<ベンツEクラスvsクラウン>

 おそらく多くの読者が「ベンツとクラウンじゃ比べる気にもなんねぇでしょう!」と思ってることだろう。確かにこれまでのクラウンだと、乗り換えた瞬間「あああぁぁぁ……。てんでアカン」と感じたもんだ。しかし! 新型クラウンとベンツEクラスを比べても、あららら、ざんす。そんな変わらなかったりして。衝突安全性を向上させるため、ボディを大幅に強化したのが良かったか? 少なくとも「勝負にならん」という差などない。
 ボディをガッシリ作れば、後はサスペンションをキチンと動かしてやり、振動少ないエンジン積めば立派な乗用車になる。今回試乗したアスリート、クラウンの割にスポーティな足回りの設定となっており、けっこう面白かった。アンダーステア少なく、ハンドル切るとキッチリ曲がるのだ。走りの写真、クラウンの前に試乗したプログレと同じくらい攻めたらドヒャ〜モードに。VSCが付いてなかったのね。
 感心したのはコントロール性。ここまで横になっても、しっかり蛇が利く。カウンターも素直に当てられ、アクセルコントロールも可能。素直に「良いハンドリングである」と書いとこう。も少しグリップ良いタイヤ履かせ、ダンパー締め上げれば、ベンツに届くかもしれない。やや物足りなかったのがエンジン。3リッター直噴のクラウン持ってきても、最高速238qに達するE320のライバルとしては役不足。


 今回改めて「う〜ん!」と考えてしまったのがベンツの変身ぶり。一昔前のベンツといえば、アクセル重いし、エンジン回転の上昇も重々しかった。全ての操作系に重厚感あり、ハンドリンもドッシリしている。なのに新しいEクラスときたらどうよ! 軽い! なんだか日本車みたい。クラウンがベンツのようになり、ベンツはクラウン的な味付けになってきた。トヨタがベンツに憧れ、ベンツがセルシオっぽくなったってこと。
 ムカシながらのベンツファンは、新しいEクラスのハンドル握ると「乗りやすくなったなぁ」と感心するか「安っぽくなったなぁ」と嘆くかのドッチからしい。クラウンとよ〜く似ているのだ。「ベンツも日本製高級車の持ち味を良いと評価し始めた」のか? 総合評価すればベンツの方がイイのだけれど、肉薄してることは間違いない。今年デビューする次期型セルシオは、ベンツのフラッグシップであるSクラスを凌ぐ、とウワサされている。となればベンツも苦しい。
 クラウンに期待したいのが居住性の向上。クラウンのボディサイズあれば、もっともっとユッタリ座れるクルマを作れるだろう。インテリア・デザインは決して負けていないのだから。それにしてもEクラスのスタイルってヘンだ。世界的に「フロントマスクは明らかに失敗してる」と言われているほど。もはやベンツの威光を持ってしても、強引なデザインは通用しなくなった。クラウンも決して良いデザインでないが。


  <ボクスターvsS2000>

 今回撮影に持ってきたのは、広報車の関係上3,2リッターエンジンを搭載する『ボクスターS』というスポーツグレードである。日本車なら『R』のような存在だ。標準的なボクスターなら2,7リッター220馬力エンジン搭載し、最高速250q。S2000と実力伯仲のライバル関係となるワケ。ちなみにS2000がデビューした時点でのボクスターは2,5リッターで、ボクスターのコケ負けだった。
 2,7リッターのボクスターならば、S2000とイーブンの実力。サーキットに行くと限界の高さで勝るS2000にかなわないものの(ボクスターSでやっとこ対等。ハンドリングはタイしたことないということか?)、ワインディングロード風のテストコースで乗り比べればボクスター2,7リッターも楽しい。いや、低速トルク太いため、同じ程度のウデだとボクスター速いかもしれん。最高速だってS2000と同等だと思ってよかろう。
 ボクスターSになると、もう決定的に楽しい。エンジン排気量が1,6倍もあるんだから当然なんだけど、細かいアクセルワークにキチンと反応。2千回転くらいからアクセル開けても快適な加速が味わえるのだ。主として全開で走った時に楽しいS2000とキャラクターそのものが違う。S2000もやがて正常進化し、2,5リッターくらいのエンジン積む。そうなったら面白いクルマになると思う。


 実際の寸法も大きいのだけれど、ボクスターの方が悠々としている感じ。さらに着座位置も低い。S2000の着座位置、なぜかスポーツカーとして考えると高すぎるのだ。雰囲気不足の大きな要因になっている。また、インパネの素材やメーター類のデザイン、スイッチ類など、どこをとってもS2000は無機質。アイソがない、と言い換えてもよかろう。スポーツカーは熱くないとダメ。むしろS2000の方がドイツ車みたいに冷たいと思う。
 ホイール見ても解る。ボクスターはドリリングしたディスクローターに、真っ赤なキャリパーを組み合わせており、見ただけで「利きそうだなぁ」。もちろん赤いキャリパーだからといってブレーキ利くワケでないのだけれど。S2000のソリッドなディスクローターとモノクロのキャリパーは寂し過ぎるぞ! マジメだからいい、と評価すべきなのか、演出がヘタなのか難しいトコロだけれど、ワタシはマイナス点とする。
 エクステリアもボクスターの勝ち。決して良いワケでないが、少なくともS2000と並べるとボクスターに”華”を感じる。スポーツカーというのは派手さが命。S2000のスタイルじゃ心ときめかない。そうそう。カラーリングもダメですね。S2000の赤と黄色は、鮮やかさが足りないのだ。も少し遊び慣れたヒトがS2000作ったら、はるかに良いクルマになるだろう。未完の大器S2000頑張れ!


  <206vsヴィッツ>

 206というモデル、ホントはヴィッツよりワンランク大きいクラスに入る。スリーサイズを挙げると全長3822o(3610o。以下カッコ内はヴィッツ)×全幅1673o(1660o)で、搭載するエンジンも1100tから1600tまで。イメージとしちゃターセル/コルサくらいのクラス。ヨーロッパでヴィッツのライバルとされるのは、フォードKaやVWルポといった1000tエンジン積むクラスだ。
 しかしルポまだ日本で買えず、Kaもチカラ不足。KaなんたってOHVエンジンだもの。ヴィッツのユーロスポーツエディションと勝負できるモデルとなると、206くらいしかない。排気量が最も近い1400tモデルのスペックをチェックしてみたら、最高速170qでヴィッツの1300tヨーロッパ仕様と一緒。ハンドリングという点からしても、FFの雄プジョーの最新作206なら相手にとって不足ナシ。
 意外なのがプライス。206の3ドアマニュアル仕様は165万円! これでエアコンやオーディオ、サイドエアバッグまで装備している。値引きだって10万円くらい期待できるだろうから、128万8千円のヴィッツより実質的に25万円高程度で買えてしまう。リセールバリュー考えると、むしろボディ一回り大きい206有利か? となれば他の勝負以上に気合いを入れねばなるまい。ワタシとしちゃ、206の方をキホンに考えます。


 ヴィッツのユーロスポーツエディションは、日本車として考えると素晴らしいと思う。ボディ剛性高く、エンジンもパートスロットルからキッチリと気持ちよいトルクを出す。以前試乗レポートした時「ヨーロッパ車みたいなエンジン」と書いた。こんなに楽しいコンパクトカーは、日本に無かったのだ。といった印象をキープしつつ206に乗ると、やっぱりホンモノだぁね! 極限まで追い込んでもマイッタしないのね。
 ヴィッツも普通に入っている限り素晴らしい。ところが荒れた路面に入ったすると、途端にサスペンションなどワナワナ震えてしまう。コーナリングも限界までは素直だが、そこから先に突入しちゃえば、コントロールに苦労する。テール流そうとすると、限界高いスポーツカーみたいにトリッキーだ(トヨタの名誉のため書いておくと、むしろファンカーゴとかの方が良く仕上がっている)。206はFFコンパクトカーのお手本みたい。
 ハンドル切るとロールするけどピョコピョコしないで踏ん張る。タックインするとキッチリ車重が前に移動し、インを向く。派手にタックインすると、これまたFFの教科書みたいなテールスライドに入る。日本のFF車もスポーツモデルならホンダのタイプRシリーズのように誇れるクルマがあるけれど、実用車レベルはまだまだだと思い知らされた。ヴィッツが206のハンドリングに追いつくまで、も少し頑張り必要。


 今回のテストで燃費計った。高速でヴィッツが勝り、一般道で206という結果。ヘンなハナシだけど、コレを信じないで欲しい。おそらく高速道路出てガソリン入れた際、ヴィッツは完全に満タンにならなかったんだと思う。高速燃費も一般道の燃費も、ヴィッツの方が少しずつ良いハズ。満タン法の燃費計測だと、200q以下の走行距離じゃ正確さに欠ける。いずれにしろヴィッツの勝ちであることに変わりないけど……。
 個人的に気になったのが206の操作性。あまり気合い入れて右ハンドル作らなかったに違いない。全般的にシックリこない上、ステアリングシャフトの付け根が、つま先と当たってしまっている。クラッチ切りながらハンドル回すと、つま先ゴリゴリ状態。せめてカバーくらい付けてくれぃ! 左ハンドル仕様も輸入して欲しいと思う。輸入車はやっぱり本国仕様と同じハンドル位置のクルマの方が仕上がり良い傾向。
 ドッチを選ぶかと聞かれたら、やっぱり206にしておきましょう。ヴィッツ買ってもクルマ好きになれないかもしれないが、206は味濃い。乗る度にプジョーを意識し、乗らない間もクルマのこと考えるようになります。多少トラブルもあるだろうけど、そのあたりは海のような広いココロで。そうそう。筑波サーキットで206負けたのは、車重が1**sも重いから。逆にこれだけ重くて僅差だったというのに驚かされる。やっぱり世界のカベは厚い。