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タイでラリー修行!

The 19th International Rally of Thailand 2007

12-14 October 2007

今回も賞味期限切れのシビック

10/9 深夜、バンコクのスワンナプーム空港に到着。10月のせいなのか夜なのか解らないが暑さをあまり感じさせない。ハーツでピックアップトラックを借りて空港近くのホテルへ。しかし早速トラブル。持ってきた地図を間違えホテルの位置がわからない。空港に戻り、タイ人に聞きまくっていたらホテルの従業員を発見。地図を描いてもらい、なんとか辿り着く。

10/10 ホテルを出発。地図がないため(バンコクとタイ全土の地図しか手に入らなかった)、看板のローマ字をたよりにパタヤを目指す。空港からはまずチャチュンサオ、チョンブリの方向に進めばいい。途中は幹線道路が少ないため、あまり迷うことはない。途上の国に新しい製品が入ってくるためか、タイの道路には古いクルマと新しいクルマが混在している。建築資材を溢れるほど積んだいすずのボンネットトラックや125ccの古いオートバイが頑張って坂を登っているかと思えば、最新のシビックが追い越し車線をかっとんでいく。高速はまだしも幹線道路は非常に速度差が大きく危険な上、バーストするような大きな穴がボコボコ空いているので要注意。そんな道を走って数時間。パタヤの町に入ったところでマクドナルドに寄る。仏教国タイではドナルドも合掌の図。タイにしかないメニューがいくつかあるというので全部注文。これがなかなかおいしい。

タイのマクドナルド人形は「さわでぃ〜かっぷ!」している

パタヤビーチ付近で道に迷い、番頭宮本さんに電話。タイには多いカルフールで待ち合わせホテルに到着。チェックイン後、ヘッドクオーターでレッキの受け付け等々。アキ(畑野さん)と新見さん、名越さんたちとも合流。コ・ドライバーのヨーンさんもチェンマイからやってきた。いよいよ明日からラリーウィークだ!

10/11 レッキ1日目。レグ1のステージはなんとパタヤのホテルから160kmも離れたところにある。よって朝5時起き。朝飯を済ませ、ヨーンさんと2人でSS1に向かう。ヨーンさんは4×4(クロスカントリーラリー)のコ・ドライバーの経験が豊富で、青木琢磨選手のコ・ドラでもある。英語が達者で頭が切れてユーモラス。スキンヘッドで人見知りのムスリムと、なんとも変わったタイ人である。私には勿体ないぐらいスキルの高い人だ。前回に引き続き、今回もコ・ドラを引き受けてくれた。

温厚で面白いムスリム、ヨーンさん


距離では160km離れたSS1だったが、イメージで的にもっと遠かった。所要時間は2時間半以上。しかし久しぶりにヨーンさんとの英会話を楽しむいい機会だった。英語のある環境にいると耳が慣れるというが、まさにその通り。オーストラリアでラリーのメカニックをして以来、英語を聴き、喋らなければならない状況下に置かれるたびに、段々耳も慣れるし話すことも恥ずかしくなくなってくるように思う。特にヨーンさんの英語は聞き取りやすい。SS1に到着すると時間もないので早速スタート。ペースノート作りがラリーで安全に走れるか否かを左右する。

コーナーの角度や直線の長さなどの感覚を取り戻すため、最初はゆっくりとノートを作っていった。レグ1のステージはどれもスリッピーで荒れた路面が多い。下りのコーナー上に石がゴロゴロ転がっていたり、50mほどもある長い水溜りを走ったり(ゆっくり入れば失速してスタックする)とトラップも多く、クルマを壊すのはとても簡単だ。昼は新見さんたちと合流し、コ・ドラのバードさんの選んだ店で食事。とてもおいしいタイ料理だったが、ここで体調が悪化。関節の痛みと倦怠感。食欲がわかない(でも1.5人前は食べた。もともと大食いなのです)。昨日ホテルのエアコンがきつ過ぎたか? とりあえずレッキに支障はないと判断して続行することにした。

次々スタック。手前は番頭宮本さんのクルマ。

最終SSのレッキ2本目を始めたところで激しい雨に見舞われ、路面はさらにマディな状態に。今考えれば、ここで止めておけばよかったのかもしれない。ステージを半分ほど走った頃、左コーナーを抜けると、直線の先の上り坂にフォードのピックアップが止まっているのが見えた。登れなくなったのか? 坂は抜かす幅もなく、近づけは助走する距離がなくなる(一気に登らないとスタックする)ためすぐに停まったのだが、その場所が悪かった! ヌタヌタの泥の上。クルマはコースの脇にずるずると滑り落ちてしまった。うんともすんとも動かない。間もなく宮本さんのレッキカーが追いついてきた。フォードが道を塞いでいるのを見て、同じように停止(嫌な予感……)。引き返そうとした瞬間、なんとずるずると私の後ろに落ちてきたのだ。まさかの2台スタック! このあとフォードもスタックしたが、4WDだったためコース下の畑をどっかんどっかんと走って脱出した。ここで急激に体調が悪化。発熱したようだ。とりあえず、どうしようもないのでスタックしたクルマの中で横になることに。

押しても引いてもダメ。どうしようもありませんな。手前はアキさん

160km先からの助けはしばらく来ないだろう。それから、3時間。日が沈み、辺りが暗くなってきた。まだ助けは来ない。6時間後、ウドンサックさん(オーガナイザー)の友人が近くにいるということで水と食料を届けてもらう。しかし、なんとその方も帰り道でスタック。救援に来たローダーもスタックしたという(スタック5台目)。7時間後、SSからの脱出を決意。ジャングルの中のコースを歩いて戻ることに。空は曇り月明かりさえ無く自分の足も見えない。恐らく森にはヘビやらモノノケやらがウヨウヨ。キーキー、ガサガサ。何かの鳴き声に怯えながら携帯の明かりを頼りに凸凹の道を歩く。スタックしていた救援車が脱出できたため、それに便乗してついにSSを脱出した。パタヤのホテルに着いたのは午前2時。スタックから10時間後である。長い修行の一日でした。

ジャングルの中。深夜になっても救援来ない

10/12 レッキ2日目。午後はシェイクダウン(試走)、ドライバーズブリーフィングという流れ。ステージが近いので6時に起きて朝食を取る。うれしいことに昨日寝る前に飲んだ抗生物質が効いたとみて体調が少し回復。本番までにはなんとかなりそうだ。レグ2(ラリー本番2日目)のステージはラヨーンにある湖のほとりの2本。レグ1と打って変わって非常にフラットでスピードの出るコース。シビックにとってレグ1が「我慢のラリー」なら、レグ2は「全開のラリー」という感じ。楽しそう! しかしこのステージ、雨が降ると路面は雪のように滑る。レッキ直前にも雨が降っており、滑る滑る! しかもコースの外側は沼地。落ちればとてもFFでは脱出不可能。恐ろしい。本番で雨が降らないことを祈ります。クレストもなくシンプルなステージなためレッキも問題なく終了。昼飯を食べてシェイクダウンだが、ここでトラブル発生! なんとまだラリーカーが届いてない! バンコクのワークショップの近くが雨で浸水。クルマを運び出せないというのだ。タイ人の仕事だから本当かわからないけれど、タイでやるなら仕方のないこと。我慢するしかない。というわけで皆の走りを観戦する。

新美さんのクルマ。シェイクダウンでフロントバンパーが……

ヘッドクオーターのホテルに戻り、夕方からドライバーズブリーフィング。実は昨日のSSで何台もスタックしたことが問題になっており、天気や路面状況によってはキャンセルやステージが短くなることもありうるという。明日の午後には決定を下すそうだ。夜はみんなで焼肉とタイスキが混ざったタイ料理屋へ。なんと119バーツ(400円ぐらい)で食べ放題だったのでたらふく食べる。体調とともに食欲も回復してきた。ホテルへ戻ると我がラリーカーのシビックちゃん発見! 一安心だ。薬飲んで早めにベッドへ。昨日の分までたっぷり寝る。

10/13 車検&セレモニアルスタート。今日は朝から車検。宮本さんに手伝ってもらい、シビックにカーナンバーやスポンサーのステッカーを貼り貼り。車検をパスする。重さを測ると1080kgだって。なんと新見さんのインプレッサより300kgも軽い。シェイクダウンしてないからまだ乗ってませんが。どんな動きをするのか? ともかく明日からのラリーが楽しみ。午後はすることがないのでのんびりする。カルフールへ明日のサービスの買出し等々。夕方はセレモニアルスタートのためパタヤビーチへ向かう。着いてみてびっくり! なんと歓楽街のど真ん中でやるのだ。日本なら渋谷センター街で爆音鳴らしてスタートするというイメージ。こんなところでやるのか? 国際格式のタイランドラリー最終戦はアジアパシフィックラリーのリザーブ戦でもある。しかもキングズカップというタイ国王認定の大会。派手なわけである。テレビやカメラマンもたくさん来ていてちょっと緊張する。国歌斉唱などのセレモニーが終わり、いよいよスタート。シビックが1台目だ。

繁華街の目抜き通りでセレモニアルスタート

スタートラインでインタビューを受け(もちろん英語)、商店街を出発。ノリのいい観客をホンダミュージック(?)で暖めてきました。ついに明日がラリー本番です!

最後尾ゼッケンなのでトップスタートです!

10/14 レグ1(ラリー1日目)。いよいよ本番! レーシングスーツに着替え、ヨーンさんと朝飯。パルクフェルメをスタートし、160km先のサービスパークに向かう。ステアリングセンターがかなりズレているのを除き、ラリーカーに問題は無い様子。SS1とSS3は路面状況を考えて短縮された模様だ。サービスで軽い整備と給油をしてSS1へ。3つほど先のコーナーまでペースノートで確認し、いざスタート! 濡れているかと思いきや、ステージは割と乾いている。一発目なのでかなり抑えて走ったが、凸凹のひどさが印象に残った。スピードが出ていると後輪が穴で激しく跳ね上げられてしまう。SS2のコースは打って変わって非常にスリッピー。止まったら動けなくなるほどの水溜りだらけだ。

数日来の雨でコースコンディションは最悪

湿ったコーナーの路面は4WDにかき混ぜられてドロドロになっている。ここでブレーキングが遅れ、オーバーシュート。スタックしてしまった。数分後、脱出しラリーに復帰する。SS3のコースは乾いているが非常にツイスティで難しい。さらにスタート直後、軽い衝撃でステリングギアボックスの固定ボルトが外れるというトラブル。ステアを切るとギアボックス自体が先に動いて、片側30度程の大きな遊びができてしまい、カウンターステアが難しくなった。また、ステアリングチルトにも影響出始める。頻繁にチルトのロック外れてステアが上下に逃げてしまうようになった。まともに走れる状態ではないけれど、コーナーを抜けるたびにチルトのレバーを殴ることで騙し騙し走りきった。ゴール直前、前走車が止まっている。どうも「マキシマ」というチームのインプレッサがスタックして道を塞いでいる様子。20分後、開通しサービスパークへ。急いでギアボックスを直してSS4、5、6に向かう。ステアリングセンターのズレはさらにひどくなったが、それも慣れた。SS5、SS6をクリアしてまたサービスパークに戻る。

左コーナーをヒット

何とかSS9まで走りきった。レグ1は過酷なコースばかりだったが、非常にたくさんのことを学んだように思う。いかに抑えながらスピードを上げていくか。完走のためにはペース配分というものが凄く効いてくる。リザルトは出ているがSS2のスタックでピックアップに引っ張ってもらったため、明日はスーパーラリーでの出走となってしまった。とても悔しいです。160kmのリエゾンを走りパルクフェルメへ入ると。親父登場。もっと早く来てくれい!

10/15 レグ2(ラリー2日目)。今日はサービス親方をおやじに任せ、パルクフェルメを出発。サービスパークで軽い整備と給油をしてSS10へ。湖の畔は朝方に雨が降っていたらしく、少しウェットに見えた。昨日の教訓を活かし、1本目はコースの状態を下見するぐらい気持ちで抑えていこうとスタート。するといきなり2つ目のコーナーの外側に宮本さんのクルマがこっちを向いて止まっている。聞けば派手に横転したらしい。路面は基本的にドライとなりつつあり、ところどころ濡れて滑りやすくなっているという印象。SS11のコースもそうだった。ペースノートはバッチリ。問題はシビックの最高速度だ。ギア比が低く、5速でレブリミッターまで引っ張っても最高速度140km。昨日は速度を出せるステージが無く気にならなかったけれど、今日は400mを越えるようなフラットな直線がたくさんある。レグ2のステージにはミッションがクロス過ぎ。しかし目的は完走。タイムはでないかもしれないが、とにかくレグ2を走りきるべし。

レグ2はギア比が全く合わない

SS12を終え、サービスパークで昼ごはんを食べる。SS13に入る頃になると路面は完全にドライとなり、だんだんブレーキを詰めていけるようになってきた。楽しい! しかしSS14のゴール直後、恐れていた雨が降り始めた。最終ステージとなったSS15はどしゃ降りの中でのスタート。まさに雪の上を走っているかのような感覚で、少しでもスピードが速すぎればコーナー外側に落ちてしまいそう。しかも窓が曇ってまともに前が見えない。こういうときは本当にゆっくり走るしかない。そして激しいスコールの中、全SSが終了。セレモニアルゴールへ。

何とかゴール!

スーパーラリーで順位こそつきませんが、最後まで走りきることができました。しかしまだまだ経験不足! 次こそは本当の完走を狙っていこうと思います。

国沢悠来