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<ラリーフェスタ2005>

2005年12月11日  

 事前の調べでは「明日は滑り止めなしでも大丈夫」とのことだったがとんでもなかった。群馬サイクルセンター手前の山岳路は、完全な雪道。滑り止めを持っていないサポートチームは登り坂を登れなくなり引き返すハメに。雪も降る中「これはイベント自体中止じゃないか」などの声も。山麓まで一旦戻りコンビニで聞いてみると「月夜野インター側から入る道は雪が積もりやすい道。水上インター側から入った方がいい」との話。聞いた道に行ってみるとだいぶ楽な状態。なんとか会場に到着。

 波乱万丈な始まりとなってしまったが、会場に入ると悪天候の中たくさんの人が。中には遠方のナンバープレートの車も見るほど。ラリージャパン開催などのせいかラリーというモータースポーツもかなり日本に定着してきたのだな、と感じた。

まるでスキー場の駐車場


 午前中は雪のため屋内でのラリーカーを展示していた。ラリーカーが移動のために動くだけで、観衆の注目が集まる。シーズンオフのイベントということでドア、ボンネットを開けて中を見せてくれたり、中には運転席に座って、4点式シートベルトの装着体験までさせてくれるラリー車も(それはうちのラリー車でした)。今回集まった車はグループNの車だったので、ラリーコンピューターが付いていたり、内張りがなかったり、ゴツいロールバーが付いていたりする部分こそあるが、ダッシュボードは普通の形だし、外見はノーマルの市販車と同じ(グループA、Nといったカテゴリーのモータースポーツは外見を市販車から変えてはいけないルール)。エンジンルームもほとんどノーマルなので「意外と普通の車に近いな。」という印象を受けた人が多いのではないだろうか。このことを含めて「ラリーというのは思ったよりも身近なモータースポーツなのだな。」と感じた。

シートベルト体験であります

<トークショー>

 お昼を挟んで行われたドライバー、コ・ドライバー9人によって行われたトークショー。ここからは今日の主役、今年のPCWRCチャンピオン、新井選手も登場。新井選手は12月9日にモナコで行われたFIA表彰式から日本に戻り、成田空港からそのままこのイベントに駆けつけてくれた。トラの着ぐるみを着た司会者の進行で進んだトークショー、主に今シーズンの参戦報告や来年に向けての話が中心だった。トホホな話や嬉しい話と悲喜こもごも。新井選手は「今年一番印象に残ったのは、パワステが故障して、コ・ドラにサイドブレーキを引いてもらいながらドライブしたトルコでの優勝」。新井選手は第1レグのこのトラブルで5位へ後退、第2レグで4位に順位を上げ、最終レグのわずか2つのSSで40秒差を逆転して優勝したのだ。また、本業はスバルの社員である山田選手や群馬三菱チームの荒井選手は「もっとラリー活動ができるように、自社の車に買い換えて下さい。」というお願いや、クスコチームの柳沢選手は、3位に入ったAPRC最終戦中国で「食事にロバや犬が入った料理が出てきた」といったエピソードも話してくれた。気になる来年の話は「正式には決まってないが、今年並みの活動をしたい」という話が多かったものの、我が師匠、国沢選手は「お金が尽きて来年は無理です」。チャンピオン新井選手からは「今年同様、PCWRCチャンピオンを目指す。ラリージャパンではWRカーに乗れるよう動いている」というコメントが。02年に新井選手の地元、群馬で行われた日本アルペンラリー以来となる、「日本人が、日本の道で、WRカーで走る」シーンを是非また見てみたい。
 

寒い中、皆さん熱心に話を聞いていました

 トークショーの後はオークション大会。ドライバーが持ち寄ったチームグッズなどが出品された。落札価格はどれも非常にリーズナブル。例えば柳沢選手が実戦で使ったサイン入りグローブはなんと4千円。4千円じゃ普通のグローブも買えないのに……。目玉はやっぱり新井選手の出品。出品されたのは去年のラリージャパンで、引退したマキネン選手がドライブした0番のインプレッサ(走行が始まる前にコース確認をするマーシャルカー)の外装部品が中心。フェンダーが6千円(お子様が落札)、スポイラー付きトランクが1万円など。現行インプレッサにお乗りの方ならそのまま使えます。もちろん、落札した人が一番楽しかっただろうけど、見ているだけでも十分楽しめた。
 


オークションも盛り上がりました!

<同乗デモ走行>

 このイベントのメインイベントとも言える、同乗デモ走行。本来なら某ビデオマガジンでご存知の方も多いサイクルスポーツセンターの6キロのコースを走る予定だったが、雪のため除雪された正面ストレートで行われた。ラリーカーが猛スピードで走る姿を見ることは出来なくなってしまったが、その代わり正面ストレートを何回も往復することになったので、より多くの方が同乗走行できて、ギャラリーもより多くの走りを見ることができた。「災いを転じて福となす。」というのはこういうことなのか!


 ラリーカーがスタート地点をスタート。まず思ったのが「速い!」ということ。中には雨の中とはいえ四輪ホイールスピンしながらスタートするラリー車も。「グループNはリストリクターで制限されているから市販車より遅い」という話も聞くが、確かに最高出力は落ちるから長い直線や登り坂では遅いのだろうけど、トルクは市販車より出ているので、スタートやこの短めの直線では「速い」と感じたのだと思う。速さよりもビックリしたことは「音」である。想像していたよりもずっと大きな音だった。「音」といえば、アンチラグシステムの音の凄さが印象に残った。アクセルオフになると「バリバリバリ」とか打ち上げ花火かピストルの銃声のような「パーン」といった音が聞える。ドライバーはみんなサービス満点で、全開スタートからUターンやパイロンで迫力満点のドーナッツターン、浅いドリフトをしながらのスラローム走行を見せてくれた。ドーナッツターンは後輪駆動車とは違ったもので、前輪にカウンターステアは当たらず、4輪から白煙出てるし!


 

 この同乗走行で、国沢選手の横に乗った、26歳の男性の方は、「たまにサーキット走行をするが、横G、ブレーキングのGの凄さにビックリした」とのこと。やっぱりラリーカーもラリードライバーもすごい、ということだ。ここでも目玉は新井選手。同乗デモ走行の終盤、ギャラリーとの柵との距離がほとんどないドーナッツターンを披露。私は「この人は後頭部に目があるんじゃないか?」と訳の分からないことを考えてしまった。同乗デモ走行の締めは新井選手のハコ乗り走行。身を乗り出して観客に手を振りながらの退場となった。新井選手の走りを見ていると、「この人は人間じゃない。」と真剣に思ってしまう。

 もう1つの”目玉”は国沢選手。最後の走行で、誰もやらなかったバックスピンターンのパフォーマンスを披露。しかし、ギャラリーの大歓声を受け、アンコールで再トライしたら植え込みに突っ込んでしまった。ラリー車にそれほどダメージはなかったが、いくら押しても脱出できず。結局、オフィシャルの車に引っ張ってもらってなんとか脱出。今シーズン自力脱出できないようなコースアウトはなかったのに……。
 

タイラップで止めていたバンパーが外れた程度で済んだ

 同乗デモ走行では「グループNのラリーカーは想像以上にすごい」ということを強く感じた。生で聞いた音やドーナッツターンをする様子を見ていると「あれはWRカーじゃないか?」と思うほど。グループNでこんなに凄いということは、WRカーという乗り物はどんなに凄いのだろう? と考えてしまう。こんな凄い車が、やり方次第ではなんとか普通の人に出すことができる範囲の金額で作ることができるという素晴らしさと、そのベース車両となるランエボ、インプレッサの偉大さをマジマジと感じた。


 
 ちなみに生け垣アタックの際、同乗してたのはウチのチーフメカニックでした

 
<まとめ>

 正直なところ、この天候&寒さで、会場に行く途中「イベント中止か、観客も少ないだろうから屋内で出来ることをやって午前中で終わりだろう」なんて思っていたが、実際には人がたくさん来ているという状況。実際、運営側も中止も考えたとのこと。けれどたくさん来てくれたファンのために、ということで「予定変更しながらでも開催しよう」ということになったそうだ。ラリーファンというのは、こんな天候でもイベントに足を運ぶほど熱心な人が多い。運営側やドライバー、開催地となる地域までもファンに応えようと一生懸命。これほど見る人とやる人がいい関係を持っているモータースポーツはないのではないだろうか。実は今回、この天候なので、ということで入場料は1000円から500円に引き下げられた。寒い一日だったけど、500円で目の前でこれほどのものを見ることが出来たというのは、ギャラリーにとってはとても有意義な一日だったのではないかと思う。ラリージャパンの開催などで、日本でも盛り上がってきたラリー人気。しかし、毎日新聞がラリージャパンの大会スポンサーから撤退するニュースもあり、明るいニュースばかりでもない、というのも事実。そんな中、このイベントには、中高生もたくさん来ており、ラリーファンを増やす、という意味でも意義のあるものだったと思う。気軽な感じで参加できるベントなので、来年も開催されたら、ぜひ見に来ることをオススメする。今度は滑り止めを忘れないようにしないと。


                             レポート/永田恵一