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SEAラリー

タイラリー国内選手権

師匠のラリー参戦記

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ラリータイランド

WRCジャパン

弟子新美の初コ・ドラ!

スノーラリー参戦記

インプレッサ情報
1)現行STI MC後(年改型)
2)現行 MC前 スポーツワゴン
3)現行セダンSTi MC前
4)初代 STi Ver.6 RA
5)初代SW STi Ver.

現行WRX装備表

現行WRX諸元表

オフィシャルサイト
写真・

タイでラリー修行!

ドライバー/畑野賢明  

コ・ドライバー/新美瑛生  

男4人の珍道中! 第3戦チャチュンサオ

5月のマレーシアに続き、3戦目はチャチュンサオで開催されるタイラリー国内シリーズ第2戦に出ることになりました。仕事が立て込み、また今回はワンデーラリーのため師匠は来ないことになり、代わりに永田さんが取材に来ることに決定。永田さんは行くと決まってからラリーのことしか頭にない(笑)。「カバンはこんなのでいいかな?」「必要な持ち物って何がある?」「せっかくだから師匠みたく成田で前泊なんてしてみたいな」なんてなんて、もうラリーのことばっかり考えております。さらに畑野君の友達、川野君も登場。男4人の旅はどうなることやら。

弟子永田登場! 砂まみれになりながらも必死にラリーカーを追いかける!

タイに到着し、バンコクからチャチュンサオへ移動。バンコクからチャチュンサオへは大体200kmほど。サービスをしてくれているヨッドさん達はまだクルマの整備残っているため、チャチュンサオへの行き方だけを教えてもらい、僕ら4人だけで先に行く事に。まぁ道も単純だし、簡単だろうと高をくくっていたのですが……。

何しろタイ人は細かいことを気にしない。「20kmほど行くと突き当たるので、そこを左に曲がって下さい」と教えられた部分があったのだけれど、20kmどころか40km行けども突き当たりがない。さすがに不安になって、とりあえず広めの道を左に曲がる。違ったみたい。戻って、また違う道を左に曲がる。やはり間違っていたみたい……。そうです、迷子になってしまったのです。しかも無駄に走っているうちにガソリンが……。時刻は夜10時過ぎ。タイのガソリンスタンドは、夜8時を過ぎるとまず営業していない(バンコク市内にはたまに24時間営業もありますけど)。こりゃ困ったゾ! 

日本と同じく、地方のスタンドは早く閉まる

というワケで、ガス欠で止まってしまうことを考慮し、今夜はとりあえず近くのホテルに泊まり、明日の朝ガソリンを入れてから移動することにする。しかしながら、チャチュンサオはラリーができるような田舎であるため、ホテルもない。「こりゃ野宿か?」と思っていたら、あったあった。ピンクのネオンが怪しげだけど、とりあえず泊まることはできそうだ。翌日の早朝からレッキが始まるというのに、果たして無事に辿り付けるのか?

ホテルはなんだか異様な雰囲気。フロント近くには女性達がいっぱいいて、声をかけてくる。何とかくぐり抜け、とりあえずフロントで一泊の値段を聞いてみると、1人450バーツ(1部屋900バーツ。日本円で1人1400円くらい)。そう高額ではないし、他に泊まる所もないのでここに泊まることにする。女性方の嬌声を後にしつつ部屋へ入ると、そこにはダブルベッドが1つ。「んん? これはベッド1つに2人寝ろってことか?」

男2人で1つのベッド。できる限り枕を離しています(笑)

後で聞いてみたら、ここはどうやら「大人のためのホテル」だったそう。なるほど、それならフロント付近にいた女性達にも納得が行く。とんでもない所に男4人泊まったワケだ。もしかして、その道の男達だと誤解されたか? 寝る前に現在地を確かめるため、地図やらロードブックやらと睨めっこしていたら、何とか現在地判明。バンコクでロードブックを受け取れて良かった! 明日はヘッドクォーターへ行かず、朝からレッキすることにしよう。

まさかそのようなホテルとは思いもよらず……

翌朝永田さんと川名君をホテルへ残し、畑野君とレッキへ向かう。何とか現在地も分かったし、レッキは無事終了。2人をピックアップして無事ヘッドクォーターへ。本番に備えしっかり休む。

さて、本番。今回は師匠がいないこともあって、いつもよりトラブルに注意して走る。SSは全部で14。5種類のステージが用意され、リピートで走ることとなる。もっと言えば、同じステージの逆走となるステージもあるから、実質的には4種類です。

とにもかくにも、チャチュンサオ戦がスタートです!

午前中は何事もなく終了。飛ばしすぎず、遅すぎず、ちょうどいいペース。順位は3番手。というか、今回の場合4WDクラスは3台しかエントリーしていない。つまり、完走すれば3位だということ。トップはお馴染みシンハービールのランサーエボリューション。2位は今回初お目見えのマキシマ・インプレッサだ。

午前は何事もなく終了。なかなかいい感じだ

問題は午後でした。まずSS7でオーバーヒート気味になる。水温が真ん中よりちょっと上なのです。前回のマレーシアでもオーバーヒート気味になりましたが、その時はラジエーターに泥が詰まったのだと考えていた。しかしながら今回もオーバーヒート。原因分からず、とにかく抑え気味で、リエゾンでしっかり冷やしながら完走を目指すしかない。

またしてもオーバーヒート。エンジンブロー怖くて全然踏めません!

もう1つの問題が畑野君の体調。エンジンがオーバーヒート気味であったため、タイムコントロール前で待っている間、飲料水をラジエーターにかけて冷やしたりしていた。それで水分が足りなくなってしまい、脱水症状を起こしてしまったのだ。今回はナムさん来られず、昼飯がスーパーで買ったものだったのもいけなかった。何せマズくて、全然食べられませんでしたから。水分不足に栄養不足。そりゃドライバーは体調悪くなります。ビックリしたのが「新美さん、僕はもうダメです。新美さんが運転して下さい……」という畑野君の発言。マ、マジですか。そりゃ楽しそうだから運転したいのはヤマヤマだけれど。しかしながら結局畑野君が最後まで運転することになりました。

僕が運転していたら、一体どうなっていたことやら

最後の問題はインカム。途中で壊れてしまったのです。これまた大問題。SS中にコ・ドライバーの声がドライバーへ届かなければ、ペースノートがないのと同じですから。さてどうしたものか。苦肉の策は「指で表示」。大声でペースノートを読みながら、さらに手を使ってコーナーの方向と大きさをドライバーに教えていく。例えば「右3」だったら、ドライバーの視野に入るところまで手を伸ばして右方向を指し、その後3本指を立てるといった具合。今回用意されたSSではほとんどの場所でコーナーの入り口が見えるため、直線の長さは言わなくても何とかなる。

だたし、コーナーの大きさが6以上だともうお手上げ。左手はペースノートを抑えていなければなりませんから、コーナーの向きや大きさを表現できるのは右手だけとなってしまう。というか、シートベルトしているため、左手はドライバーの視野に入るところまで手が届かない。片手にある指は5本。よって、コーナーの大きさが6以上の場合はとにかく大声で叫ぶこととしました(笑)。

安定し、しかも速いマキシマ・インプレッサ

とまぁいくつか問題あったし、最後の最後で小さな石に右フロントを引っかけタイロッドを少し曲げてしまったものの、大きなトラブルなく無事完走。順位はスタートと同じ3位でした!

クラス順位はトップがマキシマのインプレッサ。シンハーのランエボは最終ステージでミスコースしてしまい、2位に後退。ヨッドさんが「シンハーのランエボはプレッシャーに弱いですよ」と言っていたけれど、果たしてその通りの結果に。

プレッシャーに弱い? けれど僕らはプレッシャー与えられるレベルじゃありません

チャチュンサオ戦で学べたこと。それは「やはりチーム体制はしっかり整えなければならない」ということ。オーバーヒートした時に師匠がいれば、何かいいアドバイスがあったかもしれない。おいしい昼食を毎回用意してくれるナムさんがいれば、畑野君もフラフラにならずに済んだはず。やはりしっかりしたチーム体制を組むことが、何より重要だと思います。

ともあれ今回はノークラッシュで完走することができた。これは大きな収穫です。パクチョンで行われる次戦に向け、また1つレベルアップか?

何とか完走。クラッシュこそないものの、厳しい1戦でした

マレーシア(その3)

 朝起きるとどうやら昨晩雨は降らなかった模様。「夜に雨降ること多いよ」と言われていたけれど、何とか天気は持ちこたえてくれたみたいで一安心です。昨日よりはいいコンディションの道を走れそう。レグ1をリタイアしたため、スーパーラリー方式により4分遅れでレグ2をスタートする。路面コンディションはまばら。乾き始めているところもあれば、相変わらず滑りやすいところもある。いつも以上に路面へ注意を払わなければなりません。コーナー途中で路面のミューが変わると、コースアウトの可能性大ですから。ただSSをこなすごとに乾いた路面は多くなり、アキもやっとラリーを楽しめる状況になってきたみたい。SSによっては何とかうまくスライドさせられるコーナーもある。楽しまなくちゃここまで来た意味がない! とりあえず午前中は完走です。

乾いた路面も所々ある。コンディションはSSにより大きく違います。

 午前中のSSを終えサービスパークへ行くと、リタイアしたマシンが多いとの情報。僕らの参戦しているN4クラスなんて、サラディン選手がギヤボックストラブルでリタイアするなど、僕らより上のポジションにいたチームがみ〜んなリタイアしてしまった。完走すれば1位? ということで喜んでいると、師匠からお叱りが……。他の人がリタイアしたのを喜んでいるのは何事かと。みんなラリーが大好きで、自分のお金を使って参戦しているのに、それを喜ぶのはラリーをやるものとしては許されない。ましてやサラディン選手はマレーシアの国民的英雄。テレビカメラが取材に来ているくらいですから。悪気はなかったのだけれど、自分の軽率さに反省。

 罰が当たったのか、午後に入りいきなりスタック。深い轍ができており、亀の子状態であります! またもや三角停止表示板を置きに行って、その後脱出を試みる。やはり自力では無理! 絶望しかけていると、すぐにオフィシャルが来て助け出してくれる(危険だから、という解釈なんだと思う)。何かオフィシャルが来るの早くないか? ま、出してもらえるなら、早いに越したことはない。ごっついタイヤを履いたランクルが登場し、牽引してもらいます。そうこうしているウチに、あらら! 後続車が来てしまったのです。そのマシンは僕らの横を走り抜けようとするも、なんとそのまま水田に突っ込んでしまう。またもやコースアウトのオンパレードであります! ほ、本当にごめんなさい……。どうやら多くのマシンがスタックするポイントらしく、スタックしたところのすぐ近くにオフィシャルが待機。すぐに助け出せるようにしているみたいだ。

ドロドロ(笑)。何とか完走するぞ!

 何とかSSをこなし、とうとう最終SSへ。ここを走りきれば完走なので、気を入れ直していく。しかーし、現実は甘くない。最終SSの最後あたり、左6ロングのコーナー途中、ズルズル滑り出す! ああぁぁ〜〜。ズザァー、ガサガサガサ……。またしてもコースアウトであります! ジャッキを強引にマシンの下に突っ込んだり、石をタイヤの下に突っ込んだりしたのだけれど、やはりダメ。泣く泣くリタイアです。ううう……。泣くにも泣けないのがアキでしょう。ここまで準備してまともな走りもできず、結局リタイア。悔しさも数倍であるはずです。

あうぅ〜。昨日のコースアウトを再現してしまった。

 今回のラリー、30台近いエントリーのうち、完走したのはたった7台。「地元の人がリタイアするんだから、日本出身の、しかもラリー2戦目の僕らはリタイアしたって仕方が無いよね」なんて悲しい言い訳をしつつ、引き揚げる。その言い訳がいかに虚しいものか、それは重々承知。だってFFクラスのクルマだって完走しているのですもの。4駆の我々が完走できないのはやはり情けない。完走すれば1位だったのに(笑)。色々とサポートしてくれている人にも申し訳ない気持ちでいっぱい。昨年アジパシに参戦して、一度もリタイアしなかった師匠のスゴさを改めて感じました。

なぜかポディウムフィニッシュに待機する我らがマシン。「並べ」と言われたので(笑)

 それでもやはりラリーは楽しい。一番嬉しいのは色々なラリーストと友達になれること。「日本から来たの? よく来たね! 精一杯楽しんでいってくれよ」「リタイアか。残念だったな。でもこれに懲りず、また絶対にマレーシアに来てくれよな。次はジョホールバルでラリーあるから、そこで戦おう!」なんて、みんな声をかけてくれる。色々な国の共通の趣味(?)を持った人達と仲良くなれるのです。これに勝る喜びはない。

異国の仲間達。いい人ばかりです

 マレーシアラリーは、ペースノートの重要性を改めて感じるラリーでありました。僕らのペースノートは路面の変化まで把握できていない。せいぜい大きなギャップや狭いところ、ちょっとMADDYなところを注意して書いているだけ。これに例えば赤土になるとか、泥の路面になるとかを書き加えられれば、どんな状況でもより確実な走りができるようになるでしょう。ペースノートを作るときも、細かく路面の質を見極めて書けるようになっていかなければなりません。そして、落ち着いて確実に完走できるペースを維持すること。完走を目指したとはいえ、やはり速く走りたくなってしまうのが人情。けれども、僕らはまだ速さを求めるレベルではない。多くの経験を積んで、走り方を覚える段階であります。ドライバーの心境を、いかに安全で確実な方向に持って行くか。今回のラリーは残念ながらリタイアになってしまったけれど、色々と勉強できた。これを肥やしにして、次戦こそ無傷で完走だ!

マレーシア(その2)

 朝起きると、外は大雨。雨季だから覚悟はしていたけれど、まさかこんなに降るとは……。となると心配なのは路面。グチャグチャのドロドロとなっているでしょうから。とにもかくにもパルクフェルメへラリーカーを取りに行き、セレモニアルスタートの行われる場所へ移動。セレモニアルスタートの行われる会場は路面が一部芝生。そこにクルマを停めたのだけれど、スタックしてしまうラリーカー続出! 特にFFはラリー開始前に厳しい修行となっていました。そんな様子を見て、ちょっと不安になる。

泥試合前のラリーカー達。ここからサバイバルが始まる!

 セレモニアルスタート後、最初のサービスを行う。雨は上がったものの、それでも路面が直ぐに乾くわけではない。心配しつつSS1に向かうと……。SS1キャンセル! 何でもコースの至るところが「池」になっちゃってるそう。車高を上げ、大きくて太いオフロードタイヤを履くランクルでさえスタックしてしまうのだから、さすがに無理でしょう。SS2からのスタートとなる。走ってみると「こりゃ厳しい修行だぁ!」。路面はツルツルの氷みたいなもの。トラクションを確保できず、ストレートでも真っ直ぐ走ることができず。こりゃスノーラリーの方が条件は良かったと思えるくらいであります。路面が比較的粒の大きい砂だったらまだ良かったけど、このSSの路面は泥。濡れると信じられないくらい滑ります。

御覧の通り、路面はひどい状態です

 マシンはケツをフリフリ頑張って走ろうとする。アキはマシンの挙動を抑えるのに必至で、ペースノートなんて聞いちゃいねぇ……。かなり速度を落としステアリングを切っても、マシンはそのままスルスルーっと直進してしまう。さらに途中からブォワァーと大雨。「ま、前が見えましぇーん!」。雨はすぐに止んだから良かったけれど、窓ガラスが曇る曇る。何とかSS2をクリアするも、予想外に時間かかってしまった。こうなるとキツイのがリエゾン。ラリーでは全てにおいて所要時間が決められているのですが、その決め方は例えば「SS2をスタートし、次のSS(もしくはサービスパーク)に到着するまで15分」といった方法。つまりSSを走りきるのに手間取れば、その分リエゾンを走る時間が短くなってしまうワケ。加えて道路はラリーを見に来た人々のクルマで混んでいるところアリ。すぐに道を空けてくれるとありがたいのだけれど、皆さんラリーカーを見ると物珍しそうに寄ってきてしまう。ううぅ〜。どいて下さい! 

 何とか時間通りに2回目のサービスへ。前回のタイラリーとは違い、今回はSSを2つ走る度にサービスが行われます(SS1がキャンセルとなったため、2回目のサービスはSS2を走っただけで行いました)。路面状況などを師匠に話すと「これはサバイバルだな。完走したモン勝ちだ。タイムうんぬんなんてレベルではないんだから、とにかく慎重に走れ」とのお言葉。確かに、こりゃいつスタックorコースアウトしてもおかしくない状況。完走したもの勝ちであります。というわけでSS3については慎重に走るようアキにアドバイス。SS3はレッキを1度しかできなかったため(コ・ドラの未熟さ+レッキカーが到着しなかったため)、1回目はペースノートを確認する意味でも慎重に走らなければなりません。アキも重々承知で、「無傷でとにかく完走しましょう!」。

条件は皆同じ。絶対完走だい!

 SS3がスタートする。やはりこのステージも路面厳しい。アキもとにかく慎重に走る。ストレートでもアクセルをあまり踏まず、トラクション第1で走るようにする。「これなら大丈夫そうだ」と一安心。こういったラリーもいい経験になります。ドライバーは大変そうだけれど、コ・ドラとしてはペースが遅いのでとても楽。落ち着いてタイミングを図りながらペースノートを読むことができますから。と、思っていた矢先。コーナー出口でコースアウトしているクルマを見かける。「あららら」と横目で見ながら僕らも左6のコーナーにさしかかる。

 と、マシンはそのまま直進! え? え? ズザァーっとそのままコース脇の草むらに突っ込んでコースアウト! アクセルを踏めど、脱出できる気配なし。コースアウトなんて初めてなので、無駄にテンパってしまう。とりあえず急いでクルマをクルマを降り、三角停止表示板を置きに行く。後続車にコースアウトを伝えなければなりません。すると、「ありゃま!」。先ほど見た1台の他に、もう1台コースアウトしているではありませんか。この辺り、コーナー途中に路面のミューが変化するポイントがあり、なかなか難しいみたいだ。マシンのところへ戻り、マシンを脱出させるべくあれこれ頑張るも、動く気配なし。路面は氷よりさらに滑るような状態。まともに立っていられないくらいです。

ありゃま!

 師匠へ電話し、オフィシャルが来るのを待つことにする。オフィシャルに引っ張ってもらい何とか脱出するも、レグ1はリタイアとなってしまいました。う〜ん、残念! まだレグ1半分も終わっていないのに……。修行のためにも、今は少しでも多くの距離を走っておきたいところ。ダメージは幸いフロントバンパーが外れた程度でした。リタイアしたものは仕方がない。明日こそは! と気合いを入れ直し、イメージトレーニングをしながら1日目終了です。

ダメージ少なくて良かった〜。気を取り直して明日こそは!

マレーシア(その1)

 アッと言う間に1ヶ月が過ぎ、マレーシアで行われるラリーに出発。当初の予定だと2戦目は7月のタイ(チャチュンサオ)だったのだけれど「3ヶ月もブランクあるとせっかく身につけたドライビングテクニックを忘れてしまう。何よりラリーをもっともっとやりたいから、5月のマレーシアにも出ましょう!」というアキの意向で今回の参戦となりました。んで、困ったのは僕。なんせ学生であります。学校はどうするの? おっとっと、アキも同じく学生でした(笑)。頭の中をグルグル回る「留年」の2文字……。……。いやいや、しかしなかなかできない体験だから、やっぱり無理してでも! 

 タイに着いたら早速、前回のクラッシュの修復を頼んでいた工場へラリーカーを取りにいく。ラリーカーはきれいに直されていて一安心! なんてのんきに言っている状況ではなかった。金銭トラブル発生です! 見積もりに入っていなかったお金を5万バーツ(日本円にして15万円ほど)余分に請求される。なんだそれ? 日本人は皆お金持ちだと思ってんじゃね〜ぞ! 3時間あまりひらすら交渉(というか半分ケンカ、笑)。何とか妥協額を設定して解決するも、後味悪い結末になってしまった。これも修行であります。

 その後今回メカニックをしてくれるヨットさん(日本に8年間住んでいたことがあり、日本語ペラペラ。頼りになります)のショップへ移動。クルマを改めてチェックしてもらうのです。すると移動途中にアキから「エンジンのパワーが全然出ていない」。どうやら修復してくれたところの人が僕らに対して腹を立て、エンジンにイタズラをしたようなのだ。「おいおい、いい加減にしてくれよ!」。アキは怒り心頭。余分にお金を取られた挙げ句、クルマにイタズラされてしまうのだから、腹立つのもごもっとも。

 イタズラの修復も終了し、ラリーカーとレッキカーをトレーラーへ積みにいく。クルマ達はこれからハジャイというタイ最南部の町にトレーラーで運ばれるのです。聞けばトレーラーの運転手は、1人で1000kmくらい離れた(東京から熊本くらいまで!)ハジャイへ運転していくという。ひょえ〜、僕も運転は好きだけれど、1人で運転して1日1000kmはキツイ。スゴイですね。何を隠そう本当は僕らもトレーラーに積んだクルマの中に乗ってハジャイまで行く予定だった。しかし想像するだけでウンザリ。よって少し贅沢だけれど、飛行機でハジャイへ行っちゃいました。

国境だ! なんだか旅人になった気分です

 ハジャイへ、そしてハジャイからラリー開催地のペルリスへ移動。翌日朝からレッキが始まるため、早く移動してエントリーを済まさなければなりません。「初マレーシアだぁ〜」と密かに興奮しつつ、とりあえず宿泊するホテル内に設置されたヘッドクオーターでエントリーを済ます。タイの時と同じように、マレーシアラリーのオフィシャルもとてもフレンドリー。「名前は? マレーシアは初めて?」なんて気さくに話しかけてくる。僕は英語が特に話せるわけではないけれど、何とかカタコトの英語で会話。英語ができないなりにも、会話できるようになってきた。

 会話を楽しみつつ気になるのは「ラリーカーとレッキカーはどうなったの?」。本来ならメカニックと一緒に今日ホテルへ到着するはずのクルマ達が、まだ到着しないのです。メカニックに電話してもつながらず、不安は募るばかり。心配していても仕方がないので、ご飯を食べて待つことにしたのだけれど、このご飯がまた厳しかった。マレーシアの料理、日本人のクチにはなかなか合わないのだ。タイから数十km、国境を超えただけでどうしてもこうも文化って劇的に変わるのだろう? 結局この日にラリーカーやレッキカー、そしてメカニック達と連絡は取れずじまい。次の日の朝、到着していることを祈りながら眠る。

 朝起きてみると、ラリーカーとレッキカーは到着しておらず。朝8時からレッキが始まるのに……。とりあえず僕とアキはサービスパークへ行って待つ事にする。もしかしたらクルマはサービスパークに直接来ているかもしれないからだ。もしホテルにクルマ達が到着したら、ホテルにいる師匠が急いで連絡してくれるし。サービスパークへ着くと、レッキカーはおらず。師匠へ電話。「もしかしたらSS1の入り口で待っているかもしれないから、アキか新美のどっちかSS1を見てきてくれ」。SS1の入り口までは約4km。仕方がない、ここは男気を見せて僕が行きましょう! 

 というわけでアキをサービスパークに残し、僕がSS1のスタート地点まで歩くことにする。これがなかなか楽しかった。なんせペルリスなんて、そしてペルリス近くのラリー開催場所なんて日本人はまず来ない。皆さん「ありゃなんだ?」的な顔つきで僕を見る。家の中から、クルマの中から、バイクの上から、皆さんジーッと僕の顔を眺める。歩いていて気づいたのは「イヌがいない」ということ。タイでは至る所に野良犬(もしかしたらあれは飼われているのか?)がいたのだけれど、マレーシアにはいないのです。後で師匠に訊ねると「たぶん国民性の違いだろうね」。ウチのスタッフのジャーさんが言っていたけれど、マレーシア人はあまりイヌを好きではないそう。イスラム教徒の多いマレーシアでは、豚とともにイヌを「不浄の動物」と見なすことも少なくないとか。イヌの代わりに多かったのが鶏。草むらからガサガサと音を立てて出てきて、いきなり「コケッ!」なんて鳴かれるとビビリます。

何もない……。キレイな風景なんですけどね

 さてさて、SS1のスタートポイントへ着くと、だーれもいない……。あぁやっぱり。師匠にその旨を連絡すると、「今レンタカーを借りてサービスパークへ向かっているから、アキを拾ってその後SS1へ行くよ。そこで待ってて」。「はい!」と返事をして電話を切るも、心の中は「マジでぇ〜〜〜!」。だってですね、そこは日陰のいっさいない草原なんですよ? 日差しはキツイし、こんな所でいつ着くとも分からない師匠達を待つのはシンドイ。しかも、何も水分を持っていない。

 とはいっても、もうどうしようもない。待つしかないのですから。1人でポツンと立っていると、通るクルマ全てが「あいつ、こんなところで何やってんだ?」という目で僕を見つつ通り過ぎていく。ラリーのSSなんて、基本的に人けのない場所。そんな所でピンクのタオルを頭に巻き、リュックを背負ってボーッと立っていれば、おかしい奴だと思われるのも当然でしょう。容赦なく照りつける太陽に肌をジリジリと焼かれながら、体中の水分が徐々に抜けていくのを感じていた。1時間ちょっとして師匠達が到着。

 用意されたレンタカーはプロトンの小型乗用車。驚くべきは走行距離が34万km! おいおい大丈夫なのか? 走り出すと、見事にダンパー抜けており、すぐにフルバンプしてしまう。でも、とりあえずレッキできるだけ幸せ?

 レッキ、はっきり言って辛かったです! というか今回に限らず、レッキって基本的に辛い。まず路面が悪い。ラリーカーと違って普通のクルマで走るわけだからガタガタ、なんてもんじゃなくドカンドカンと上下に激しく揺さぶられる。そんな中ずっと下を向いてドライバーの読み上げる内容をノートに書き記していかなければならない。ドライバーは気持ち良さそうに運転しながら「60・R4+L3・150・R8」なんて次々と読んでいくけれど、こっちは揺すられる中そんなにスラスラ書いていられない。こんなのを延々と1日やるわけですから、消耗は激しい。加えてSSからSSの道案内もコ・ドラの役目。休む暇などありません。こうなるとコ・ドラの重要な要素は「根性」ということになる。そして酔わないこと。コ・ドラをやるには色々なことを覚えたりしなければならないけれど、この2つが最も重要な要素であると思います。

頼むぞレッキカー! 

 4つあるコースの内2つを2回レッキ、残り2つを1回レッキしただけでホテルへ戻る。本当はすべてのコースを2回ずつレッキしたかったけれど、ラリーカーが到着していなかった場合のことを考えて、早めに切り上げることにしたのです。ホテルへ戻ると駐車場に見慣れた青いクルマが! ラリーカーとレッキカーが無事到着していたのです。本当に、本当に安心した。もうラリーに出られないかと思いましたよ。

 夜は車検。車検では色々なチームの人と話す。なぜか僕の「アキオ」という名前が呼び易いらしく、「アキオ! アキオ!」と色んな人に連呼される。変な気分です。ラリーのCRO(オフィシャルの中でも偉い人)とすごく仲良くなり、また他のチームとも仲良くなれた。同じ競技者同士で、クルマのことやお互いのことを話すのは何とも楽しい。ラリーの隠れた醍醐味であります。色々と話をしながらも他のチームはどんどん車検を終え、パルクフェルメへとラリーカーを移動させていく。ウチのチームはどうかというと、リストリクターの確認をした後、エンジン周りを元に戻すのに手間取っている。急いでおくれー! このままではパルクフェルメへ間に合わないゾ! 

 何とか車検を終え、パルクフェルメへ急ぐ。が、ロードブックを見てビックリ! ある交差点で、ロードブックには左折と直進の両方に矢印が示されているのです! 

間違いだらけのノートブック(笑)。どっちに行けばいいの?

「なんじゃこりゃ〜! どっちに進めばいいんじゃい!」。勘を当てに直進。見事にハズレ……。戻って先ほど直進したところを左折するとすぐにパルクフェルメがあった。こういうトラブル、普通ないのか? 他の人々はどうして間違えなかったのだろう? まぁ何とかギリギリ間に合ったからOKか。レッキ、そして車検。なかなか忙しい1日でしたが、コ・ドラの1日はまだまだ終わらない。ホテルへ帰ってペースノートをチェックしなければならないからです。読みにくい字のところは書き直さなければならない(レッキ中はまともに字を書ける環境でないため、大半は書き直しになってしまう)。さらに注意すべきところ(例えば「R7>R2」とか)を赤色でチェックしていく。一番気を付けなければいけないのは写し間違えないこと。写し間違いは即クラッシュにつながる。このように、ラリーって準備が本当に大変。でもその分本番は文句ナシに楽しいのですけどね。何とか準備は完了。天気の心配をしつつ、泥のように眠る。今回こそは無傷で完走だ!

コ・ドラの命! これを作るのに苦労するんです。

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その3 ついに本番!

 いよいよ始まった本番。セレモニアルスタートで畑野君のコメントが大ウケし、気を良くしたまま最初のサービスへ。SS1走行前にサービスがあり、ラリーカーの最終チェック。時間通りにサービスアウトしてSS1に向かう。しかしラリーって気が抜けない。何しろどこの移動にも全て移動時間が設定されているのだ。例えばサービスパークから最初のSSまでは4kmあまりを7分。道に迷ったらアウトです。そして指定された時間1分前までタイムコントロール前で待ち、1分前になったらタイムコントロールを通過してすぐ先のチェックポイントに行くという流れ。

 慣れるまではなかなか大変であります。しくじったら即ペナルティですから。というわけで、最初は何とか無事チェックポイントまでクルマを運び、時間ちょうどにタイムカードを渡して時間を書き込んでもらう。タイムカードを受け取ったらスタート地点へ。いよいよラリーの開始であります! が、チェックポイントからスタートまでがまたまた忙しい。車載カメラのスイッチ入れて、ヘルメット装着に慣れない4点式シートベルト装着に、ペースノートの準備など、短い時間にやることたくさん。こりゃ大変だ。いかんせん勝手が分かっていないから、本当に焦りながらも何とかSS1スタート!

 師匠から「クラッシュしたらオシマイだぞ! 必ず慎重に行けよ」と何度も言われていたので、とりあえず慎重に走ることを畑野君と確認。がしかし、コ・ドライバーって難しい……。慎重に走るペースでも、なかなか読むタイミングが掴めないのだ。読むのが早すぎるとドライバーはコースを把握しにくい。かといって遅いとブレーキ間に合わず。常に先を読んでペースノートを読まなければならない。よく「コ・ドラって怖くないの?」と聞かれるけれど、はっきり行って恐怖を感じているヒマなどありません!

目立ちますよねぇ……。

 それでも何とか無事SS1を終え、タイムを見るとトップのサラディン選手から2分遅れ。まぁしかし初心者だし、無事走れたことでもOKでしょう。SS2は昨日迷いながらレッキしたこともあり、ペースノートを確認しながら走る。その後SS3も走り終え、何とか午前中は完走。ちなみにSS3では師匠達がコースまで観戦に来ていました。直線800mの終わりにいたのだけれど、畑野君曰く「国沢さん目立ち過ぎ!」。背が高いし、周囲のタイ人に比べて色だって白い。そこへ青いポロシャツを着ているのだから、目立たないわけがない。師匠の前でキッチリとパイナップル畑へ突っ込み、何とか走り終えました。

 午後も同じSSを同じ順で走る。畑野君も飲み込み早く、ペースはどんどん上がる。それにつれて、僕のノートを読むタイミングもワケ分からなくなる(笑)。というか、速いコーナーの連続などは次々とコーナーはやってくるため早口にならないと間に合わない! こりゃアナウンサーばりに早口でないとダメかも……。縦に横に揺すられながら、必至でペースノートにしがみつき、読んでいく。畑野君のタイムはどんどん上がり、SS4(SS1と同じコース)なんか1分以上タイムを縮めている。SS5とSS6も40秒ほどタイム縮まり、1日目は無事終了。

 2日目、1日目と同じように始める。昨日と似たようなコースのため午前中からいいペースで走れる。タイムもどんどん上がり、17台中総合4位(まぁ前日から何台かリタイアしてましたけど)。とーこーろーが、午後もこのペースで行けば表彰台というところでアクシデント発生! SS10の中盤でペースノートを読むのが遅れ、木に突っ込んだのです。場所は「R7>3(ライト7タイトゥン3)」とペースノートに書かれている場所。最初は緩く、しかし後にキツクなるカーブです。ここで僕は「R7」まで読んだものの「>3」と読むところが遅れてしまったのです。R7にさしかかったところで僕が「あー! >3(タイトゥン3)」と読み足したため、アキは急ブレーキ。マシンはバランスを崩し、左の木立へ。40km/hくらいで助手席側から樹木2本に衝突!

ドガンッ! バラバラバラ……。

新美:グワッ!

畑野君:ヤベェ! ヤベェ!

新美:(根拠もなく)大丈夫大丈夫。何とかこのSSを走りきろう。

 前後ドアがへこみ、ガラスが割れリヤバンパーも外れかけていましたが、何とか普通に走行はできそう。師匠に電話したら「異音が無かったらとりあえずペース落として走っていいよ」。はずれかけたバンパーは完全に外してしまい、ガラスはほとんど外へ落ちていたので(もっとも車内にも入り込んで痛い目に遭いましたが)、とりあえず走り続けることに。リタイアせずに済むものの、最後の最後でなんてこったい! しかも僕のミスで……。

 クラッシュこそあったものの何とか完走でき、順位は総合6位。しかしながらSEAラリーで3位! しかも、タイラリー国内戦4WD部門3位という予想外の「特典」も付いてきました(笑)。キチンと表彰され、ボンネットの上に乗るよう指示される。ボンネットの上になんか立ったことのない僕と畑野君は、アルミボンネットがヘコミはしないかとハラハラしながらも、なんとか立ってみる。そして始まったシャンパンファイト! サラディン選手ら有名人とシャンパンを掛け合い、何とも感激な一時でした。ま、畑野君は滑ってボンネットから落ちそうになってましたけどね(笑)。

 ラリー終了翌日、ラリーカーをインプレッサやランエボを扱う整備工場へ持っていく。中古部品を取り寄せ、修理にかかる総費用は5〜6万バーツくらい。日本円にして15〜18万円ほど。良かった〜。決して簡単に出せるようなお金ではないけれど、でも70万円コースだと言われていただけにホッとしました。お金のかかるサイドシルや足回りを損傷していなかったのが不幸中の幸いです。あるラリー関係者が言っていたのだけれど「こんなクラッシュなんて、ラリーじゃ普通だよ。むしろ軽いクラッシュを最初に体験しておいて良かったと思う。というのも、今回全部うまくいってたらきっと次でもっと大きなクラッシュをやらかすと思うからね」。ナイスフォロー! 初めてのラリーで色々体験できたので、とりあえず良かったことにしよう(超プラス思考)。次こそはノートラブルで完走だ! 次戦は7月!(もしかしたら5月のマレーシア?)

その2 レッキを行いました!

 いよいよレッキ開始。朝6時半にホテルを出発し、約80km離れたサービスパークまで移動。サービスパーク周辺にSSが点在するため、サービスパークを中心にレッキを行います。僕らはラリー初心者なので、前日に配られたロードブック(リエゾンの道筋やら所要時間、SSのコースが書いてある本)を元に、実際の流れに沿ってレッキを開始。

 SS1に到着すると、そこにいるはずのオフィシャルがいない。「あれ? レッキは1つのSSにつき2回と決められているから、SSの入り口にはレッキ回数をチェックする人がいるはずなのに。というか、スタートどこだ……」。オフィシャルどころかタイムコントロール地点、スタート地点も表示されていないため、どこがスタートか分からない。なんじゃそりゃ〜!! ロードブックはスタート地点をゼロとして、そこからの距離を元に道案内が書かれているんだから、スタート地点が分からなければペースノート作るどころかSSのコースさえ正確に分からねぇじゃねぇか! と怒りながらも(本当は泣きそうになっていましたけど)、そこはタイ流。まったりと行きましょう。

ロードブック。スタートが分からなかったらどうしようもない……

 とりあえず適当に「ロードブックから考えると、ここらへんがスタートだろう」と考えてレッキを始める。適当に物事を進めるのは得意なので、何とかSS1はレッキできました(分かれ道も少なかったし)。困ったのがSS2。なんせ複雑なコースです。ロードブックに記されている交差点が果たして僕らのいる場所なのか、それともまだ先にあるはずの交差点なのか、もう通り過ぎてしまったのか。悪戦苦闘しつつひたすら迷い、9,72kmのコースにかかった時間は1時間半。とても大きなタイムロスです。午前中なんとかSS3までレッキをこなし、昼ごはん。本当は午前中にSS1〜SS3を2回レッキする予定だったのだけれど、まぁ仕方がない。午後1時からはSS7からレッキを再開し、無事ペースノートを作ることができました。途中スタックしてタイNo.1ラリードライバーのナラサック選手に助けてもらうなんてハプニングもありましたが、とりあえず無事レッキ終了。

 今回のレッキでコースを実際に走ってみて思ったのが「初心者にとってこんなに恵まれたラリーはないかも」ということ。まずSS総距離が長い。日本国内ラリーの3倍以上、長いんです。国内ラリーより費用安く済んで、しかもコースが長いときているから初心者にとってみればこれ以上ない修行となる。コースだって1km近いストレートあり、狭いカーブあり、ターマックのところもあり、ジャンプポイントありと変化に富んでいる。国際ラリーが練習といったら怒られてしまいそうですが、日本にはこんなコースないし、対向車や歩行者のいないラリーなら安全性だって高い。何とも贅沢な修行ができそう。レッキに関しても、同じコースをちょびっとだけ変更して別コースとしているから、同じコースを4回レッキできるようなもの。師匠曰く「ラリー初心者にとっては、本当に最高のラリーだ」とのこと。

こんな直線、日本の初級ラリーじゃありません! シビれます!

 夜はみんなで晩御飯。今更ながら思うのは「タイ料理っておいしい!」。暑い中でも食欲が失せないのだから、タイ料理のパワーってスゴイです。晩御飯食べたパタヤじゃ有名なタイ料理のお店で写真撮影(大きなステージあって民族舞踊などを見せてくれます)。なぜか男性なのに女性の格好をした方々もいて写真を撮る。他にも似たような方々はたくさん見たけれど、皆さんキレイでとてもオトコとは思えない。オトコと分かっちゃいても、隣に来られるとドキドキ。そんなことを言っていたら師匠から「お前も同類かぁ?」。いやいや、守備範囲は広いけれど僕は女性が好きです(笑)。明日からはとうとう本番。頑張るぞ!(続く)

畑野君やめて〜! しかし……、カルチャーショックです

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その1 いよいよデビュー戦です!

 いやー、タイは暑かった。なんせ気温は40度近く。日本の皆さんより一足先に夏を感じてきました。恒例のように日本へ帰ってから風邪……。というわけで、弟子新美のタイラリー参戦記、書きたいことが山ほどあるので、複数に分けてレポートしたいと思います。

 まずコ・ドライバーとしてラリー参戦に至った経緯など。昨年僕は師匠のニュージーランドラリーにメカニックとして連れて行ってもらい、またラリージャパンでも現地からレポートを送るなど、ラリーに少しばかり携わらせてもらいました。ラリーを目の前で眺めるうち、ムクムクと膨れ上がる「ラリーに参戦したい!」という思い。一方、ドライバーの畑野君は1年以上前からラリードライバーをやりたく、師匠に相談。何とかラリーに参戦できないものかと動いているうちSEAラリーが浮上し、具体化。畑野君は最初コ・ドライバーを現地の人に頼むつもりだったそうだけれど、師匠から「もし新美がやりたければ、畑野君に話してみれば? ギャラなしでいいって言えば、きっと喜んでやらせてもらえると思うよ」。2月初旬に行われたスノーラリー(詳しくはスノーラリー参戦記をどうぞ)でしかコ・ドラをやったことがない僕でしたが、ここぞとばかりに畑野君へ電話。結果「ぜひともよろしくお願いします」。半ば押し掛けたカタチですが、とりあえずこういう経緯でコ・ドライバーをできることになりました。

師匠をマネージャーに、いざラリー参戦だ!

 んで、話はトントン進み、4月17日にタイ上陸。初日は特にすることもなく畑野君や坂本さんのスタッフのジャーさん(タイで色々と世話をしてくれる方。何とも可愛らしい人で、若く見えますが32歳、笑)とご飯食べたりタイ観光したり。2日目にバンコク近くの港までラリーカーとレッキカー(90系マーク2)を受け取りに言ったのですが、これが大変だった。5時間以上待った後、少し離れたコンテナ集積場まで移動。そこで受け取ることとなったのです。コンテナ集積場は何ともスゴイ場所で、正にコンテナのビル群、いや摩天楼か。真っ暗闇の中にコンテナの塔がそびえ立ち、何とも異様な雰囲気でした。マーク2のバッテリーが上がっていましたがそれ以外は大きなトラブルもなく、深夜になって100km強離れたパタヤへ移動。ジャーさんに道案内をしてもらう。といっても基本的には高速道路に乗って直進。ジャーさんに「ここはどっち?」と聞くと「オッパイ」。「オ、オッパイ?」。ウブな少年新美は驚いて聞き返してしまいました。何のことはない、「トン パイ(タイ語で真っ直ぐという意味)」と言っていただけなのですがね(笑)。暑さでアタマがどうにかなったのか、元々おかしなアタマだったのか、とにかく大笑いしながらの移動でした。到着後疲れてすぐに沈。

暗闇の中ラリーカー受け取り。なんか裏取引してるみたい(笑)

 さて、19日はラリーの練習に出ようかと思ったのですが、パタヤの町はソンクランでお祭り騒ぎ。よって町の外には出られず、午前中はタイヤ交換の練習。タイヤ交換といってもサービスで行うものではなく、ラリー中にパンクした際、ドライバーとコ・ドラで行うタイヤ交換です。汗をかきかき何度も練習し、何とか2分20秒程度に。師匠に合格を頂き、みんなでソンクラン見物へ。これが想像以上の何ともスゴイ祭り。水をかけられるならまだしも、至る所で白い泥を塗られまくる。僕らはクルマで移動したから安全!

 と思いきや、そうは問屋が卸さない。チョイ悪オヤジ(ごめんなさい)である師匠、運転席に座っているのをいいことに、助手席やら後部座席の窓を開けまくる。当然外から水をかけられ、寄ってたかって泥を塗られる。渋滞でクルマは動かないし、格好の餌食となってしまった。運転手の選択を間違えました……(笑)。ま、そのおかげで思う存分楽しめましたけど。祭りはやっぱり楽しまなくちゃ!

 午後は畑野君と買い出しへ。しかーし、町はソンクラン。クルマは全く進まず、結局3時間以上で進んだ距離は10kmちょっと。歩いたほうが早かった……。単なる渋滞なら地獄でしたが、色んな人が水を掛けたり泥を塗りにきたので暇しませんでした。許せないのが畑野君。イケメンだけにタイ人からも大人気で、ポテトチップを食べさせてもらったり(ただ単にもらっただけではなく、食べさせてもらっていたから憎い!)、色々話しかけられたりしていた。畑野君には名前を訊くのに、僕には訊かない……。クォラァ〜、俺にも訊くのが礼儀だろうがぁ〜。ゆ、許せん! 

師匠もキッチリ泥まみれになっておりました(笑)

 20日は19日にできなかったラリーの練習。田舎道まで行ってペースノートを作り、それを元に走ってみる。他にも開けた場所でドラテクを磨いたりしました。ジャーさんは荒っぽい運転が好きらしく、横に揺すられながら楽しそう。後になってこっそり「気持ち悪い」なんて言ってるから世話ないですね(笑)。ホテルに戻ってからは師匠にラリーのノウハウを教えてもらうため座学。コ・ドラはラリー中、時間の把握や地図を読んだりと、色々やることが多い。ドライバーを運転へ集中させるためにも、きちんと勉強しなくちゃなりません。明日21日はレッキ。レッキでどれくらいいいペースノートを作れるかが勝負のカギ。いよいよラリーの始まりです。(続く)

レポート/新美瑛生