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ヴィッツユーロ2
追加された1,3リッターのハンドルを握り、クラッチ踏んで1速にシフト。走り出すと、おお! エエでないですかぁ!少し大ゲサに表現すると、こんなクルマ欲しかった、とさえ思ってしまう。何を隠そう「1リッターのヴィッツはクルマ好きのヒトにゃすすめない」と何度も書いてきた。理由は簡単。乗って楽しいクルマじゃないからだ。ネンピいいの、高く評価するけど……。
なぜか? トヨタにとってのヴィッツって、スターレットの後継モデルだからだ。つまりヴィッツ買うユーザー層が、「走りよりソフトな乗り心地を重視するんじゃなかろうか」と判断し、柔らか目の足にしたということ。ただ最近のトヨタは、ムカシとちょっと違う。どうやら社内に「クルマ好きなヒト」が増えている模様。MR-Sに乗ると、ボディ剛性弱く、真っ直ぐ走らない。それでも楽しい。
コレまでのトヨタ車は「良くできてるけど、だからどうしたの?」という車種が多かったけど、MR-Sに乗れば「多少問題あるけど、だからどうした」と思う。おそらくフニャフニャのヴィッツに乗って「これじゃイヤだ」と主張するクルマ好きが居たんだろう。当初、正規グレードでこそなかったけれど、インターネットで『ユーロ・スポーツ・エディション』を半ば強引にラインナップした。
ヨーロッパ向け『ヤリス』のサスペンションをそのまんま組み込んだヴィッツで、このクルマに1週間試乗したワタシは、けっこう好きになってしまう。しかし一つだけ物足りない点があった。パワー、である。1リッターの70馬力も、街中の足として使うなら決してアンダーパワーでない。実用回転域のトルクが太いためか、イラつくことだって無いです。なのに高速乗ったらシオシオのパー。引っ張っても速くないのだ。
1時間も走ってると、怪獣ブースカじゃないが「プリプリのキリリンコ」(怒った時のおコトバ)である。ヨーロッパで公表されている最高速は156km。普通に使うなら十分だろうが、少なくともワタシは「もっとパワーくれぃ」ざます。そんな折り、1,3リッター追加となった。しかもユーロスポーツエディション設定され、正規グレードになってる。長い前置きになったけど、ここで文頭につながりましたね。
搭載されている1,3リッターユニットは、意外にも1リッター4気筒の排気量アップバージョンでない。形式名も『2NG』となり、プリウスに搭載されている新世代の4気筒だ。このエンジン、スムースを身上とするハイブリッド用として開発したためか、驚くほどスムース。プリウス親方のワタシでさえ下手すれば回ってるか止まってるかワカラン時がある。たいへん素性の良いエンジンだと思う。
最高出力88馬力は、それほど頑張った数値でない。ただトルクはしっかり12,5kgもある。試乗してみたら、数値以上のパワー感。おそらくアクセルを半分開けてるような時のパワーフィールがいいのだろう。カタログに出てる数値、あくまで全開時の性能。普通に使うときのパワー感などドコにも書いていないのだから。ジツを言えば、ここが日本車にとって最大のウィークポイントだった。
ダンパーなどもそうで、明らかにビルシュタインは乗ってキモチいいのに、日本のダンパーメーカーに聞くと「特性的に同じです」。ボディの剛性感や、シートの座り心地にも当てはまる。エンジンも同じで、カタログに出ない性能というのがあるのだ。ヴィッツの1,3リッターのハンドルを握りつつ「こりゃヨーロッパ車のエンジンみたいだなぁ」と思った。パワー表示低いのに、パワーある。
もっと気に入るのが回転フィール。レヴリミッターにあたるまで引っ張ると多少ラフになるけど(タコメーター無い)、その減点を補って余りあるくらい常用回転域キモチいいのだ。ワタシの拙い文章で表現できないのがツラいところだけれど、若干誇張気味に表現するとアルファロメオの4気筒っぽい。いわゆる管楽器系の音を出す。きっと吸気音なんだろう。3速とか4速60〜80kmくらいで加速すると、遠くで「きゅお〜ん」と聞こえる。
加えてトルクの出方が頼もしいから、ストレス溜まらない。絶対的な動力性能だってなかなか。手元にあるヨーロッパ仕様の公表値見ると「最高速170km以上」。まだ正式発表する前のデータだから”以上”という表記となっているけど、メーター読みなら確実に180kmまで届く。900kgという軽いボディもさることながら、CD=0,30という空力の良いボディ形状が利いているんだと思う。
エンジン関係での弱点は一つだけ。最近のトヨタ車に共通することだが、発進時のクラッチミートを慎重に行わないとエンストする傾向。そんなら、とばかり回転上げ気味にしたら、今度はアクセル敏感過ぎてワッと吹けてしまう。丁寧に操作すればいいのだけど、初心者だと手強い。MR-Sやセリカのマニュアル車にも当てはまるので、試乗する時は「慣れるまで時間が必要」と理解しておくこと。
ハンドリングはどうか?基本的な味付けに関しちゃ大満足した。フワフワなイメージが無くなり、シャッキリ走ってくれる。ハンドルを微妙に切った時もレスポンスしてくれるので、運転が上手くなった感じ。ステアリング鈍いクルマだと、ついつい修正舵角大きくなり、ギクシャクしちゃう。鈍感なヒトなら平気かもしれぬが、敏感だと気になって仕方ないのだ。ノーマルのヴィッツも、100kmくらいまでなら辛抱できる。
コーナリングスピードは相当高い。175/65R14という、車重からすれば能力に余裕あるサイズのタイヤなので、アンダーステアが出る速度大幅に高くなった。普通のヴィッツだとタイヤ鳴り始める速さなんか、余裕のよっちゃん。そこからイメージ的には2ランクくらい粘る。もはや十分速いから、良識あるドライバーなら、アンダーステア出ることもないんじゃなかろうか。
もちろん限界特性のチェックもしました。イヤだけど、コレやっとかないとクルマの仕上がり具合解らないから。予想してたよりリア粘るタイプの特性。いや、粘り過ぎる、と表現していいかも。流れた後の修正は、若干テクニックが必要。も少しリニアに流れてくれれば高い点数となったろう。兄弟車であるファンカーゴが素晴らしい特性なので、同じように仕上げればいいと思った。
さて、ヴィッツの1,3リッターはスターレットターボの後継車足り得るだろうか? ワタシ的には「補って余りある」と思っている。絶対的な性能で負けても、走る楽しさという点では勝っているからだ。加えてネンピいい。普通に走ればリッター15km前後まで伸びるほど。こいつにオプションの革巻きハンドルと、TRDの純正サスペンションなど組み込めば、ワクワクするクルマになりそう。
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