだけ代えたいブブンがあったのだろう。



 絶対的な動力性能は計測していないが、265馬力モデルの最高速250q(ヨーロッパじゃ最高速度を公表している。発表されている速度以上でないと訴訟されるので信じてよい)を超え、260q近いそうな。直線での踏みっこになればGT−Rでも手を焼く。その上、ATは5速になり、サスペンションも走行安定性と静粛性/乗り心地をレベルアップ。さらにGOAだしVSCとブレーキアシストは全グレード付き、ヘッドライトはディスチャージドタイプ。インテリアの木目、P質感が良くなったし、で、考えられることは全て実現したように思える。セルシオって、このくらい気合いが入ってないとイケナイ。
 グレードは今までと同じA/B/Cの3タイプ。AとBには本革シートと、ヨーロッパ仕様のサスを持つ『eRバージョン』も用意される。eRバージョンはB仕様の場合で12万円高の588万円。ドレスアップのベースとして使うなら、絶対おトクだ。C仕様は今まで通りエアサスで、これまた豪華リアシートの『Fパッケージ』が72万円高。ライバルは間もなく価格を発表する新型キャデラックだろう。アメリカでもモロにセルシオのライバル車となるらしい。4、5リッターV8を搭載し、価格もいい勝負とのこと。右ハンドルなので、使い勝手での心配はナシ。VIPカーのベース車両として考えると、ドッチがカッコいいか?

   <2代目セルシオ初期型>

「今度のセルシオはどう?」と聞かれたら、答はヒジョ〜に簡単。「すっごくいいよ!」である。旧型セルシオと比べると大幅に進歩している点は多く、劣っている部分がほとんどない。これまでのセルシオも高い完成度を持ってたことを考えれば『完璧』といっていいラグジュアリーカーだと思う。
 例えば動力性能。旧型も決して遅くはなかったけど、同時期にデビューしたインフィニティQ45や、海外でのライバルとなったベンツ560SE、BMW750iあたりと比べると少々負けていた。新型は100kgの大幅減量に成功。エンジンも若干トルクを増した結果、もはや世界トップクラスとなっている。



 北海道にあるトヨタのテストコースで速度リミッターのないオーストラリア仕様のハンドルを握る機会を得たが、驚いたことに実測値で260kmをマーク! 旧型を同じ条件で計測すると240km台前半だというから凄い違いだ。アウトバーンでセルシオが本気になれば、日本車で勝てるのはNSXくらいだろう。
 もっとタマゲタのはサーキットを攻めた時の挙動だ。セルシオみたいなクルマをサーキットで走らせるということ自体、自信の現れなんだと思うけど、攻めてみたら完全に予想以上! だってコーナー入り口から出口まで、ず〜っと横を向けて走れるのだ。『世界一ハンドリングのいい高級車』と呼ばれるBMW7シリーズよりコントローラブル。
<国沢光宏注・今月は珍しくヒョウロンカするので、読むのが面倒臭いヒトはここでオシマイにしてもよい>

しかし、である。文頭の質問をしたヒトが、ジドウシャについて相当ウルサかったら答は違う(この場合、普通のクルマ好きくらいじゃダメ。事実、自動車評論家だって80%は新しいセルシオを手放しでホメている)。ためらわず「アンタだけに言うけどさ、ガッカリしたよ!」と答えるだろう。何がガッカリか?
 旧型セルシオがデビューした時に受けた衝撃は凄かった!ボクはデトロイトショーで見たんだけど、開発途中の話や目的を聞いて心からタマゲタもんだ。だって高級車はクラウンが上限だった時代に、イキナリ「開発目標はベンツのSクラスはBMWの7シリーズに性能でも品質でも勝つこと。もちろんアウトバーンに持って行けば250qで何時間も巡航出来る」だもん。

 さらに「セルシオのためだけに開発したエンジンは、新しい工場を作ってまでベンツやBMWに匹敵するバランス取りをしています」とか「足回りに使われるダンパーは従来の倍以上のコストを掛けた上、全品テストを行います」と続く。話を聞きつつ、冗談かと思ったほど。その後、工場を見学するとハイテクに慣れたボクでさえ「うっそ〜!」みたいな最新のレーザー測定の博覧会状態。アウトバーンでBMW735iを追い回したこともあった。
 と、まぁこんな具合で、セルシオの話になると平気で2時間も3時間も出来たもんである。新しいセルシオはどうか? 旧型セルシオを良く知っている人なら5分もあれば紹介終わり、だ。「イチ。車重が軽くなったから燃費と動力性能が良くなった。今度はインフィニティと勝負しても負けないよ。ニ。車体の4スミにカドが付いたおかげで、車庫入れは楽になった。サン。リアシートがグッと広くなったのには驚いたね。ヨン。乗り心地は良くなったけど、エンジン音はよく聞こえる。以上」。

 おそらく旧型を徹底的に再チェックし、データを取ったに違いない。そしてすべての分野で「従来のデータを上回るように! でもなるべくコストを掛けないでね」と命令したんだと思う。トヨタの優秀なエンジニアなら6年前の技術レベルなど、努力さえすれば低コストでクリア出来たろう。結果、完成するのは「旧型より良いセルシオ」でしかない。
 良いセルシオでいいじゃないの、と言われれば「ごもっとも!」。だから最初に書いた通り、普通の人には(マスコミでもTVや一般誌なら)とってもいいクルマですよ、と答えるって言ったでしょ? でもジドウシャ好きにとっちゃ超つまらない。ベンツは好きじゃないメーカーだけど(正確に表現すれば日本で不当に高い価格を付けてるベンツジャパンの商売が嫌い)、フラッグシップであるSクラスは、常に注目させられる技術を持ち込んでいるものなんだな。

 今のSクラスは車重の増加とボディサイズの大型化を悪魔に捧げた替わり、12気筒エンジンの搭載や2重の窓ガラス、そして強烈に広い室内空間と衝突安全性を得た。ベンツは1990年代の高級車を「イケイケの豪華志向」と判断し、それを実現したワケだな。狙いは見事にハズレるんだけど、高級車というのは「時代によって在り方が違う」という点じゃ、ベンツが正しいと思う。
 セルシオはどうか? おそらく「今後10年間に必要とされる高級車はどういったもの?」といった考察は全然なされていないに違いない。ベンツではフルモデルチェンジの度毎に大きく変貌する高級車の命、スタイルも開発スタッフでさえ旧型と間違える程度の違いだ。

 果たして高級車は単なる「いいクルマ」で良いのだろうか? ボクはセルシオに3年間乗った後、同じ4リッターエンジンを搭載するジャガーを買った。セルシオと比較すると、技術的に勝っている部分は見事に一つもない。先日、90年式のNSXを89年式の中古フェラーリ328に替えた。これまた「全ての部分でNSXが上だな」と思った。
 ちなみにいずれもサイフから出た金額は同じ。なのに満足度はジャガーやフェラーリが圧倒的に高いのだ。さて、もしセルシオやNSXが、モデルチェンジの時にガラッと変わったらどうだったろう? おそらくボクは文字通り”新しいセルシオ”であり”新しいNSX”をワクワクしながら買ったと思う。歴史の浅い日本車が、早くも『熟成』とか『深化』なんてコトバを使っちゃアカン! 凄く良くなったセルシオのハンドルを握りつつ、そう思ったのだった。

   <以下オートファッション誌>


<ボディスタイル>
 基本的には従来型のコンセプトを継続。少し離れた所から見ると(afを3mくらい離れた場所に置けばよ〜く解る)、まったく見分けが付かない。じゃどこが違うか? もちろんボディパネルは全部新設計なんだけど、特徴的なのはフロントフェンダーの盛り上がり。旧型セルシオはフェンダー先端の見切りが悪く、幅寄せをしようとすると苦労した。擦ったオーナーも非常に多いらしい。
 そこでテーマとしたのが『運転しやすさ』である。フェンダーを盛り上げれば車幅感覚を掴みやすいし、トランク部分の角を付けたのもバック時の目安のためだ。斜め後ろからフロント部分を見ると、フェンダーの張り出しが解るだろう。運転するためにデザインを変えるというのは大切なことながら、旧型が持っていた繊細さと優雅さを失ったのは少しだけ残念だと思う。



<エンジン>
 従来型の4リッターツインカム改を全グレードに搭載する。主な変更点はエンジン効率アップの文法通り圧縮比の向上と、エキパイの効率化(従来はV8の片バンクは4−1。新型は4−2−1のデュアルタイプ)、回転部分の軽量化といったところ。最高出力は5馬力のアップに留まるものの、トルクは1sも上がった。この4リッターV8は先代セルシオのために開発された歴史の浅いエンジンということで、その後改良すべき点も出てきたんだろう。さらにスムースになっているらしく、質感のアップに貢献してるハズ。
 合わせてオートマチックは大容量タイプに変更されている。スーパーコンピューターによる流体力学計算を駆使。トルクコンバーターの動力伝達効率を向上させたもので、フル加速時だけでなく一般走行状態でのパワーロスを減らしている。また室内にあるセレクターは、写真のようなゲート式を採用。Dレンジから3速へのシフトは横に移動するだけでOK。

<足回り>
 不評で売れ行きも悪かったピエゾTEMS仕様は廃止。コンベンショナルなコイルサスとエアサスの2タイプとなった。いずれもジオメトリーを大幅に変更。特にブレーキ時と加速時に発生するピッチングを減少させることに成功したと言う。より安定した走行フィールが得られるに違いない。エアサスはGセンサーを追加したり制御コンピュター機能の向上を果たし、アクティブサスのような効能を持たせているそうな。
 期待出来そうなのがブレーキ。旧型はデビューと同時にブレーキ容量に問題を抱え、唯一の弱点となってしまった(マイナーチェンジでローターを拡大して対策)。新型は車重が減ったにも関わらず大型ベンチレーテッドディスクや、スポーツカーのようなアルミ対向4ピストンのキャリパーを装着している。

<インテリア>
 オプティトロンメーターを使ったインパネや、ウッドをふんだんに使ったインテリアも、やはり従来からのイメージをそのまま引き継いだと思われる。目新しさはないものの、リアシートのニースペースが70o拡大。アメリカでもリアシートの狭さを指摘されていたため、新型の開発に当たっては最優先項目だったそうだ。
 楽しみなのがシート。これまではコストの掛かるコイルスプリング内蔵タイプだった。新型はモナカみたいな形状をした板にクッション材を張り付けたもの。コストダウンのためだろうけど、座り心地も良くなっているとすれば凄いことである。

 以上、新型セルシオの速報をレポートしてみた。読んで解ったと思うけど、もちろん正真証明のフルモデルチェンジである。アコードやカムリなんかは旧型車との共通部品が70%以上あるのに対し、セルシオは80%以上新設計。ただ目標はアコードやカムリ同様、コストダウンである。どうして新設計なのにコストダウンか? 話は簡単。今までのセルシオは、想像以上にお金が掛かっていたのだ。
 コイルスプリングだったシートを始め、全体に高価なパーツを使いまくっていたそうな。技術の進化で従来以上のクオリティを持つ部品を安く作れるようになったのかもしれない。ちなみに価格はC仕様で5万円のアップ。新型は助手席エアバックを標準装備するから、事実上の値下げなのだ。