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ヴィッツユーロ

 ショウジキなトコロ、ヴィッツの走りを高く評価する声はあまり多くない。トヨタ自身もよ〜く解っていると思う。その証拠とも言えるのが『ユーロスポーツエデション』の存在。このグレード、当初の計画じゃ設定される予定なかった、と想像している。なぜか? 正規グレードとして予定していれば、インターネットでだけ販売する、といったイレギュラーな売り方しなかったろう。なぜ”特別なヴィッツ”を急遽ラインナップしたのか。



 トヨタはヴィッツをスターレットの後継モデルとして位置づけた。よってターゲットユーザーは、女性やシニアの人タチ。こういった層を狙うと、ハンドリングより乗り心地を重視しなければならない。その要望に応えて出来上がったヴィッツ、ヨーロッパで販売するヤリスと違うクルマみたいになっちゃったハズ。ムカシのトヨタならそのままだったろうが、最近のトヨタは変わりつつある。かくして「キチンとしたヴィッツ」を加えたのだと思う。
 ちなみに普通のヴィッツとヤリスのドコが違うかというと「レスポンス」だ。アベレージ速度の高いヨーロッパは、ハンドル切った時の反応遅いクルマなど相手にしてもらえない。そこで足回りの”遊び”を減らし、ワンランクシャープな味付けになっている。ファミコンやってもレスポンスが速いゲームは楽しい。クルマも同じこと。楽しい、というより人間の本能みたいなもの。運転ウマいヒトほど、キチンと動いてくれるクルマを欲しがるのだ。

 ヴィッツというクルマそのもののパフォーマンスはどうか?結論から書くと「なかなか優れている」。低中回転域のトルクをしっかり出しているため、パワー不足感もない(高回転まで引っ張っても速くないけど)。少なくとも街中で乗っている限り、必要にして十分なパワー。先日1週間ほど借りて試乗してみたが「こら良くできたクルマだなぁ」と感心してもうた。ワタシが買うとすれば、ユーロスポーツエディションのマニュアルミッションです。
 コンパクトなボディサイズから想像するより、はるかにユッタリした室内スペースを確保している。ヨーロッパのヒトでも座れるように、ということなんだろう。身長183cmのワタシが運転席に座っても圧迫感ない。昨年の規格改訂で大きくなったとはいえ、やっぱし左右方向が窮屈な軽自動車と根本的に違う。プリウスで感じるドラポジの違和感(プリウスは国内専用モデルのため、大柄なドライバーとの相性がイマイチ)も、ヴィッツにはない。
 リアシートは意見が分かれるかも。小柄なヒトだとレッグスペースユッタリしていて快適だと思う。しかし大柄なお尻の持ち主にとってみれば、座面の奥行きが物足りない。座面を長くとるとレッグスペース犠牲になる。そこで座面を小さくしたのだろうが、フランスやイタリアのコンパクトカーと比べワンサイズ小さいのだ。無いものネダリか? ヴィッツのスペースあれば、何の不満もなく使える。日本車も良くなったもんだとシミジミ思う。

 デザインも悪くない。ヴィッツに使われている最先端技術は「コストダウン」だ。おそらく世界最高水準。しかしクルマ見ると安っぽさを感じさせないでないの! むしろ「しっかり作ってあるなぁ」。ワタシの個人的印象かもしれないが、唯一の不満点は左右に物入れスペースのあるダッシュボードの形状。コンパクトなクルマのデザインとしちゃ、ボリュームありすぎる。も少しサラッとしたカッコなら100点を挙げられたのに。惜しい!
 オーディオもスレたクルマ好きになるとイマイチ。上級グレードに標準装備されるCD付き2DINオーディオは、音質アカン。せめて2万9800円の家庭用ミニコンポくらいの音、出してほしい。かといってオーディオ本体がインパネ一体型の特殊な形状なので交換が難しいとくる。CD付きオーディオを標準装備しないグレード買って、1DINサイズのMD+ラジオ一体機付ければよかろう。ソコソコの満足度を味わえるヴィッツだが、通にとっちゃ不満なブブンある。

       ライバル比較

 ヴィッツをライバルと比べるとどうか? まず軽自動車。こら相当迷う。車両価格からすると、ワゴンRやムーヴ、ライフといった人気車に近い。ほぼ同じだと思っていいだろう。一方、保険や税金に代表されるランニングコストは年間5万円の差。この金額差をどう考えるか、だ。なるべくお金掛けたくないセカンドカーなら軽自動車有利。しかしファーストカーとして所有するなら、高速道路の余裕と、ユッタリした室内空間有するヴィッツだろう。
 続いてヴィッツの次に売れてるデミオ。このクルマとヴィッツには決定的な違いがある。衝突安全性だ。デミオの設計は古いため、日本の基準しかクリアしていない。オフセット衝突に対応していないということ。これを重要と考えないなら、軽自動車より安価なデミオという手もあろう。でも衝突安全性についての知識があれば、怖くて乗れない。一度シートベルト装着するクセ付けたら、もう無いと怖いでしょ? それと同じ。ワタシはすすめない。



 上級グレードのヴィッツになると、キューブと同じ価格帯に入る。これまた大いに迷うトコロ。キューブの方が楽しそう。迷ったなら、好きな方を選べばよい。この2車はイイ勝負。エンジン少しキューブが大きいものの、車重あって帳消し。ネンピという点ではプリウスさえ負けることもあるというヴィッツの敵でない。クルマとしての楽しさを選ぶならキューブ。ネンピとか環境考えて乗るならヴィッツ、といったあたりでしょうかね。
 実力的にもっとも近いライバルがロゴ。地味なスタイルで損してるけど、クルマ自体の仕上がりはヴィッツに勝るとも劣っていない。衝突安全性もヴィッツと同等以上。TSというスポーティグレード選ぶと走りはワンランク楽しいし。いかんせんスタイルの地味さと、ホンダの販売力の弱さで売れ行きはヴィッツに引き離されてしまった。ボディスタイルをガラリと変えるといったマイナーチェンジ行えば、良い勝負になると思う。基本的にはヴィッツの勝ち。