長いこと、見た瞬間に「カッコいいじゃないの!」と思えるセダンが出てこなかった。シーマやコロナ、ブルーバード、プリメーラ、全部アカン。決して悪かぁないけど、だからといって「トレビアン!」レベルに達していないのだ。何かに似てるか、妙に懲りすぎでバランスを崩してしまったようなデザインばかり。もっと単純にスタイルを追求してもいいのに、思ってしまう。昨今のRV車ブームは、カッコいいセダンやクーペが出てこないという要因もありそうだな。
 で、新しいウィンダムである。最初に見た写真は走行中のウィンダムを真横の上方から撮ったもの。これを見て、素直に「スタイリッシュだな」と思った。ボンネットとトランク、キャビンのバランスも抜群にいいし、けっこうロー&ワイドに感じる。これといった難しい仕掛けはないけど、とっても伸び伸びしているような雰囲気。読者諸兄の印象はどんなもんだろう? 



 フロントマスクや全体のデザンテーマは、従来型ウィンダムをそのまま引き継ぐ。ただキラキラと輝くマルチリフレクタータイプのヘッドライトや、ボディ全ての継ぎ目をフラッシュサーフス化(ようするに凸凹を無くすという手法)により、イッキに質感が向上している。ま、アメリカじゃウィンダムを高級車専用販売チャンネルで『レクサスES300』として売らくてはならない。価格もボルボ850などより激しく高いのだ。このくらいの質感を持ってないと通用しないということなんだろう。ボディサイズは全長4845mm×全幅1790mmと、クラウンよりデカい! 当然『GOA』ボディである。
 エクステリア以上に感心したのがインテリア。これまた写真を見て欲しい。セルシオ譲りのオプティトロンメーターパネルは一段と進化しており、照明光も乳白色からキリッとした白色になっている。また、フェイク(ニセ物)の木目を使っているけれど、シーマのように「使えるところは全部使ってやれ!」的センスの悪さがなく、非常にセンスよくまとまっていた。オプションとなるナビゲーションをチェックすると、VICSの旗振り役になっているトヨタとあって、キチンとVICS対応だった。

 搭載されるエンジンは2タイプ。いずれもV6で、2、5リッターと3リッターとなる。従来型だとベーシックエンジン的存在だった2、5リッターが、今回から主役になる模様。これまで搭載されていた2、5リッターは、3リッター車の売れ行き低迷(あまりに高額だったため)を受け急遽ラインナップされたもの。カムリ・プロミネント時代から搭載されている設計の古いユニットで、175馬力しかなく燃費もホメられたものでなかった。
『2MZ−FE』と呼ばれる新しい2、5リッターは、高い評価を得ているアバロンの1MZ−FEと共通設計で、15%も軽量&コンパクト。凄いと思ったのが10、8というチューニングエンジン並の圧縮比だ。もちろん国産V6エンジンじゃトップ。圧縮比を上げるとエンジン効率を高められるため、最高出力だけでなく、トルクや燃費の向上も得られる。実際、最大トルクの25kgmは、2、8リッターエンジンに匹敵するレベル。燃費も10・15モードで10kmと良好だ。

 3リッターバージョンはアバロンに搭載されている1MZ−FEより少しパワーアップ。210馬力となった。このエンジン、10・15モードで2、5リッターと同じリッター10kmを実現。ギア比が高いため60km定地燃費は2、5リッターを凌ぐ数値を公表している。太いトルク特有のユッタリとした走りを楽しみたいなら、3リッターがよかろう。少しおサイフも薄くなるけどね……。
 もう一つの大きな改良ポイントになっているのがAT。従来のATは、昔からある「アタマの悪いタイプ」だった。というよりトヨタのATってスムースなだけで、依然として旧世代に属するタイプばかり。ホンダや三菱みたいな新世代のメカニズムを使うミッションを持っていない。新しいウィンダムも「イッキに新世代に突入!」まで進んでしないけれど、トルコンとロックアップ機能を改良。加えて一応アップダウンのある道でのファジィ制御を入れてきた(ODの解除だけなのが寂しい)。
 試乗を楽しみとしたいのはGグレードに採用されている『新型TEMS』。可変制御サスペンションなんだが、説明書によればスカイフックコントロールと言うアクティブサス風のコンセプトになっているそうな。走行状況により32段階ものダンピング調整を行っているらしい。この手のメカニズム、今までは口だけだったので、そろそろキチンとしたものに仕上がっていると期待している。



 前置きはこのくらいにして試乗といこう。最初に用意されていたのは、新しい2、5リッターエンジンを搭載する2、5G。トヨタの例によってG付きグレードは高いタイプで、310万円である。従来型から言えることながら、インテリアのクオリティは素晴らしい! さすがにクラウンよりいい、たぁ思わないが(クラウンが大幅に良くなったため)、セルシオと同じタイプのメーターや、ウッドパネルの質感、オーディオといった所までセルシオに準ずる仕上がり。
 Dレンジをセレクトし走り出した瞬間に驚いたのが静かさ。良好な路面を走っていると、ほぼ無音に近い。冗談抜きでラジオの録音スタジオみたいなのだ。隣に息づかいの激しいヤツが座ろうモノなら、それまで明確に聞こえてしまうほど。もちろん会話など静かな家の中と同じレベルでよろしい! 同じように乗り心地も文句ナシ。路面からの細かいツキ上げはカンペキに近いレベルで遮断されているため、もう「どうにでもして!」と思えるくらいスムース。快適度からすると、セルシオを凌ぐかもしれない。

 ところが、である。少し路面の悪いところに差し掛かると、途端に騒音レベルは高まってしまう。いや、正確に表現するなら「静かなんだけどウルサい」のだ。どういうことかって? つまり普段が静かすぎるので、少しウルサクなっただけで気になるということ。おそらくタイヤを変えたりすると、それだけで騒音レベルはググッと高まるハズ。17インチタイヤを履くような時も、グリップ志向でなく乗り心地&静粛性重視のブランドを選ぶこと。その方がタイヤの寿命も長くてサイフにやさしいぞ。
 新型ウィンダムで売りの一つになっている『セミアクティブ制御のスカイフックサス』も試してみた。「凄く効果的ですよ」と聞かされたたが、残念なことにノーマルサスと乗り比べられなかったので責任を持って「良い!」とは書けない。ただ大きなウネリのあるような路面を通過したり、コーナーをガンガン攻めても大型セダンにありがちの”ウネるような挙動”は出なかった。テールが流れるような走りをしても、全然平気である。優れた足回りだと思う。
 2台目に乗ったのは210馬力の3リッター。2、5リッターが200馬力なので、たった10馬力しか違わない。しかし乗ってみると低回転域でのトルクは一回り太かった。2、5リッターだとキックダウンするようなケースも、3リッターなら同じギアでグイグイ走ってしまう。お金に余裕があればコッチだな。とはいえ36万円差はデカい。動力性能も、リミッター無しの状態なら2、5リッターで210kmを楽々オーバーするそうな。「25Gで十分!」としておく。